おはようございます。
今日は最高に面白くない話です。
最近ではブログ等でアカミミガメやカミツキガメ、時にはワニガメなどを捕獲し解体、食するものが散見されます。
また過日はクサガメのベビーをモニターのエサにしてその未消化分を写真掲載するというカメ飼いにとっては衝撃的で残酷なSNSもありました。
もちろん表現の自由は民主主義において非常に大切な権利ですから、その行為自体を批判するつもりはありません。
しかし彼等の外来種問題の提言だ的な一方的で思慮を欠く表現手法に私はこの国の将来への憂いを禁じ得ません…
対象を人に置き換えればイスラム国のプロパガンダとその本質において同一だと思います。
今まさに我が国において失われつつあるもの、それは利他であり献身であり他者への配慮といった秩序を担保する道義的感情ではないでしょうか?
特にアクアリウム、爬虫類界においてはこの特定外来種問題を惹起した直接的な原因を有する故に飼育者各人が真剣に見つめるべきだと思います。
個人的な話ですが、私の愛してやまないブラジルヘビクビガメは2003年までは将来的にもペットトレードに乗ることはなく入手不可能といわれていました。
ブラジル自体が国内法で野生動植物の輸出を禁止していることに加えてこのカメの生息地は世界遺産の保護区にすっぽりと収まっているからです。
ここが保護区に指定された理由は特殊な気候下にありこの地域固有種が多いこと、かつこの自然林の実に92%が開発により消失し、再生不能なレベルにまで環境破壊が進行したからです。
上記のように極めて限られた地域の山の中の渓流に生息しています。
採取することすら禁止されているこのカメがどうした訳か隣国ウルグアイのカメとしてウルグアイ政府の許可のもと正規輸入されてきました。
アメリカ、ドイツ、日本はお金さえあれば大概の世界中の野生動植物を入手可能です。
因みに私がブラジルヘビクビガメのペアを購入した時は120万円位でした。
この価格を高いと思うか安いと思うかは個人の自由でしょう。
かつてオス単体で150万円、メスはその1.5倍かつ単体での販売はなしでバタバタと死んでいくこのカメをみてきた私には非常に安い価格と思えました。
ブラジル経済が過去30年間で最悪の時期でしたからマフィアのサイドビジネスとしてウルグアイに出た個体かもしれません。
いずれにせよ我が国ではこのような貴重な種でも入手できる自由が保障されています。
非常に苦しい言い訳ですが資源の枯渇以外は関与者全てがハッピーなのです。
採捕者、ブローカー、ショップ、私、みんなが納得した価格で取引され富が分配されているのです。
誠に皮肉な現象です。
自然林の8%しか現存しない貴重種ゆえに世界中にニーズがあり違法な採取が行われる。
ただしブラジルは犯罪発生率、殺人事件発生率ともに世界ランキング上位であり、サンパウロ州を主たる生息地とするこのカメを採捕するのは命懸けだと思います。
メキシコ、ブラジルマフィアは世界最恐のギャングといわれています。
北方領土でのカニ漁も同じ構図です。
安いカニを求めて日本人が買うからロシア人の漁が盛んなのです。
私はこの闇経済を否定するものではありません。
人間がいる限り聖人君主が全人類にならない限り根絶は不可能です。
この自由を享受した私は何をすべきか?
貴重種を殖やす?
とんでもありません。
絶対に逃がさないで終生飼育して自己完結することです。
殖やしたならば殖やした個体数分その責任が増すのです。
この可愛いらしい子ガメの写真を見ればどうしても欲しくなります。
現在は入荷が絶望的なので責任を持って殖やしたいと思います。
幸いこのカメは1個か2個、まれに3個しか産卵しないので殖え過ぎることはありえないでしょう。というか殖やすこと自体困難なはずです。
少し残酷な写真です。
これは野生下のメスの死体です。
彼等は滅多に上陸しませんがマッチングシーズンはオスが、産卵期にはメスが夜間上陸します。
この個体は不幸にも天敵に食害されてしまいました。
おそらくジャガーかフクロウに襲われたのでしょう。
このように野生下では常に一定数の個体が死んでいきます。
飼育下、ましてや頑健種はどうでしょう?
