カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

1年経ちました!

2020-02-08 09:30:00 | オブさん日記

今日は。2019年2月9日にお迎えしたchelodina coliei、ことオブさんですがお陰様で無事に 1年が経ちました。

2019年2月9日

2020年2月8日

昔から我々曲頸マニア間でも飼育の難しい種といわれ、ある意味曲頸マニアの到達点ともいわれてきた「chelodina oblonga」です。

今回はこの通称「オブロンガ」を 1年間飼育してきた率直な感想を述べたいと思います。

※私の飼育下での観察なので遍くこの種に共通するものではないことをご承知おきください。

https://m.youtube.com/watch?v=TBmTuZmTH_M

この動画はアッテンボロー氏の観察動画ですが、私の観察した飼育下のオブさんと特徴が一致しているので紹介しました。

我が家のオブさんも基本は夜行性です。

昼は殆どシェルターに隠れています。

バスキングは秋には何度か観察されたのでメタハラをつけましたが11月から現在までバスキングは 1度も観察できません。

冬場の水温は日中20度、夜間17度です。

それから上記の動画でよくみて欲しいのですが、このオブロンガは水底を歩いているのではなく泳いでいます。

実は我が家のオブさんも動画のようによく泳いでいます。

おそらく毎日2〜3時間程度はケージの端から端までスイスイと巧みに泳ぐのです。

こちらの動画は飼育下のオブロンガですが我が家のオブさんも本当にこの動画のように上手に泳いでいます。

https://m.youtube.com/watch?v=G2j057yhk1I

これらの動画や私自身の観察からやはりオブロンガには広いケージで運動量を確保する必要があると考えています。

オブさんを最大甲長まで仕上げるには180×90×60の大型水槽が必要だと思っています。

次に昔からいわれてきた水質ですがアンモニアと亜硝酸塩が検出されなければかなりの広範囲に対応すると思います。

アンモニアと亜硝酸塩には極めて弱く、これらが水槽内に発生するとバスキングをし、エサを食べなくなりますので理想的には水質検査キットで亜硝酸塩が検出されないうちに換水し、亜硝酸塩を発生させない水質を維持するとエサ喰いもよく状態よく飼えると思います。

私はこの種を状態よく飼育するには塩分がポイントだと考えているので濾過を効かせて出来るだけ換水頻度を下げていますが、多くの飼育者が毎日の全換水で飼育しているのはこのアンモニアと亜硝酸塩への対策からのはずです。

飼育水のPHは7.0以上であれば相当に頑丈です。

我が家のオブさんはPH値が9程度のいわゆるアルカリ水になっても普通にエサを食べています。

が、地元のケアシートではPH値は7.2〜7.8とかなりシビアな水質を要求しているのでこの辺が水質の目安ではないかと思います。

日本の水道水は全国的にPH7.0〜7.2、硬度60ppm程度に整えられているので毎日全換水方式は無難な飼育方法だといえます。

ただこの飼育方法ではカルシウムとマグネシウムが不足すると思います。

オブロンガの棲むスワン川の水質データから類推すると現地のカルシウムとマグネシウムによる硬度はおそらくは500〜1,000ppm程度はあると思います。

不足するカルシウムはエサで補うことが大切だと思います。

私自身はこの硬度とカルシウム摂取量に留意した飼育に取り組んできました。

具体的には、PHモニターを使用し、PH7.0以上を維持すること、サプリメントを多用し、カルシウム摂取量を増やすことの2つに注力しました。

今朝の水質データです。

後述しますがダスティングしたサプリメントが飼育水に溶け込みPH値を上げています。

さて、次にエサです。

オブさんは甲長4.5㎝でお迎えしました。

ナガクビガメはベビーの時が一番難しいです。

体力がないうえに偏食です。

私は初期飼料をキョーリン「クリーン赤虫」から始め、環境になれてからはカットした冷凍キビナゴ、同冷凍シバエビにし、喰いがしっかりしてからはこれらにリクガメ界で人気の「スペシャルフード」をダスティングして与えました。

