今日は。
本当は濾過と水質、そもそもカメの飼育に濾過が必要なのか?について書きたいのですが…
そもそも生物濾過、進んでは脱窒還元まで説明が必要となるので別の機会に。
さて、今日はchelodina coliei、我が家の愛称「オブさん」の近況報告です。
過日は少数ながら2019ドイツCBが入荷しましたから新たなオブ飼いさんの参考にでも。
今年2月9日にお迎えしたオブさん、飼育9ヶ月を越えた現在はというと、
すみませんね、いきなり背甲のどアップで…
でもこれが全てをお伝えしています。
お迎え時の写真です。
お分かりでしょうか?
ベビー時の初甲板がどれだけ小さく見えることか。
つまり成長線の分だけ大きくなりました。
お迎え時甲長4.5㎝から現在では9.5㎝強あります。
画像を見る限り、甲羅のボコつきや成長異常はなさそうです。またシームもしっかりとしており、シェルロットの兆候もありません。
念のため、甲板をアップで撮影しました。
病気もなく綺麗な放射線状に成長していますね。
オブさんがストレスなく育っている証です。
次のチェックポイントは頸です。
昔から言われていますがオブロンガは調子を崩すとシェルロットと頸部の潰瘍がみられるのです。
異常はなさそうですね。
更に念を入れて腹甲も、
脱走しようとして豪快にひっくり返っていましたが…
問題ないようです。
余談ながら♀確定ですね。
♀であれば異常に早い成長スピードもある程度は頷けます。
オブロンガはメダカや小赤、カンシャ等で育成するのがオーソドックスな育成ですが、我が家のオブさんは活き餌を与えたことは全くありません。
鶏のハツとレバーを主原料としたタートルプリン(通称スペフーを沢山練り込んでいる)、月夜野ファームさんの冷凍イエコウロキ羽&M、スペフーダスティングした冷凍キビナゴや冷凍シバエビを与えています。
古い記事なので価格は改変されています。
http://blog.livedoor.jp/fenwickxc555/archives/2475505.html
乾燥飼料にはまだ餌付いてないので、割と意図的に水分含有率の高いエサを与えています。
この種は水質にうるさく、気にいらないと水を飲まないで脱水症状になり、それがストレスでシェルロットになるような神経質な面があるので水分補給には気をつけています。
甲長10㎝を越えてきたらレプトミンスーパーも食べて欲しいと思います。
飼育して素直に感じるのはブラジルヘビクビと比較すると驚くほど飼育は簡単です。
まぁ比較するブラジルヘビクビはWC、オブさんがCBと比較のベースは違いますがオブロンガは立ち上がってしまえば生命力は強いカメだと思います。
環境に慣れてしまえばストライクゾーンを多少外れても調子良く飼えると思います。
おそらくほぼ間違いないと思いますがオブロンガの飼育の基礎データをつらつらと。
水質はPH7.2〜8.0、水温17〜22度、塩分濃度0.2〜0.4ppt。
風が好きなのでケージの上を湿度の低い風が抜ける環境なら最高です。
補足として水温は28度位までは全然大丈夫です。
ただし、1日のうち必ず8時間は22度以下に冷やしてやるのが調子良く飼育するコツです。
オブさんは室内無加温飼育で、現在の水温は19〜20度ですがエサはバクバク食べるし、大きくなっています。
PHはサンゴ砂等で最低7.0以上にした方がいいと思います。私は7.0以下にしたことがないのでPH耐性がどこまであるのか分かりません。
水が合わないとミズカキが白く変色するので毎日ミズカキは観察するのが無難です。
現地では屋外飼育池に定期的に石灰を投入してPH維持しているのでPH7.0以上は必須だと思います。
私はクリーパー55号P68に掲載されたオブロンガの生息する池の水質データに基づき飼育していますが、オブさんの調子を見る限りこのデータは正確にオブロンガの好む水質を示していると思います。
このデータでは硝酸塩が50ppmとありますが、本当にオブロンガは普通であれば換水が必要なほどの高濃度の硝酸塩を好みます。
ベビー時の立ち上げでは新水よりもブラジルヘビクビの捨て水で飼育すると驚くほど調子が上がりました。
ブラジルヘビクビの捨て水は亜硝酸塩 0、硝酸塩50ppm以上です。
亜硝酸塩には極めて弱いので、亜硝酸塩が検出されれば直ちに換水しないと脱水症状を起こすと思います。
私はN氏から直接パースの状況をお伺いする機会がありますが、その情報からやはり塩分は必要だと判断しています。
たまたまベビーの頃、ティースプーンで少しずつ人工海水を加えていきオブさんの調子が一番いい時に測った塩分濃度が0.3〜0.4pptの間でしたので現在も塩分濃度0.3pptを基準としています。
余談ながら私は最後まで人工海水のブランドをテトラマリンソルトかナプコリーフクリスタルか悩みましたが、カメにはオーバースペックと判断してテトラマリンソルトを選択しました。
もちろんこれでスペックは十分ですが、マルナガクビを2年近く飼育されている方がリーフクリスタルを使用していると聞き、「なるほどなぁ」と妙に納得してしまいました。
私はライブコーラル時代から人工海水はリーフクリスタルを使っていました。
海水は全世界繋がっていますが海水成分・塩分濃度は海域によりかなり違います。
現在、サンゴ界ではオーストリアのスコミリアが世界的にブームであり、このリーフクリスタルはスコミリア飼育にも好成績なのです。
オージータートルなので人工海水もオージーコーラルに好評なもので、と迷ったものですがマルナガクビにリーフクリスタルはありだなぁと思います。
http://napqo.jp/artificial-seawater.html
長らくオブロンガは水質にうるさいとか神経質なカメ、といわれてきました。
私の個人的見解ですが、オブロンガは塩分、カルシウム、マグネシウムがポイントだと思います。
身体が出来上がってしまえばこの限りではありませんが少なくとも成長期はこれらのポイントを押さえて飼育するのが無難だと思います。
あとシェルターも重要です。
オブさんはシェルターを2段重ねにしていますが気分に応じて浅いシェルターと深いシェルターを使い分けているのもストレス軽減に役立っていると思います。
オブロンガは現地では真冬に孵化します。
冬の間はシェルターに隠れてじっとしているはずです。
ある程度身体が大きくなってからは広い範囲を索餌すると思いますがベビー時はしっかりとシェルターに隠れて落ち着ける環境が必要だと思います。
N氏はエアレーションをしていますが、私も夜間5時間だけタイマーでエアレーションをしています。
これは亜硝酸塩を生物濾過で0にするためであり、毎日全換水する方法なら必要ありません。
N氏は井戸水を使い週一での換水なのでおそらくは私と同じ効果ではないかと思います。
オブロンガはナガクビマニアの最終ゴールともいわれるカメですし、落とした先人も多いです。
しかも高価なカメですから購入できる方は設備にもお金をかけられる方だと思います。
が、誤解を恐れずにいえば究極の飼育とは個体の調子良さを目的とした時に優先順位と劣後順位を峻別することです。
私の考える優先順位は、保冷機器、PH測定器、シェルター、人工海水です。
劣後順位は、生き餌、人工飼料かなぁと思います。
これらを判断基準としてできる限りケージ内をシンプル化し、事故を未然防止しなければなりません。
最後になりますが、この飼育方法が当てはまるのは、オブロンガとスタインダックネリーの2種(スタインダックネリーはもっと緩いかもしれませんが)になりますので、ジーベンその他ナガクビガメの飼育方法は別方法となりますのでご留意下さい。