カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

オブロンガ 10㎝の壁

2019-08-24 12:00:00 | オブさん日記

今日は。

お陰様で我が家のオブさん、無事に飼育半年を過ぎました。

最初のハードルは夏を越すことだと思っていたので暑さの峠を越えてホッとしています。

5月下旬頃から成長スイッチが入り爆食の毎日が続いたおかげでお迎え時4.5㎝だった甲長は倍の9㎝位にまで成長しました。

お迎え時の写真

頭の大きないわゆる仔ガメ体型で初甲板に覆われています。

少し可哀想ですが比較の為、同じパッキングに入れて写真を撮ってみました。

確実に倍サイズに成長しています。

さて、このオブロンガ、今でこそCBの流通がありますが以前は出所不明のWC個体?が流通のメインでした。

あるショップさんで私は言われたことがあります。

「オブロンガはナガクビを極めたスーパーマニアが最後にチャレンジするカメです。そんな腕に覚えのあるマニアの皆さんだって大概は落としている、それくらい飼うのが難しいカメなんですよ。」と。

オブロンガ国内CBを作出されたN氏も「CBでも甲長10㎝を越えてからは神経質で難しくなるよ。」と仰っていました。

オブさんはここまでは順調に立ち上げできたので体力は付いたはずです。

なので冬場はクーリングして成長スイッチを切る予定ですから甲長10㎝は来年狙うことになります。

何故、10㎝の壁があるのか?