おそらく何十年も前に飼育放棄・遺棄された個体が現在のアカミミガメやカミツキガメの祖先のはずです。
野生下で日常的に発生する捕食死を理解すれば、飼えない、もしくは飼わないならば最終的には飼育者自身で殺処分しないとなりません。
私は5年程前に自宅の近くで拾ったクサガメのベビーを殺処分しました。
どう考えても誰かが趣味で殖やしたカメが逃げた個体だからです。
個体自体には何の罪もありませんが、逃した飼育者の責任と思い心を鬼にしました。
具体的には拾ってきた娘達に飼育を任せ、一切干渉しませんでした。
夏に拾ったのですが冬場の低温で体力が尽きてしまいました。
知識も技術もあるのに無干渉とは残酷かもしれません。
しかしあのまま娘が拾わなくても猫に殺されていたでしょう。
SNSで散見されるカメへの残虐行為、それは本来ならば遺棄する前に飼育者がすべき処置であったはずです。
飼う自由の対極に飼育中断による殺処分があります。
それは例えるならばコインが表裏一体なのと同じで自由と責任なのです。
社会の中で生きていくならば秩序を維持する必要があります。
カメ飼いには自由意志で飼育する権利があります。
同時に秩序を保つ責務があります。
安易な繁殖を自重する、殖やした個体に責任を持つ、この点を飼育観念の第一と出来ないならばカメを飼育してはいけないと思います。
またこうした意識の欠如が現在の残虐画像の氾濫を許したことも我々飼育者が肝に命じるべきだと思います。
飼育するには飼育個体を自ら殺める覚悟が必要、これは誰かに言われるまでもなく私の中でごく当たり前に存在した考え方です。
アカミミガメの殺処分などをみると可哀想だなぁ、とは思います。
が、当然だよなと割り切れます。
寧ろ遺棄した当人に直視して欲しいと思います。
あなたの考える可哀想とはこんな残酷なことなのですよと。
ですから爬虫類に限らず飼育者全ては飼育個体に覚悟を持って向き合うべきです。
特にカメは長生きです。
出来る限り先々のことまで予測した飼育が必要だと思います。
私が生き物を飼うなら飼えないならば殺さなくてはならないと教えてくれた実話です。
私は小学生の頃、この実話に衝撃を受けたことが私の飼育観の原点となりました。
https://m.youtube.com/watch?v=JJPUPhCjy08
https://m.youtube.com/watch?v=On0mb3h3DMg
今も昔も涙無しには読み進めることができません…
面白くないなどと前置きされてますが、個人的にはこういう記事を書くブログがもっとあった方が良いと常々感じております。
特にエキゾチックアニマルの飼育を趣味としている者にとって、対飼育個体そして同種の野生個体の現地での生活や環境、その現地の人間との関わり、飼育者個人のモラルや理念、地球規模での環境問題に至るまで、目の前の生物を通して伸びてゆく枝葉の情報や奉仕や愛情すべてをひっくるめて生物を飼うという行為に繋げることで、未だ確立されていない分野への理解が深まると信じているからです。
よって、管理人さまのご意見や洞察に感銘を受けた者の一人としてコメントさせていただきます。
愛玩犬などと違い、エキゾチックアニマルらは未だ飼育法すら確立していない種が多々あります。
そういう意味では彼らは愛玩動物というよりは飼育を通して学習もしくは教材サンプルに近い存在でもあります。人類はその生物にとって新たな情報や最適な飼育法を知る必要があります。
その責任なしで、今も昔もコレクターとしての愉しみのみで蒐集する人間、ブームに流され購入しあとで飽きたら遺棄する人間が書いたりするブログやおしゃべりには偏りや無知が多分に含まれます。
管理人さまはその点、飼育個体を通し、いち飼育者、いち愛好家としてのみならず、リサーチャーやモラリスト、現実現状への理解や学習者としてご自分の興味の枝葉を伸ばしていかれる方だと思います。そういう飼育者に飼われる生物はたとえそれが大自然の下、生まれ落ちサバイバルを繰り返し種々幾多の淘汰の波を乗り越え可能な限り生き抜いたら死ぬ一番美しい形ではなくとも、違った幸せや美しい生命を全う出来るものと思います。
人間のエゴや強欲に付き合わされ、異国の地の野に放たれ、必死に元の繁栄や栄光の為に餌とパートナーを探し回り殖え、種の存続に貢献したかと思えば、人間に今度は忌み嫌われ、見つかり次第撲滅の手にかかり、それでも異国で生き抜こうとする生命の強さや美しさ、そして元々それが繁栄した故郷へ帰るに帰れない寂しい現実を、人間はその動物園の象やゴリラ、ライオンに見るように帰化種の生物にも視線を注ぐべきでしょう。
まずは何故それを欲しいか、飼いたいのか、もっともっと考えるべきです。わたしは人間なんかに飼われて危険なく長生きするより、サバイバル出来る能力や知恵、運がなければ他の捕食者の血肉になることを選ぶかもしれません。
もしですよ、もし次に亀に生まれ変わったら、遺棄されることにしろ、道路で車に轢かれるにしろ、住処がダム建設の為に沈むにしろ、都市化が進み汚染されるにしろ、乱獲されるにしろ人間にだけは生活や命を邪魔されたくないって思うかもしれませんね。ははは。
コメントありがとうございます。
私のお伝えしたかったことを全てコメントにて解説頂きまして恐れ入ります。
100%、私のお伝えしたかったことです。
強いて言えば、SNS上で飛び交う議論を見る限り「浅くて薄い議論だなぁ」と感じているのが本音です。
この趣味は人間のエゴの徒花かも知れませんが長く深く究めようとすれば非常にロジカルでアカデミックな趣味だと思います。
既に一定の経済規模を伴うこの趣味が極論や理想論で問題解決できるとも思えません。
この私の苛立ちをひゃっこさんのコメントは全て分かり易く咀嚼して頂き、やはり書いて良かったなぁと嬉しく思います。
「ペンは剣よりも強し」を旨とし、今後もぶれずに書いていきます。
モリイシに収斂されましたか。
モリイシはカメ飼いが最後に辿り着く種とも言われてますよね。
ひゃっこさんのこの趣味への造詣の深さが推し量られますね。
本当は水質論はもっと詳細に書きたいのですがおそらく読者のついてこれない独善論になりそうなので諦めました。
私も水のキレや輝きで大体分かるくちですがこの感覚だけでは人に伝えられません。
なので最近は数値化してお伝えするように努力しています。
特にショップさんが「最近のミズガメの人は殆ど水がみれない人でビックリしますよ」と言っていましたからしゃしゃり出てきた次第です。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。