更に状態が上がってからは月夜野ファームの冷凍イエコオロギ、最終的には自作のタートルプリンまで持っていきました。

かなりの量のダスティングとプリン方式で食べさせることにより、この種の求めるカルシウム量を担保しているつもりです。

スペシャルフードの主原料は牡蠣殻ですからダスティングした分は飼育水に溶け、結果アルカリ度が上がっていると思います。

これは寧ろ野生下の再現性を高め、オブさんは硬度の高い飼育水を飲むことでもカルシウム摂取が促進されていると思います。

まぁ、主観的ですが我が家のカメ達は全て大量のカルシウムを摂取させて育成しているので骨密度は高いはずです。

なので実際に持ち上げれば大きさの割に重いことに驚くと思います。

おそらくこの骨密度は運動量と正比例の関係にあると思います。

話を戻しますが、このようにダスティングしたエサからもカルシウムが溶け込むので定期的に部分換水してPH値を下げるようにしています。

今日は前回の換水から2週間経ちますから亜硝酸塩と硝酸塩量を測定します。

もともと青水なので判別しにくいのですが…

ごく僅かに亜硝酸塩が検出されています。

横からです。

 

私は定期的に検査しているのでごく僅かながら亜硝酸塩が検出されているのが分かります。

0.05ppm以下だと思いますが間違いなく亜硝酸塩が発生しています。

なにより今朝のオブさんがエサを食べたいのに食べられないサインを出していました。

寧ろ亜硝酸塩の発生を確認するために検査したのが本音です。

この状態でもエサを喰わせることは出来ますが確実に状態を崩すはずです。

余談ですがカメを長生きさせるコツはこうしたサインを素早く察知して的確なアクションをすぐにとることです。

こうすることで状態を崩さない、否、調子を上げ続けることが大切です。

念のため硝酸塩も測定します。

案の定、硝酸塩量はMAXですね。

亜硝酸塩まで検出されるので濾過能力を超えて水が汚れています。

今はろ材をスカスカにしてフィルターも 1日12時間の稼働でしたから今回の換水からろ材を増量します。

まもなく濾過能力を超えてくると思い安定のシポラックスを買い置きしていました。

最近では品質にブレのないシポラックスが一番安心して使用できるろ材です。

前回のブログで死んでいったカメ達への贖罪で、便利さを追求しないと書きました。

多くの方がなんと面倒臭い奴、と思うことでしょう。

しかしこうした面倒臭いことから目を逸らさない飼育が状態よくカメを長生きさせるコツだと私は信じています。

雑誌・飼育書・SNSではこんな手間のかかる飼育方法は紹介しないでしょう。

カメが元気に長生きすることは極論すれば爬虫類マーケットや動物医療業界は拡大しません。

カメが死ぬこと、病気になること、飼育器具が次々と新陳代謝して新製品が売れることをマーケット拡大の原動力としてきた業界で最小限の器具、手作りのエサ、死なないカメ、病気にならないカメ、こんな飼育者が金になるわけはありません。

従って私の飼育方法は日の目を見ることなどないでしょう。

試しにお手元の飼育書をご覧になって下さい。

大雑把なザックリしたことしか書いてないと思います。

雑誌は尚更です。

スポンサーあってのことですからね。

イベントなどでカメをみている方々を見かけると私は陰鬱な気分になります。

カメ達の生殺与奪を握るのは他ならぬカメの購入者です。

カメの飼育環境、どれだけ生きられるのか、ひいてはどれだけ飼われながらも幸せを感じて暮らせるのか?

