カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

オーストラリア大陸について

2018-08-26 08:06:55 | 雑記

おはようございます。

昨日はマルナガクビガメとマニングリバーカブトガメについて書きました。

そのなかで西オーストラリア州だから難しいとかニューサウスウェールズ州だから飼えるとか、多くの方にはよく分からない記事だと思います。

今日はその補足をします。

まずオーストラリア大陸のカメは、皮膚や直腸を使い水中の溶存酸素を取り込む割合が高く、呼吸の約30%をこのガス交換に依存していると言われています。

特にハヤセガメは100%ガス交換で、水上に現れることがないほどです。

このガス交換をするカメはとりわけ水質を合わせないと長期飼育は困難だと言われています。

オーストラリアの内水面の水質は東西で違います。

細かな説明の前にこの図をご覧下さい。

東部沿岸部に1,000m以上の山脈があります。

オーストラリア大陸は日本の約20倍の面積ですから、この山脈部分が大まかに本州位でしょうか。

この山脈に海風がぶつかり雨が降ります。

オーストラリアは内陸部ほど海抜が低く内陸部に向けて川が流れています。

お気づきでしょうか。

東部は降雨量が多く日本のような河川水なのです。

なのでこの辺りに分布するカメは日本の水質に耐性があるのです。

マニングリバーカブトガメもコウヒロナガクビもロンギコリスもこの東部に分布するカメなのです。

ただしオーストラリアは過去何万年にも渡り海風がミネラルを運び、内陸部の低海抜地に蓄積したことで河川水もアルカリ水に傾いています。

例えばブリスベン川の水質はPH7.7、TDS162、GH5というデータがあります。

この数値なら日本の水道水とさほど変わりないので通常の水換えで対応可能です。

KENTのシクリッドエッセンスを加えるとなおいいでしょう。

余談ですがオーストラリアの都市の殆どがこの東部に集中しています。

やはり降雨量が多く住みやすい環境なのです。

では西半分、実はこの西半分は=西オーストラリア州なのです。

この西オーストラリア州、非常に特殊な環境でカメも3種しか分布していません。

すなわちクビカシゲガメ、コウホソナガクビガメ、マルナガクビガメです。

本来なら全ての種が流通しないはずですがコウホソ、マルナガはNON CITESのためごく稀に流通します。

因みにクビカシゲは局所分布に加えて厳しい監視下にありますし、マルナガの生息地は殆ど人が住んでいない荒地です。

西オーストラリア州都のパース付近にごく普通に生息するコウホソナガクビガメはパースの人達には日本人のクサガメ位にありふれたカメなのでしょう。

西オーストラリア州の特殊な環境の要因は降雨量が少ないことでしょう。

マルナガクビはこのステップ気候部分に、クビカシゲ、コウホソは温帯気候部分に分布しています。

マルナガの生息地です。

 因みにジーベンのオーストラリア個体群はこの熱帯気候部分に分布しています。

西オーストラリア州の河川水は東部のような降雨水ではなく、東部の降雨水が地下水となり、その湧水が河川水となっています。

つまり地下の地質を通水した上に表土のミネラルが溶出した特殊な水質です。

パースのスワン川の水質はPH8〜9、TDS値は3,000以上、GH9位の水質だと推測されます。

この水質を日本で再現するにはRO水を用いて海水魚用の添加剤をドーシングポンプで常時添加するしかないでしょう。

あるいは南阿蘇の白川水源とか、旧白州町の湧水を使用するとかでないと不可能でしょう。

この源水に添加剤を加えれば西オーストラリア州の水質を再現できます。

逆を言えば、上記の土地に住んでいれば長期飼育は可能だと思います。

私はナガクビ・ヘビクビガメの頸が長いのは彼等の防御が進化理由だと考えています。

ブラジルヘビクビに顕著ですがやはり彼等の長いクビはエサを捕らえるためでなく、隠蔽をより確実にするためだと思います。

彼等は直腸のガス交換機能といい、ウミガメとはまた別の方法で水中生活に特化して進化したカメだと思います。

