今日は。
今回はケージのサイズについてです。
まずはこちらの動画をご覧ください。
https://m.youtube.com/watch?v=oD6uOffIAfE
そもそもケージとは何か?サイズ云々よりもケージの概念を考えさせられるほどの動画ではないでしょうか?
飼育者とレポーターがなんとケージの中でインタビューしているのですから。
我々日本人のhydromedusa tectifera飼育者の多くは90㎝規格水槽か60*45水槽でこの種を飼育していることと思います。
ケージを語るには飼育を定義しなくてはなりません。
欧米でのカメの飼育は日本とはかなり考え方が違います。
彼らの飼育とはカメがストレスなく本来の野生下と同レベルの暮らしを実現することが飼育と定義されています。
リクガメのケアシートを読むとケージサイズは縦横の和が甲長の10倍以上と推奨されています。
例えばホウシャガメを最大サイズまで飼育するには3m×2m以上のケージサイズを要求されるということです。
一方で日本では飼育するカメをどのサイズの規格ケージに入れて飼育するか?から飼育方針を考えます。
これは日本における飼育の定義が欧米とは全く異なるからです。
日本の飼育とは飼育者の手元に置いて長く生き延びさせること、欲を言えば殖えることと、飼育者事情優先が定義ではないでしょうか?
飼うという概念が飼われるカメの快適な暮らしを実現することではないからです。
カメのケージを語る上で、このケージの規格サイズを払拭しないと理想的なカメ飼育は難しいです。
個人的にはこの飼育の定義からして日本でのカメ飼育に疑念を覚えます。
余談ですがケージサイズを適正化すればカメの重篤な病気の殆どを未然に防ぐことが可能だと思います。
https://m.youtube.com/watch?v=yWmHXRI4g1A
これは野生下のhydromedusa tectiferaの動画です。
冒頭のケージが如何にこの野生環境を再現したものかお分かりだと思います。
このギザミネヘビクビガメの飼育方法は色々な面で気付きがあるのですが、それはまた別の機会に譲ります。
さて、ケージの大きさです。
ミズガメの場合、私は水量、次にケージのサイズだと思います。
具体的には、まず飼育するカメの成体の体重を調べます。
これはコウホソナガクビガメの調査記録です。
ザクッと中央値は1.5kg、最重量は3.0kgです。
ミズガメの場合、全換水を毎日すればそれこそプラケースでも飼育は可能ですが、私は低換水頻度かつクリーンな飼育水を維持するには体重の300倍の水量が理想だと考えています。
つまりこの場合は3.0×300で900ℓが必要水量です。
次にケージサイズです。
これはケージの幅・奥行・高さの総和が甲長の10倍以上が理想です。
ミズガメは水中で立体的な活動を行うので上記のサイズとなります。
コウホソナガクビガメの♀の最大甲長は31㎝ですから、ケージの総和が3.1mとなるように水槽サイズを決めます。
アロワナ飼育では体重から逆算して水槽サイズを決めるのが普通ですからアロワナ水槽メーカーでは規格水槽とは違う様々なサイズの水槽を用意しています。
私は震度6弱までの耐震保証をしているカンテツ水槽の一択です。
水槽サイズは1.8×0.9×0.6m=3.3mとなり、このサイズなら甲長31㎝まで狙うことができます。
水深を45㎝とると水量は約730ℓとなり、濾過槽で180ℓをとれば900ℓを超えて理想的なケージサイズとなります。
コウホソナガクビガメは水温・水質にはデリケートな種なのでオーバーフロー水槽で飼育するのが後々の機材追加や水質メンテナンスが楽になると思います。
私はケージサイズはこのように決めるのでどうしても小型種が中心の飼育種となります。
このケージサイズの考え方を教えてくれたのは最大サイズを調べもせずに欲しさのあまり衝動買いをしてしまったパーカーナガクビガメ達です。
彼等とともに20年近く暮らし、彼等が教えてくれたのがこのケージサイズ決定方法なのです。