既に一定の規模に達し、爬虫類業界で食べている方々も多い時代になりました。

あれだけ毎年のように大量のCB個体が売られている一方でカメが溢れている話は聞きません。

おそらく需給がバランスする分だけ死んでいくカメがいるはずです。

命あるものは必ず死にます。

その真理を覆すつもりはありませんが命と向き合っているという緊張感だけは我々飼育者は忘れてはならない、と私は思います。

簡単・便利にカメが飼えているのは言い換えれば死なない日を 1日単位で引き伸ばしているだけなのかもしれません。

オブさんお迎え 1年、この記念日に改めてこちらのブログを胸に刻み込む日にしたいと思います。

https://ameblo.jp/hachuruiparadise/entry-12045780287.html


オブさんの近況報告

2019-11-17 10:55:00 | オブさん日記

今日は。

本当は濾過と水質、そもそもカメの飼育に濾過が必要なのか?について書きたいのですが…

そもそも生物濾過、進んでは脱窒還元まで説明が必要となるので別の機会に。

さて、今日はchelodina coliei、我が家の愛称「オブさん」の近況報告です。

過日は少数ながら2019ドイツCBが入荷しましたから新たなオブ飼いさんの参考にでも。

今年2月9日にお迎えしたオブさん、飼育9ヶ月を越えた現在はというと、

すみませんね、いきなり背甲のどアップで…

でもこれが全てをお伝えしています。

お迎え時の写真です。

お分かりでしょうか?

ベビー時の初甲板がどれだけ小さく見えることか。

つまり成長線の分だけ大きくなりました。

お迎え時甲長4.5㎝から現在では9.5㎝強あります。

画像を見る限り、甲羅のボコつきや成長異常はなさそうです。またシームもしっかりとしており、シェルロットの兆候もありません。

念のため、甲板をアップで撮影しました。

 病気もなく綺麗な放射線状に成長していますね。

オブさんがストレスなく育っている証です。

次のチェックポイントは頸です。

昔から言われていますがオブロンガは調子を崩すとシェルロットと頸部の潰瘍がみられるのです。

異常はなさそうですね。

更に念を入れて腹甲も、

脱走しようとして豪快にひっくり返っていましたが…

問題ないようです。

余談ながら♀確定ですね。

♀であれば異常に早い成長スピードもある程度は頷けます。

オブロンガはメダカや小赤、カンシャ等で育成するのがオーソドックスな育成ですが、我が家のオブさんは活き餌を与えたことは全くありません。

鶏のハツとレバーを主原料としたタートルプリン(通称スペフーを沢山練り込んでいる)、月夜野ファームさんの冷凍イエコウロキ羽&M、スペフーダスティングした冷凍キビナゴや冷凍シバエビを与えています。

古い記事なので価格は改変されています。

http://blog.livedoor.jp/fenwickxc555/archives/2475505.html

乾燥飼料にはまだ餌付いてないので、割と意図的に水分含有率の高いエサを与えています。

この種は水質にうるさく、気にいらないと水を飲まないで脱水症状になり、それがストレスでシェルロットになるような神経質な面があるので水分補給には気をつけています。

甲長10㎝を越えてきたらレプトミンスーパーも食べて欲しいと思います。

飼育して素直に感じるのはブラジルヘビクビと比較すると驚くほど飼育は簡単です。

まぁ比較するブラジルヘビクビはWC、オブさんがCBと比較のベースは違いますがオブロンガは立ち上がってしまえば生命力は強いカメだと思います。

環境に慣れてしまえばストライクゾーンを多少外れても調子良く飼えると思います。

おそらくほぼ間違いないと思いますがオブロンガの飼育の基礎データをつらつらと。

水質はPH7.2〜8.0、水温17〜22度、塩分濃度0.2〜0.4ppt。

風が好きなのでケージの上を湿度の低い風が抜ける環境なら最高です。

補足として水温は28度位までは全然大丈夫です。

ただし、1日のうち必ず8時間は22度以下に冷やしてやるのが調子良く飼育するコツです。

オブさんは室内無加温飼育で、現在の水温は19〜20度ですがエサはバクバク食べるし、大きくなっています。

PHはサンゴ砂等で最低7.0以上にした方がいいと思います。私は7.0以下にしたことがないのでPH耐性がどこまであるのか分かりません。

水が合わないとミズカキが白く変色するので毎日ミズカキは観察するのが無難です。

現地では屋外飼育池に定期的に石灰を投入してPH維持しているのでPH7.0以上は必須だと思います。

私はクリーパー55号P68に掲載されたオブロンガの生息する池の水質データに基づき飼育していますが、オブさんの調子を見る限りこのデータは正確にオブロンガの好む水質を示していると思います。

