カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

爬虫類飼育奇譚

2020-01-18 16:00:00 | 雑記

今日は。

最近はTwitterが多くブログはご無沙汰ですが自らに鞭を打ちながら月1回の更新はするつもりです。

嬉しいことに多々、私の考えを理解して下さる方々より励ましのDMを頂きます。

この深くアカデミックな爬虫類飼育という趣味が規制により壊滅しないように、あるいは1匹でも多くの無駄死にが起きないように拙くも私の飼育方法を発信して参ります。

そもそも私の飼育の原点は水質管理方法を教わったショップです。

「雑誌なんてのは嘘だらけさ。だって俺達ショップやメーカーの広告費で回してる業界だぜ。本当のこと書いたら儲からないよ。」

まぁ、つまりはショップもメーカーも生体や商品の回転率が収益の源泉でして…

この業界が成長していくにはコレクターを増やす、買っては殺しを繰り返すリピーターを増やす、という二軸が結果的にビジネスモデルとなっていった歴史があります。

加えて士業と言われる高収入の方々を主な顧客として単価の高いイリーガルなカメが取引されてきました。

40年以上前は日陰者の趣味でしたから安定的な売上確保は客単価を上げることに終始せざるを得ないのは無理なからぬことでした。

ちょうど私が外国のカメに関心を持ち始めたのが1981年ですからこの年表は私事として当時の爬虫類界隈を語ることができます。

私がカメの飼育を止めたのが1992年、再開したのが2003年ですがこの間にカメの輸入数が急増しています。

併せてトカゲの輸入数も増えていますがおそらくは「ワクワク動物ランド」によるエリマキトカゲブームと千石正一先生の人気によるものだと思います。

これ以前、特に88年以前は爬虫類飼育は日陰の趣味で外国産のカメ飼育者など殆ど居なかったと思います。

これは我々世代の反省ですが当時極めてマイナーだった外国産のカメですからイリーガルな輸入は当たり前の時代でした。

オーストラリアのカメもマダガスカルのカメも普通に入荷していました。

当時はアジアのカメは死にガメでまさに消耗品の扱いで店の隅に置いてある光景をよく見かけたものです。

表では95年に年間2万匹を越えるカメの輸入が2005年まで続いています。

カウントされない密輸も入れればおそらく30万匹はゆうに越える大量のカメが輸入されてきたはずです。

正直、密輸のビルマなんて沢山見てきました。

私も今日まで10匹のカメを死なせてきました。

ギザミネヘビクビ 5匹→飼育方法の誤り

トゲモモヘビクビガメ2匹→飼育方法の誤り

アッサムセダカガメ1匹→日光浴時の熱中症

ビブロンマルスッポン1匹→飼育方法の誤り

ソリガメ1匹→輸送方法の誤り

現象は病気によるものが殆どですが根本は私が欲望を優先し、飼育方法をしっかりと勉強し、対策を準備してこなかったからです。

命に向き合う真摯な姿勢に欠けていたからです。

これは恐ろしいことです。

私が10人いれば100匹、100人なら1,000匹のカメを殺しているのです。

 更に衝撃的な表です。

リクガメブームと相まってこの7年間だけで正規輸入40万匹、密輸を入れるとひょっとすると60万匹以上のカメが輸入されたのではないでしょうか?

我が家にも2003年組は3匹います。

ドイツCBのパーカー1匹、WCFHのベニマワリ1匹、WCアッサム1匹です。

この子達はよくtweetしている通り今も元気ですが…

果たしてこの大量に輸入されたカメ達の現在は…

ご想像通り90%以上は死んでいるでしょう。

勿論現在のCB個体の親として命を紡いだカメも少なからずいるでしょう。

残念ながら飼育方法や飼育器具より前に欲しさが優先された我々のエゴが原因だと思います。

カメを飼育する方向性は大きく2つあると思います。

現在の主流であるCB化。

これは人間と共存できる性質の個体を選別交配して馴致するあり方です。

家畜化といえば想像しやすいと思います。

もう一つは私が目指している飼育方法。

それはナチュラル方式というべきか、つまりより自然下に近い環境を再現しワイルド個体のような成体に仕上げていく飼育方法です。

これはどちらが正しく、どちらが誤っているという議論ではなく、等しく爬虫類界隈に共存すべき飼育方法だと思います。

ディスカスも改良品種、原種としっかり共存しています。

ただカメについては将来的にはWCの流通は無くなるでしょうから所謂原種もしくは純血種と言われる系統引いてはその飼育方法も残されるべきだと私は考えています。

カメの飼育はこの20年間で劇的に進化しました。

多くの輸入個体の屍の上に現在のカメ飼育環境があることを我々は忘れてはなりません。

大量輸入による市場拡大に伴い飼育器具も充実してきました。

こうしたら殖えた!的な情報拡散により馴致は随分と進行していると思います。

CB個体全盛の中で野生下の生態を知ることが忘れ去られていると私は危惧しています。

90年代後半から2000年代にかけて驚くほど詳細な野生下のカメの生態研究が進んでいます。

へーとかほー、という新知見が海外の文献には満載ですし、それを飼育下で再現できる飼育器具も現在は沢山あります。

私が殺してしまった10匹のカメ達への贖罪と自戒を込めて私は自らに科した飼育姿勢があります。

常に学び続けること。

便利さを追求しないこと。

設備にお金をかけること。

多くの方には不快なことかも知れませんが我々飼育者は世界の潮流を抑えておかないと間違いなく、そう遠くない日に爬虫類飼育が禁止されることになると私は思います。