カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

ケージの大きさ

2019-10-27 08:35:00 | オブさん日記

今日は。

今回はケージのサイズについてです。

まずはこちらの動画をご覧ください。

https://m.youtube.com/watch?v=oD6uOffIAfE

そもそもケージとは何か?サイズ云々よりもケージの概念を考えさせられるほどの動画ではないでしょうか?

飼育者とレポーターがなんとケージの中でインタビューしているのですから。

我々日本人のhydromedusa tectifera飼育者の多くは90㎝規格水槽か60*45水槽でこの種を飼育していることと思います。

ケージを語るには飼育を定義しなくてはなりません。

欧米でのカメの飼育は日本とはかなり考え方が違います。

彼らの飼育とはカメがストレスなく本来の野生下と同レベルの暮らしを実現することが飼育と定義されています。

リクガメのケアシートを読むとケージサイズは縦横の和が甲長の10倍以上と推奨されています。

例えばホウシャガメを最大サイズまで飼育するには3m×2m以上のケージサイズを要求されるということです。

一方で日本では飼育するカメをどのサイズの規格ケージに入れて飼育するか?から飼育方針を考えます。

これは日本における飼育の定義が欧米とは全く異なるからです。

日本の飼育とは飼育者の手元に置いて長く生き延びさせること、欲を言えば殖えることと、飼育者事情優先が定義ではないでしょうか?

飼うという概念が飼われるカメの快適な暮らしを実現することではないからです。

カメのケージを語る上で、このケージの規格サイズを払拭しないと理想的なカメ飼育は難しいです。

個人的にはこの飼育の定義からして日本でのカメ飼育に疑念を覚えます。

余談ですがケージサイズを適正化すればカメの重篤な病気の殆どを未然に防ぐことが可能だと思います。

https://m.youtube.com/watch?v=yWmHXRI4g1A

これは野生下のhydromedusa tectiferaの動画です。

冒頭のケージが如何にこの野生環境を再現したものかお分かりだと思います。

このギザミネヘビクビガメの飼育方法は色々な面で気付きがあるのですが、それはまた別の機会に譲ります。

さて、ケージの大きさです。

ミズガメの場合、私は水量、次にケージのサイズだと思います。

具体的には、まず飼育するカメの成体の体重を調べます。

これはコウホソナガクビガメの調査記録です。

ザクッと中央値は1.5kg、最重量は3.0kgです。

ミズガメの場合、全換水を毎日すればそれこそプラケースでも飼育は可能ですが、私は低換水頻度かつクリーンな飼育水を維持するには体重の300倍の水量が理想だと考えています。