このデータでは硝酸塩が50ppmとありますが、本当にオブロンガは普通であれば換水が必要なほどの高濃度の硝酸塩を好みます。

ベビー時の立ち上げでは新水よりもブラジルヘビクビの捨て水で飼育すると驚くほど調子が上がりました。

ブラジルヘビクビの捨て水は亜硝酸塩 0、硝酸塩50ppm以上です。

亜硝酸塩には極めて弱いので、亜硝酸塩が検出されれば直ちに換水しないと脱水症状を起こすと思います。

私はN氏から直接パースの状況をお伺いする機会がありますが、その情報からやはり塩分は必要だと判断しています。

たまたまベビーの頃、ティースプーンで少しずつ人工海水を加えていきオブさんの調子が一番いい時に測った塩分濃度が0.3〜0.4pptの間でしたので現在も塩分濃度0.3pptを基準としています。

余談ながら私は最後まで人工海水のブランドをテトラマリンソルトかナプコリーフクリスタルか悩みましたが、カメにはオーバースペックと判断してテトラマリンソルトを選択しました。

もちろんこれでスペックは十分ですが、マルナガクビを2年近く飼育されている方がリーフクリスタルを使用していると聞き、「なるほどなぁ」と妙に納得してしまいました。

私はライブコーラル時代から人工海水はリーフクリスタルを使っていました。

海水は全世界繋がっていますが海水成分・塩分濃度は海域によりかなり違います。

現在、サンゴ界ではオーストリアのスコミリアが世界的にブームであり、このリーフクリスタルはスコミリア飼育にも好成績なのです。

オージータートルなので人工海水もオージーコーラルに好評なもので、と迷ったものですがマルナガクビにリーフクリスタルはありだなぁと思います。

http://napqo.jp/artificial-seawater.html

長らくオブロンガは水質にうるさいとか神経質なカメ、といわれてきました。

私の個人的見解ですが、オブロンガは塩分、カルシウム、マグネシウムがポイントだと思います。

身体が出来上がってしまえばこの限りではありませんが少なくとも成長期はこれらのポイントを押さえて飼育するのが無難だと思います。

あとシェルターも重要です。

オブさんはシェルターを2段重ねにしていますが気分に応じて浅いシェルターと深いシェルターを使い分けているのもストレス軽減に役立っていると思います。

オブロンガは現地では真冬に孵化します。

冬の間はシェルターに隠れてじっとしているはずです。

ある程度身体が大きくなってからは広い範囲を索餌すると思いますがベビー時はしっかりとシェルターに隠れて落ち着ける環境が必要だと思います。

N氏はエアレーションをしていますが、私も夜間5時間だけタイマーでエアレーションをしています。

これは亜硝酸塩を生物濾過で0にするためであり、毎日全換水する方法なら必要ありません。

N氏は井戸水を使い週一での換水なのでおそらくは私と同じ効果ではないかと思います。

オブロンガはナガクビマニアの最終ゴールともいわれるカメですし、落とした先人も多いです。

しかも高価なカメですから購入できる方は設備にもお金をかけられる方だと思います。

が、誤解を恐れずにいえば究極の飼育とは個体の調子良さを目的とした時に優先順位と劣後順位を峻別することです。

私の考える優先順位は、保冷機器、PH測定器、シェルター、人工海水です。

劣後順位は、生き餌、人工飼料かなぁと思います。

これらを判断基準としてできる限りケージ内をシンプル化し、事故を未然防止しなければなりません。

最後になりますが、この飼育方法が当てはまるのは、オブロンガとスタインダックネリーの2種(スタインダックネリーはもっと緩いかもしれませんが)になりますので、ジーベンその他ナガクビガメの飼育方法は別方法となりますのでご留意下さい。

 


ケージの大きさ

2019-10-27 08:35:00 | オブさん日記

今日は。

今回はケージのサイズについてです。

まずはこちらの動画をご覧ください。

https://m.youtube.com/watch?v=oD6uOffIAfE

そもそもケージとは何か?サイズ云々よりもケージの概念を考えさせられるほどの動画ではないでしょうか?

