カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

1年経ちました!

2020-02-08 09:30:00 | オブさん日記

今日は。2019年2月9日にお迎えしたchelodina coliei、ことオブさんですがお陰様で無事に 1年が経ちました。

2019年2月9日

2020年2月8日

昔から我々曲頸マニア間でも飼育の難しい種といわれ、ある意味曲頸マニアの到達点ともいわれてきた「chelodina oblonga」です。

今回はこの通称「オブロンガ」を 1年間飼育してきた率直な感想を述べたいと思います。

※私の飼育下での観察なので遍くこの種に共通するものではないことをご承知おきください。

https://m.youtube.com/watch?v=TBmTuZmTH_M

この動画はアッテンボロー氏の観察動画ですが、私の観察した飼育下のオブさんと特徴が一致しているので紹介しました。

我が家のオブさんも基本は夜行性です。

昼は殆どシェルターに隠れています。

バスキングは秋には何度か観察されたのでメタハラをつけましたが11月から現在までバスキングは 1度も観察できません。

冬場の水温は日中20度、夜間17度です。

それから上記の動画でよくみて欲しいのですが、このオブロンガは水底を歩いているのではなく泳いでいます。

実は我が家のオブさんも動画のようによく泳いでいます。

おそらく毎日2〜3時間程度はケージの端から端までスイスイと巧みに泳ぐのです。

こちらの動画は飼育下のオブロンガですが我が家のオブさんも本当にこの動画のように上手に泳いでいます。

https://m.youtube.com/watch?v=G2j057yhk1I

これらの動画や私自身の観察からやはりオブロンガには広いケージで運動量を確保する必要があると考えています。

オブさんを最大甲長まで仕上げるには180×90×60の大型水槽が必要だと思っています。

次に昔からいわれてきた水質ですがアンモニアと亜硝酸塩が検出されなければかなりの広範囲に対応すると思います。

アンモニアと亜硝酸塩には極めて弱く、これらが水槽内に発生するとバスキングをし、エサを食べなくなりますので理想的には水質検査キットで亜硝酸塩が検出されないうちに換水し、亜硝酸塩を発生させない水質を維持するとエサ喰いもよく状態よく飼えると思います。

私はこの種を状態よく飼育するには塩分がポイントだと考えているので濾過を効かせて出来るだけ換水頻度を下げていますが、多くの飼育者が毎日の全換水で飼育しているのはこのアンモニアと亜硝酸塩への対策からのはずです。

飼育水のPHは7.0以上であれば相当に頑丈です。

我が家のオブさんはPH値が9程度のいわゆるアルカリ水になっても普通にエサを食べています。

が、地元のケアシートではPH値は7.2〜7.8とかなりシビアな水質を要求しているのでこの辺が水質の目安ではないかと思います。

日本の水道水は全国的にPH7.0〜7.2、硬度60ppm程度に整えられているので毎日全換水方式は無難な飼育方法だといえます。

ただこの飼育方法ではカルシウムとマグネシウムが不足すると思います。

オブロンガの棲むスワン川の水質データから類推すると現地のカルシウムとマグネシウムによる硬度はおそらくは500〜1,000ppm程度はあると思います。

不足するカルシウムはエサで補うことが大切だと思います。

私自身はこの硬度とカルシウム摂取量に留意した飼育に取り組んできました。

具体的には、PHモニターを使用し、PH7.0以上を維持すること、サプリメントを多用し、カルシウム摂取量を増やすことの2つに注力しました。

今朝の水質データです。

後述しますがダスティングしたサプリメントが飼育水に溶け込みPH値を上げています。

さて、次にエサです。

オブさんは甲長4.5㎝でお迎えしました。

ナガクビガメはベビーの時が一番難しいです。

体力がないうえに偏食です。

私は初期飼料をキョーリン「クリーン赤虫」から始め、環境になれてからはカットした冷凍キビナゴ、同冷凍シバエビにし、喰いがしっかりしてからはこれらにリクガメ界で人気の「スペシャルフード」をダスティングして与えました。

更に状態が上がってからは月夜野ファームの冷凍イエコオロギ、最終的には自作のタートルプリンまで持っていきました。

かなりの量のダスティングとプリン方式で食べさせることにより、この種の求めるカルシウム量を担保しているつもりです。

スペシャルフードの主原料は牡蠣殻ですからダスティングした分は飼育水に溶け、結果アルカリ度が上がっていると思います。

これは寧ろ野生下の再現性を高め、オブさんは硬度の高い飼育水を飲むことでもカルシウム摂取が促進されていると思います。

まぁ、主観的ですが我が家のカメ達は全て大量のカルシウムを摂取させて育成しているので骨密度は高いはずです。

なので実際に持ち上げれば大きさの割に重いことに驚くと思います。

おそらくこの骨密度は運動量と正比例の関係にあると思います。

話を戻しますが、このようにダスティングしたエサからもカルシウムが溶け込むので定期的に部分換水してPH値を下げるようにしています。

今日は前回の換水から2週間経ちますから亜硝酸塩と硝酸塩量を測定します。

もともと青水なので判別しにくいのですが…

ごく僅かに亜硝酸塩が検出されています。

横からです。

 