彼等の長い頸は皮膚呼吸を強化するために皮膚の表面積を拡大する意図なのかもしれません。

長い間ナガクビ・ヘビクビを飼育してきて思うのは、エサを捕らえるために長い頸だという考えには反対です。

私はやはり陸に上がらないために長い頸に進化したのだと推測しています。

皮膚呼吸と直腸のガス交換、このためナガクビ・ヘビクビガメはとりわけ水質にデリケートなカメだと思います。

従ってこのカメ達には従来の大量換水による水質維持では彼等の要求水準には至らないと思います。

やはり強力な濾過により飼育水を維持する方が狙った水質を再現し易いと思います。

最近は大型熱帯魚の世界でも強制濾過機が広がりつつあります。

 特殊な水質を再現するにはサンプ層(飼育水量を稼ぐため)を作り、強制濾過機に通水、濾過水に添加剤を点滴するのが理想的だと思います。

いい加減、ブラジルヘビクビも衣装ケースをやめて本水槽を立ち上げる予定です。

ただブラジルヘビクビは代謝が低いので従来のオーバーフローシステムで充分な濾過効果を得ることが出来ます。

マルナガの代謝量は分かりませんが、成体サイズからは上記のシステムで可能かもしれません。

しかしコウホソの成体時の大きさを考えるとやはり強制濾過機による濾過がより現実的な選択となるでしょう。

やはりコウホソやマルナガは頭もお金もフル稼働させないと殖やすのが難しいカメであると言えますね。

西オーストラリア州のカメはよほどの覚悟と情熱に加えて飼育スキルがないと飼えないカメだといえます。


奇跡の入荷に寄せて

2018-08-25 10:36:07 | 雑記

今日は。

暫く筆を休める予定でしたが、そうもいきません。

ソリガメは残念でしたが機会があれば再びチャレンジしようと思いますが、次回は絶対にハンドキャリーに拘りたいと思います。

ここ10年、高額なカメも全て送りで入手してきた私は、金銭感覚が麻痺していたのかもしれません。

手許の個体を仕上げることに自信を持ち、慢心していた自分自身を深く反省することとなりました。

次回、ソリガメが上手く飼えれば今回の私なりの原因と善後策が正しいと検証出来ますが果たして再度ソリガメを購入するかは疑問です。

そう、奇跡の入荷が続く2018年にリクガメどころではないのです。

昨年の入荷に腰を抜かしたChelodina steindachneriの日本入荷!

今年はヤングペアの入荷です。

本当に驚きました。

オブとエキスパンサが安定的にCBが入荷する昨今ですがスタインは入荷が絶望的とみられていたのでナガクビコンプリートは不可能だと思っていました。

それがペア入荷です!

オブ、エキスパンサ、マキシ、マクロ、ラジオラータ、かつての幻の曲頸は悉くEUマニアが殖やしてきました。

特にマキシことブラジルヘビクビは日本のショップがドイツのイベントで販売したペアを元に殖やしています。

日本は仕入れは上手いが殖やすのがダメなのです。

輸入に強いショップさんの人脈は本当に凄いです。

しかし我々客側はEUマニアとは雲泥の差があります。

今の日本でおそらくN氏がブリード引退したら曲頸の国内CBは激減するはずです。

ギリシャ、アメハコ、ハラガケ等のメジャーな種のみCBが量産される日本の市場はアカデミックとは遠い市場です。

オージーロングネックと南米曲頸は増やすのが非常に難しいです。

EUマニアが寛大にも詳細な繁殖データを公開しているにもかかわらず日本で成功したのはクロハラヘビクビくらいなものです。

今、国内にあの幻のカメ、スタインダックネリーが3個体もいるのです!

こんな時代が来るとは思いませんでした。

スタインは日本はもちろん、世界中の曲頸マニア垂涎の的です。

やはりなんとしても国内CBを実現して欲しいというのが私の悲願です。

スタインWCヤング個体の現地写真です。

西オーストラリア州のカメですから飼育はとんでもなく難しいと思います。

やはり水質が特殊ですから年単位の飼育はデリケートでしょう。

そしてもうひとつのとんでもない入荷が…

 マニングリバーカブトガメ!