飼育者とレポーターがなんとケージの中でインタビューしているのですから。

我々日本人のhydromedusa tectifera飼育者の多くは90㎝規格水槽か60*45水槽でこの種を飼育していることと思います。

ケージを語るには飼育を定義しなくてはなりません。

欧米でのカメの飼育は日本とはかなり考え方が違います。

彼らの飼育とはカメがストレスなく本来の野生下と同レベルの暮らしを実現することが飼育と定義されています。

リクガメのケアシートを読むとケージサイズは縦横の和が甲長の10倍以上と推奨されています。

例えばホウシャガメを最大サイズまで飼育するには3m×2m以上のケージサイズを要求されるということです。

一方で日本では飼育するカメをどのサイズの規格ケージに入れて飼育するか?から飼育方針を考えます。

これは日本における飼育の定義が欧米とは全く異なるからです。

日本の飼育とは飼育者の手元に置いて長く生き延びさせること、欲を言えば殖えることと、飼育者事情優先が定義ではないでしょうか?

飼うという概念が飼われるカメの快適な暮らしを実現することではないからです。

カメのケージを語る上で、このケージの規格サイズを払拭しないと理想的なカメ飼育は難しいです。

個人的にはこの飼育の定義からして日本でのカメ飼育に疑念を覚えます。

余談ですがケージサイズを適正化すればカメの重篤な病気の殆どを未然に防ぐことが可能だと思います。

https://m.youtube.com/watch?v=yWmHXRI4g1A

これは野生下のhydromedusa tectiferaの動画です。

冒頭のケージが如何にこの野生環境を再現したものかお分かりだと思います。

このギザミネヘビクビガメの飼育方法は色々な面で気付きがあるのですが、それはまた別の機会に譲ります。

さて、ケージの大きさです。

ミズガメの場合、私は水量、次にケージのサイズだと思います。

具体的には、まず飼育するカメの成体の体重を調べます。

これはコウホソナガクビガメの調査記録です。

ザクッと中央値は1.5kg、最重量は3.0kgです。

ミズガメの場合、全換水を毎日すればそれこそプラケースでも飼育は可能ですが、私は低換水頻度かつクリーンな飼育水を維持するには体重の300倍の水量が理想だと考えています。

つまりこの場合は3.0×300で900ℓが必要水量です。

次にケージサイズです。

これはケージの幅・奥行・高さの総和が甲長の10倍以上が理想です。

ミズガメは水中で立体的な活動を行うので上記のサイズとなります。

コウホソナガクビガメの♀の最大甲長は31㎝ですから、ケージの総和が3.1mとなるように水槽サイズを決めます。

アロワナ飼育では体重から逆算して水槽サイズを決めるのが普通ですからアロワナ水槽メーカーでは規格水槽とは違う様々なサイズの水槽を用意しています。

http://aquaponic.jp/price1/

私は震度6弱までの耐震保証をしているカンテツ水槽の一択です。

水槽サイズは1.8×0.9×0.6m=3.3mとなり、このサイズなら甲長31㎝まで狙うことができます。

水深を45㎝とると水量は約730ℓとなり、濾過槽で180ℓをとれば900ℓを超えて理想的なケージサイズとなります。

コウホソナガクビガメは水温・水質にはデリケートな種なのでオーバーフロー水槽で飼育するのが後々の機材追加や水質メンテナンスが楽になると思います。

私はケージサイズはこのように決めるのでどうしても小型種が中心の飼育種となります。

このケージサイズの考え方を教えてくれたのは最大サイズを調べもせずに欲しさのあまり衝動買いをしてしまったパーカーナガクビガメ達です。

彼等とともに20年近く暮らし、彼等が教えてくれたのがこのケージサイズ決定方法なのです。


ケージの大きさ

2019-10-13 08:00:54 | オブさん日記

今日は。

2019年2月9日にお迎えしたchelodina coliei、こと「オブさん」ですが10月13日時点で甲長9㎝になりました。

7ヶ月の飼育で甲長が倍になりましたのでやや成長スピードが早いかなぁと気を揉んでいます。

というのもベビー時に成長スピードが早過ぎるとアダルトになった時に体の大きさに比較して頭部の小さな個体になってしまうことが多いのです。

とくにジーベン、パーカー、エキスパンサといった大型のナガクビガメに顕著に見られるのでワイルド個体のようなフォルムに育成するには季節に応じて給餌量を変化させたり、クーリングをする等の成長スピードにメリハリをつけた飼育が必要です。