つまりこの場合は3.0×300で900ℓが必要水量です。

次にケージサイズです。

これはケージの幅・奥行・高さの総和が甲長の10倍以上が理想です。

ミズガメは水中で立体的な活動を行うので上記のサイズとなります。

コウホソナガクビガメの♀の最大甲長は31㎝ですから、ケージの総和が3.1mとなるように水槽サイズを決めます。

アロワナ飼育では体重から逆算して水槽サイズを決めるのが普通ですからアロワナ水槽メーカーでは規格水槽とは違う様々なサイズの水槽を用意しています。

http://aquaponic.jp/price1/

私は震度6弱までの耐震保証をしているカンテツ水槽の一択です。

水槽サイズは1.8×0.9×0.6m=3.3mとなり、このサイズなら甲長31㎝まで狙うことができます。

水深を45㎝とると水量は約730ℓとなり、濾過槽で180ℓをとれば900ℓを超えて理想的なケージサイズとなります。

コウホソナガクビガメは水温・水質にはデリケートな種なのでオーバーフロー水槽で飼育するのが後々の機材追加や水質メンテナンスが楽になると思います。

私はケージサイズはこのように決めるのでどうしても小型種が中心の飼育種となります。

このケージサイズの考え方を教えてくれたのは最大サイズを調べもせずに欲しさのあまり衝動買いをしてしまったパーカーナガクビガメ達です。

彼等とともに20年近く暮らし、彼等が教えてくれたのがこのケージサイズ決定方法なのです。


ケージの大きさ

2019-10-13 08:00:54 | オブさん日記

今日は。

2019年2月9日にお迎えしたchelodina coliei、こと「オブさん」ですが10月13日時点で甲長9㎝になりました。

7ヶ月の飼育で甲長が倍になりましたのでやや成長スピードが早いかなぁと気を揉んでいます。

というのもベビー時に成長スピードが早過ぎるとアダルトになった時に体の大きさに比較して頭部の小さな個体になってしまうことが多いのです。

とくにジーベン、パーカー、エキスパンサといった大型のナガクビガメに顕著に見られるのでワイルド個体のようなフォルムに育成するには季節に応じて給餌量を変化させたり、クーリングをする等の成長スピードにメリハリをつけた飼育が必要です。

ではオブさんを振り返ってみます。

2月9日

 頭部の大きいいわゆるベビーの体型です。

6月26日

10月13日

手足・甲羅が大きくなり頭部と甲羅のバランスがベビー時からは大きく変化しています。

ではワイルドのアダルト個体を見てみます。 

 これは産卵のために上陸したchelodina colieiの写真です。

ワイルドのアダルト♀個体です。

遊泳する広さや食べているエサにもよるのでしょうがこれがいわゆるchelodina colieiの正常に成長した体型だと思います。

エサの少ない野性下では1回あたりの狩りをより確実な成果を得るためにエサを吸い込む筋力と捉えたエサを離さないアゴの筋力が発達するものです。

当然ながら頭部全体の筋力が発達し大きな頭部へと成長します。

これは飼育下で忠実に再現することは不可能ですが近づけることは可能です。

飼育下で可能な方法は可能な限り大きな水槽で遊泳させ、カロリー消費を促進する。

エサを与える間隔を空けて1回あたりの給餌量を増やすことだと思います。

上記の飼育方法で500円玉サイズから育成し、20年近く経つパーカー♀です。

最初の10年は甲羅が主に成長し、20㎝を越えてからは頭部が大きくなりました。

大型熱帯魚を飼育しているマニアの間では常識ですが体型をシャープにし、かつ長生きさせるコツは如何にエサを与えないか、です。

飼育下では長年の飼育で魚も人馴れし、エサをねだることしきりです。

なので熟練飼育者は咲きひかりを使用してガサの割に粗栄養のエサに切り替えるのです。

過剰な栄養を与えることなく満腹感を与える上で咲きひかりは理想的なエサなのです。

カメも全く同じで小さなケージで運動量が確保出来ない場合は咲きひかりが理想的なエサだと思います。

私が主食に使用しているタートルプリンは栄養価は高いのですが、水分含有率が約80%とほぼ水なので咲きひかりと同じ効用が得られていると思います。

因みにデフレップさんのこの見事なギザミネ、甲長10㎝から飼育7年でここまで立派な体型に育っています。

飼育環境は屋外の叩き池、サイズは600*900*400でエサは咲きひかりのみだそうです。

因みにギザミネのワイルド個体の写真です。

これはウルグアイの正真正銘のワイルドですがデフレップさんの個体の方がやや太っているとはいえ、ワイルド個体と遜色ない仕上がりに、飼育下での完全育成の可能性を示唆しています。

書いているうちに横道に逸れ、肝心のケージサイズに言及できません。

これも話すと長くなるテーマなので次回に持ち越します。

参考までにこのデータを貼付します。

これはパース市内ハイドパークにおける大規模なchelodina colieiの個体調査のデータです。

https://mobile.abc.net.au/news/2015-10-28/hyde-park-turtle-study-launched-in-perth-as-population-declines/6890160

次回はこのデータをヒントに理想的なオブさん育成環境を考察してみます。