ノコヘリカブトのEU、アメリカCBの入荷をみるにつけ、マニングの入荷を夢見て溜息をついたものです…

今、マニングのペアが日本にいるのです。

マニングも過去に数度日本に入荷してますが、このカメもまた世界的にも流通はなく極めて珍しいカメです。

こいつもヤングペア入荷なんて、本当に日本人で良かった!

このカメはニューサウスウェールズ州のカメですから水質は日本の水道水でも大丈夫なはずです。

ただ繁殖まで持っていくにはやはりマニングリバーの水質を再現する必要があると思います。

というかこのカメも世界中の憧れなので殖やすことが責務だと思います。

曲頸はリクガメ人気に押されて世界的にも不人気です。

今回マルナガクビも価格はホウシャガメより高いですが、不人気バイアスがかかってますから、本質的な価格はより高いはずです。

マニングリバーも同様でしょう。

おそらくハコガメ人気にあやかったネルソンハコガメと同じくらいの価格が本来の価格ではないでしょうか?

しかしこんな時代にもかかわらずマルナガやマニングを仕入れる日本のショップはある意味サムライだなぁ…

特にマルナガはいつ死んでもおかしくないし。

まぁ、ネルソンも結構死んでいるらしいし、この辺りのカメは本当に飼育すること自体、1日1日が恐怖ですが…

アメハコ、ギリシャ、ビルマホシ、ハラガケ、キボシの国内CBを動かすだけで今の日本なら商売が成り立つと思いますが、日本のショップさんのチャレンジ振りに驚きの連続です!

ブラジルヘビクビの繁殖に成功したら次の目標をコウホソWCに定めている私には嬉しい入荷が続いています。

だからこそ、日本のカメ界の陋習を絶ち、データに基づく飼育とその情報共有により数々の希少種をブリードしてきたEUの飼育観を取り入れるべきだと私は思うのです。

 もう6年前ですが…

今なら間違いなく、即買いしますよ、ペアで…


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2018-08-04 22:03:10 | リクガメ

今晩は。

本日、ソリガメが亡くなりました。

7月8日にお迎えし、亡くなったのが8月4日ですので1ヶ月に満たない一緒の時間でした。

朝、水浴びをさせると目を閉じて、前足がすでに動かせない状態で動物病院に急ぎかけこみましたが診察台に乗せた時点で事切れていました…

朝、水浴び後の体重が354g、それから4時間後の病院では250gと本当にあっという間でした。

しかしこれは人間の勝手な後講釈でやはりお迎えしたと同時に死がカウントダウンしていたのだと思います。

それを見抜けなかった自分が本当に情け無いし、カメに申し訳ない気持ちで一杯です。

先生に念のため脈を測って頂き、亡くなったことを確認しました。

亡骸は綺麗な川べりに素手で穴を掘り埋葬しました。

私は12匹のカメを飼育していました。

長いものは15年以上、今回のソリガメは実に短い付き合いでしたが1頭1頭への愛情は全てに同じく平等です。

本当にカメの死は辛く胸の張り裂ける思いです。

残された11匹をまずは全力で飼育することが亡くなったソリガメへの供養と思い、しっかりと前を向いて飼育をして参ります。

安易な飼育を決めた自分を許せない気持ちで一杯ですが、いずれ気持ちを整理していくつもりです。

死因については先生のお話では解剖しないと分からないとのこと、先生、私ともに行き着く心当たりはあったとしか、この場では申し上げられません。

やはりソリガメはEUCBかWCであれば飼い込み個体を購入することが飼育の基本であると感じております。

なんの罪もないカメを地球の反対側から輸入し、大災害の最中、国内を移送させた人間のエゴの犠牲となったソリガメの冥福を祈るとともに自らの行いを深く恥じ入り、更にカメの飼育を上達できるように精進するのが亡くなったカメ達への供養だと思います。

少なくとも1年間は拙ブログをお休みさせて頂きます。

皆様、ありがとうございます。