ではオブさんを振り返ってみます。

2月9日

 頭部の大きいいわゆるベビーの体型です。

6月26日

10月13日

手足・甲羅が大きくなり頭部と甲羅のバランスがベビー時からは大きく変化しています。

ではワイルドのアダルト個体を見てみます。 

 これは産卵のために上陸したchelodina colieiの写真です。

ワイルドのアダルト♀個体です。

遊泳する広さや食べているエサにもよるのでしょうがこれがいわゆるchelodina colieiの正常に成長した体型だと思います。

エサの少ない野性下では1回あたりの狩りをより確実な成果を得るためにエサを吸い込む筋力と捉えたエサを離さないアゴの筋力が発達するものです。

当然ながら頭部全体の筋力が発達し大きな頭部へと成長します。

これは飼育下で忠実に再現することは不可能ですが近づけることは可能です。

飼育下で可能な方法は可能な限り大きな水槽で遊泳させ、カロリー消費を促進する。

エサを与える間隔を空けて1回あたりの給餌量を増やすことだと思います。

上記の飼育方法で500円玉サイズから育成し、20年近く経つパーカー♀です。

最初の10年は甲羅が主に成長し、20㎝を越えてからは頭部が大きくなりました。

大型熱帯魚を飼育しているマニアの間では常識ですが体型をシャープにし、かつ長生きさせるコツは如何にエサを与えないか、です。

飼育下では長年の飼育で魚も人馴れし、エサをねだることしきりです。

なので熟練飼育者は咲きひかりを使用してガサの割に粗栄養のエサに切り替えるのです。

過剰な栄養を与えることなく満腹感を与える上で咲きひかりは理想的なエサなのです。

カメも全く同じで小さなケージで運動量が確保出来ない場合は咲きひかりが理想的なエサだと思います。

私が主食に使用しているタートルプリンは栄養価は高いのですが、水分含有率が約80%とほぼ水なので咲きひかりと同じ効用が得られていると思います。

因みにデフレップさんのこの見事なギザミネ、甲長10㎝から飼育7年でここまで立派な体型に育っています。

飼育環境は屋外の叩き池、サイズは600*900*400でエサは咲きひかりのみだそうです。

因みにギザミネのワイルド個体の写真です。

これはウルグアイの正真正銘のワイルドですがデフレップさんの個体の方がやや太っているとはいえ、ワイルド個体と遜色ない仕上がりに、飼育下での完全育成の可能性を示唆しています。

書いているうちに横道に逸れ、肝心のケージサイズに言及できません。

これも話すと長くなるテーマなので次回に持ち越します。

参考までにこのデータを貼付します。

これはパース市内ハイドパークにおける大規模なchelodina colieiの個体調査のデータです。

https://mobile.abc.net.au/news/2015-10-28/hyde-park-turtle-study-launched-in-perth-as-population-declines/6890160