私は当初は住処を変えることによる水質変化だと考えていました。

浅場から深場に移動し、より硬度の高い水質で生活するからだと推測したのです。

しかし今の仮説は違います。

オブロンガの好む水質は分かったので10㎝の壁はエサ、厳密には栄養素ではないかと考えています。

これまでオブロンガの飼育者はメダカや金魚といった生き餌と乾燥エビがメインでした。

しかし現地西オーストラリアのペットショップによるケアシートの説明ではエサはサプリメントをダスティングした生肉を推奨しています。

前者との差は何か?といえば、私はおそらく各種ビタミンとカルシウム・マグネシウムが後者は強化されていると考えました。

CBの生みの親ルドルフ氏もピンクマウスを推奨しています。

オブロンガの棲息する現地は非常に多くの水鳥がおり、実際オブロンガが水鳥の死骸を食べている様子は現地でもしばしば観察されています。

そこで私は鶏のハツとレバーを主原料としたタートルプリンと冷凍イエコオロギを主にした給餌メニューでいくことにしました。

今のところピンクマウスとコオロギが爬虫類のエサとしては最も栄養バランスが良いといわれています。

ピンクマウスを越える栄養バランスを狙ってタートルプリンを作っているので考え得る最良のエサを与えてオブさんを飼育しています。

鳥ハツの栄養素です。

https://calorie.slism.jp/111231/

脂質が多めですがリンが少なくカルシウムの吸収は悪くなさそうです。

次に鳥レバー。

https://calorie.slism.jp/111232/

脂質は少なめですがリンが多めですね…

まぁ、プリンはこれらを等分に混ぜているので案外栄養バランスは良いのかもしれません。

プリンにはリクガメ界で名高い通称「スペフー」も混ぜてあります。

http://blog.livedoor.jp/fenwickxc555/archives/1587343.html

このタートルプリンを毎日食べているせいかオブさんの調子が上がり、私の姿を見てはまるでカミツキガメのように口をパクパク開けながら飛びかかってきます。

この飼育方法を継続したいのですが…

突然ですが我が家のブラジルヘビクビは今年で飼育4年目です。

このカメは毎年冬の間は水温を17度にします。

余談ながら水温の1度は気温に換算すると5〜10度にあたるといわれています。

夏の22度から僅か5度の差ですが我々の体感温度としては25度以上も下がっているのです。

何故クーリングが必要かといえば、定期的にカメのスイッチを切ることでカメを休ませることができるからです。

円山動物園でも野毛山動物園でもクモノスガメは冬は半冬眠状態にしています。

こうしてスイッチをオンオフすることで彼等はより健康的な生活を送ることができるのです。

興味のある方は「東京砂漠 クモノスガメ」で検索すれば円山動物園でのクモノスガメ飼育ブログにヒットします。

話を戻しますが、オブさんをより調子よく飼育するにはやはりクーリングが必要だと私は考えています。

そして冬は現地では雨季です。

従って塩分濃度も低下すると私は考えています。

オブさんの観察から類推すると、このカメの適正な塩分濃度は0.2ppt〜0.5pptではないか?と考えています。

なので来年の2月いっぱいは水温10度、塩分濃度0.2pptまで調整し、2月は無給餌にする予定です。

過日クーラーの異常稼働で水温が7.8度まで低下しましたがオブさんは普通に動けましたから低温耐性はあるのだと思います。

このまま順調に育ってくれれば来年の夏には甲長10㎝を越えます。

その先を健全に育成できるかは冬場の管理方法がかなり重要ではないかと考え、今から準備に入ります。

最近、時折ですがオブさんも上陸するようになりました。

秋冬はメタハラ浴をさせてみようと考えています。

ナガクビなんてデカい水槽とタートルプリンで大丈夫、と言いたいところですがなかなかどうして。

オブロンガはやはり癖があります。

これからもオブさんのサインを見逃すことなく、大切に飼育していこうと考えています。


デフレップさんで考えたこと

2019-08-13 09:00:00 | 雑記

おはようございます。

昨日、デフレップさんに行ってきました。

銚子にあるお店ですから千葉市の我が家からでも片道2時間以上かかりました。

お店、というか飼育場ですから東阪名の有名店と比べること自体が無意味な、いい意味で30年前のショップさんでした!

キープされているカメの状態はどれも抜群で店主さんの飼育レベルが分かります。

聞くと飼育歴50年、とにかくカメ好きとのこと、ある意味やっとかめさんやヒグチさんに通じるショップだと思います。

ワイルドのフォルムを目指してひたすら大きくする飼育方針の通り、巨大なカメ達は往年の洋書写真のような素晴らしい個体ばかりでした。

往年のショップ色が強いので、お店での会話内容はかなり自粛モードとなり書けませんが非常に意義のある会話が出来ました。

沢山のカメがいましたが曲頸目当てで行きましたので曲頸の話題を。

まずはノコヘリカブトガメ、ケージから出すと大暴れして写真が撮れませんでしたが素晴らしい仕上がりです。

これはHPに出てないので非売品でしょう。

そして一番の目当てのコウホソナガクビガメ。

非常に驚いたのは水温が高く、水換え頻度も低く、塩分もないのに状態は良かったです。

ただ生意気な私見ですが、他種の仕上がり具合と比較すると一段下と感じました。

手前味噌ですが我が家のオブさんの方が状態はいいかなぁ、と感じました。

おそらく塩分と暑さの差ではないか?と思いましたが店主曰く、コウホソは暑さにも強いそうです。現地は夏が乾季ですが高水温下でも普通に活動しているそうです。

店主もコウホソの塩分についてはご存知で敢えて塩分とは別方法の調子の上げ方を実践されており、この方法は私には全く意外な方法でした。

それからジーベンが極めて高価な時代だった30年以上前に入荷した個体も元気に飼育されていました。これも非売品だと思います。

この辺りの種は屋内飼育ですがなるほど!と思ったのはなんと天井に紫外線殺菌灯が設置され、1日6回、タイマー制御で稼働するとのことでした。

ワイルドの個体も多く、CB個体メインのイベントとは違う、私にとってはそれこそ宝石のようなカメが沢山いました。

屋外では叩き池があり、いくつかの区画に分かれて飼育されています。

全ての池は濃い青水でカメの姿は全く見えません。

ひときわデカいペア、オスが乗っていました。

「このペア、デカイですねー。」

「あー、それウィリアムズ。」

「さすがにアフリカのハコヨコはデカくなりますねー。」などと頓珍漢な会話をするほどデカイペアだったのです。

「いや、ハコヨコじゃないよ、カエルガメだよ。」

えっ、マジ?

うわー、本当だ!巨大なウィリアムズカエルガメだ!

本当にたまげました。デカイ頭、デカイ甲羅!