次回はこのデータをヒントに理想的なオブさん育成環境を考察してみます。


オブさん近況報告

2019-09-08 09:00:00 | オブさん日記

今日は。

2月9日の雪が降る中にお迎えしたオブさん。

こんな雪の中、東京駅でオブさんを受け取りました。

お迎え日のオブさんです。

明日で丸7ヶ月が経つオブさん。

 大きくなったオブさんの写真、小さく見えている甲板はお迎え時の初甲板です。

7ヶ月で甲長は4.5㎝から8.2㎝に成長しました。

手前味噌ですが綺麗なフォルムで成長していると思います。

お迎え当初から物怖じしない人慣れした個体でしたから家内ともほぼメスだろうと話していましたが写真を見る限りメスで間違いないでしょう。

写真ではお伝え出来なくて残念ですが甲羅表面は凹凸もなくツルツルです。

非常に綺麗に成長しているのでこのまま順調に大きくなって欲しいものです。

オスは2003年、メスは2004年に500円玉サイズでお迎えしたパーカーです。

主食は自家製タートルプリン、レプトミンスーパー、キョーリンのキャットフードです。

パーカーは非常に丈夫で病気を1度もすることなくスクスクと育ちました。

カメの甲羅を綺麗に大きくするのは意外に難しいです。

特にナガクビは甲羅ツルツルは意外に見かけません。

割とボコつき気味の個体が多いと思います。

私はナガクビの甲羅をツルツルに仕上げるコツはまずは水質だと思います。

種類により好む水質は違うと思いますが、まずは水質を合わせて飼育水を飲んでくれることが大切です。

水を飲んで初めて食欲が湧くというものです。

ナガクビ飼育個体のおそらくは80%以上を占めるであろうジーベンもパーカーと近い生息地なのでほぼパーカーと同じ飼育条件でいけると思います。

伝聞ですが現地ではジーベンが下流域、中上流域にはパーカーが生息しているそうです。

ジーベンと同産地の熱帯魚といえばノーザンバラマンディーやターポンです。

これらの魚は水質に寛容であることからジーベンもph7.0付近を維持すれば問題ないと思います。

これは個人的な考えですが甲羅のボコつきは水質変化による喰いムラも遠因ではないか?と考えています。

大型水槽ならまだしも、小型水槽の全換水では下手をすれば換水前のph4から換水後は一気にph7以上になります。

一般にカメはphの変化に耐性があるので問題ないと思いますがオブロンガはphが1.5も違うと水合わせをしても半日ほどは調子が落ちるので水質の急変は成長スイッチになんらかの影響を与えているかもしれません。

特に水道水は曲者で、地元水道局の水質検査情報を鵜呑みにしていると痛い目に遭うので気をつけた方がいいと思います。

私は公表データがph7.6とあったので水道水汲み置きを安易にオブさんの換水に使用しました。

3/4もの大量換水をしたところ、オブさんが暴れだしたので水道水をチェックするとなんとphが9.3もありました。

飼育水がph7.8から一気にph9.0に上がったのでオブさんはパニックを起こしたのです。

このように水道水の水質も変化していますので大量換水前に水道水のphをチェックするのもありだと思います。

ただこれほど水質にうるさいカメはブラジルヘビクビとコウホソナガクビくらいだと思いますから多くの方は神経質になることはありません。

しかし可能ならば濾過を基本としつつ1/3程度の換水を3日に1度程度するのが水質を急変させず、従って喰いムラを発生させずに綺麗に大きく育てられると思います。

カメの好む水質を維持できればカメは充分に飼育水を飲んで食欲が上がるはずです。

食欲が上がればカメに必要な栄養素を意図的に与えることが可能になります。

余談ですがカメ自体の常在菌は濾過が上手く働くと殖えていくような気がしています。

カメの種類により常在菌は違うようですが5年、10年と経つと種類別に常在菌が水槽内で繁殖しているようでカメ達も本当に居心地の良い水質になってくるように感じています。

我が家のカメ達が病気知らずなのもこの種類別の常在菌のお陰なのではないかと考えています。

カメに濾過が必要か?と聞かれれば、私は「不要です」とお答えします。

蘊蓄を語るより、無駄な試行錯誤を重ねるよりもとりあえず換水で間違いありません。 

ただ「ワイルド個体のように育てるには濾過は必要か?」と問われれば「もちろん必要だし、濾過システムは細心の注意を払って設計した方が良い。」とお答えします。

なんだか分からないけど、カメの調子がおかしいな、と思ったら水道水の水質が急変していることもあるので知っておくと良いと思います。

さて、来週は久々にタートルプリンを作る予定です。

いつかはこのプリンをリクガメ界のスペフーの如く量産・販売して日本全国津々浦々のナガクビ達を幸せにすることが夢なのでより良いタートルプリンとは何か?を追求していきたいと思います。