メスは本当に最大甲長の35.5㎝はあると思います。

多分9割以上の方は甲長30㎝オーバーのミズガメを見たことがないと思います。

35㎝といったら実物は腰を抜かすほど大きく感じるはずです。

さらにオスメスともに甲長12㎝からの飼い込み、とのこと、その育成技術の高さに驚愕しました。

「ギザミネ、いますか?」

「結構デカいペアがいるよ。」

青水から取り出したのはこれまた分厚さと巨大さの甲羅を持つギザミネのメスでした。

百聞は一見に如かず、とは良く言ったものです。

山のように盛り上がった背甲のメスに対して著しく腹甲の凹んだ巨大なオスもいました。

はっきり言ってここまで巨大なギザミネは初めて見ました。

10㎝くらいから7年間の飼い込みだそうです。

シェルロット痕も殆どなく、ほぼ完璧な仕上がり具合です。

興奮でスマホ写真もうまく撮れませんでした。

聞くと通年無加温、冬場は水中冬眠させるそうです。

昼夜の温度差、風が上手く育てるポイントのようです。

強烈な紫外線の中、スライダーやマダヨコなんかはのんびりと日光浴をしていましたがカエルガメやヘビクビガメは水中にいました。

が、飼育環境下は強烈な太陽光がガンガン当たっていました。

http://www.breedingturtles.com/hydromedusatectifera.html

これはイタリアのブリーダーのギザミネケアシートですが彼の再現する飼育環境に近い設備だと思います。 

むしろ吹き抜ける風は上記のブリーダーの環境よりいいのではないかと思います。

店主曰く今以上に状態を上げるには大きな池が必要だと。

非常に驚いたのは無加温の屋外飼育に加えて冬場は水中で冬眠させているとのこと。

興味深いので現地データを再掲します。

この現地データに銚子市の気温を比較すると。

 

一番気温の低い1月でも5.6度ですから氷点下にならなければほぼ現地に近い気温です。

ただし、店主も冬眠で落とすカメは少なくないと仰ってましたから銚子でも最寒期は屋内に取り込んだ方が無難でしょう。

現地では小春日和には僅かながら摂餌するので完全な冬眠ではなく緩やかな冬眠をするようです。

屋外の池は全てが濃い青水でしたがこの濁りがカメの姿を隠して結果、彼らのストレスを軽減しているのだと思います。

 デフレップさんの飼育環境は換水頻度低め、濃い青水、太陽光強力ですが、おそらく昼夜の温度差、風もポイントだと思います。

餌は生き餌を一切使用していないそうです。

これは理由も私と同じでしたが多くの殺生を前提に成り立つ飼育は感情的に困難だからです。

鶏のハツ、レバーをサプリメントでダスティングして与え、食べるようになれば咲きひかりを与えているそうです。

私も今年から思うところがありタートルプリンの材料のうち、豚レバーを鶏のレバーに換え、獣肉は鶏のハツとレバーのみです。

デフレップさんでは牛ハツは一切与えていないそうです。

偶然ですが私も牛ハツは使用したことはありません。

理由はあくまで個人的な感想の域をでないのでここでは書きません。

ただ一つ申し上げるのは家畜には多くの薬品が使われて食肉として流通していることを忘れてはならないと思います。

個人的には環境汚染のない場所での川魚、信頼できる餌屋のピンクマウスが最高の餌だと思います。

これを越えることを目標に日々新たなタートルプリンの自作を続けたいと思います。

またもやご批判を頂くことになるかもしれませんが買取に出るカメの殆どが体型・甲羅が歪曲しています。

当然昔からワイルド個体を見慣れてきた店主ほど買取価格はシビアになると思います。

殖やす技術と仕上げる技術は違います。

最近ではフォルムの歪曲が顕在化し難い小型種が流通の主流ですから大きな問題ではありませんがカエルガメやナガクビガメのような大型種は大きく育てることに加え、いかに歪みのない個体に仕上げるか?という視点も必要です。

曲頸不人気の時代ですが仕上がったナガクビやヘビクビなんて殆ど見る機会がないからこそ、こうした個体の作出に情熱を注ぐ飼育者が出てきて欲しいものです。

アクアポイントやミカミ全盛期はそれこそワイルドのみの流通でしたからアダルト個体はみんな図鑑に近い迫力がありました。

デフレップさんの仕上がった個体を見て、CBも飼育方法で迫力個体に仕上げられる事実を突きつけられ、飼育モチベーションがとても上がる1日でした。