私は定期的に検査しているのでごく僅かながら亜硝酸塩が検出されているのが分かります。

0.05ppm以下だと思いますが間違いなく亜硝酸塩が発生しています。

なにより今朝のオブさんがエサを食べたいのに食べられないサインを出していました。

寧ろ亜硝酸塩の発生を確認するために検査したのが本音です。

この状態でもエサを喰わせることは出来ますが確実に状態を崩すはずです。

余談ですがカメを長生きさせるコツはこうしたサインを素早く察知して的確なアクションをすぐにとることです。

こうすることで状態を崩さない、否、調子を上げ続けることが大切です。

念のため硝酸塩も測定します。

案の定、硝酸塩量はMAXですね。

亜硝酸塩まで検出されるので濾過能力を超えて水が汚れています。

今はろ材をスカスカにしてフィルターも 1日12時間の稼働でしたから今回の換水からろ材を増量します。

まもなく濾過能力を超えてくると思い安定のシポラックスを買い置きしていました。

最近では品質にブレのないシポラックスが一番安心して使用できるろ材です。

前回のブログで死んでいったカメ達への贖罪で、便利さを追求しないと書きました。

多くの方がなんと面倒臭い奴、と思うことでしょう。

しかしこうした面倒臭いことから目を逸らさない飼育が状態よくカメを長生きさせるコツだと私は信じています。

雑誌・飼育書・SNSではこんな手間のかかる飼育方法は紹介しないでしょう。

カメが元気に長生きすることは極論すれば爬虫類マーケットや動物医療業界は拡大しません。

カメが死ぬこと、病気になること、飼育器具が次々と新陳代謝して新製品が売れることをマーケット拡大の原動力としてきた業界で最小限の器具、手作りのエサ、死なないカメ、病気にならないカメ、こんな飼育者が金になるわけはありません。

従って私の飼育方法は日の目を見ることなどないでしょう。

試しにお手元の飼育書をご覧になって下さい。

大雑把なザックリしたことしか書いてないと思います。

雑誌は尚更です。

スポンサーあってのことですからね。

イベントなどでカメをみている方々を見かけると私は陰鬱な気分になります。

カメ達の生殺与奪を握るのは他ならぬカメの購入者です。

カメの飼育環境、どれだけ生きられるのか、ひいてはどれだけ飼われながらも幸せを感じて暮らせるのか?

既に一定の規模に達し、爬虫類業界で食べている方々も多い時代になりました。

あれだけ毎年のように大量のCB個体が売られている一方でカメが溢れている話は聞きません。

おそらく需給がバランスする分だけ死んでいくカメがいるはずです。

命あるものは必ず死にます。

その真理を覆すつもりはありませんが命と向き合っているという緊張感だけは我々飼育者は忘れてはならない、と私は思います。

簡単・便利にカメが飼えているのは言い換えれば死なない日を 1日単位で引き伸ばしているだけなのかもしれません。

オブさんお迎え 1年、この記念日に改めてこちらのブログを胸に刻み込む日にしたいと思います。

https://ameblo.jp/hachuruiparadise/entry-12045780287.html


爬虫類飼育奇譚

2020-01-18 16:00:00 | 雑記

今日は。

最近はTwitterが多くブログはご無沙汰ですが自らに鞭を打ちながら月1回の更新はするつもりです。

嬉しいことに多々、私の考えを理解して下さる方々より励ましのDMを頂きます。

この深くアカデミックな爬虫類飼育という趣味が規制により壊滅しないように、あるいは1匹でも多くの無駄死にが起きないように拙くも私の飼育方法を発信して参ります。

そもそも私の飼育の原点は水質管理方法を教わったショップです。

「雑誌なんてのは嘘だらけさ。だって俺達ショップやメーカーの広告費で回してる業界だぜ。本当のこと書いたら儲からないよ。」

まぁ、つまりはショップもメーカーも生体や商品の回転率が収益の源泉でして…

この業界が成長していくにはコレクターを増やす、買っては殺しを繰り返すリピーターを増やす、という二軸が結果的にビジネスモデルとなっていった歴史があります。

加えて士業と言われる高収入の方々を主な顧客として単価の高いイリーガルなカメが取引されてきました。

40年以上前は日陰者の趣味でしたから安定的な売上確保は客単価を上げることに終始せざるを得ないのは無理なからぬことでした。

ちょうど私が外国のカメに関心を持ち始めたのが1981年ですからこの年表は私事として当時の爬虫類界隈を語ることができます。

私がカメの飼育を止めたのが1992年、再開したのが2003年ですがこの間にカメの輸入数が急増しています。

併せてトカゲの輸入数も増えていますがおそらくは「ワクワク動物ランド」によるエリマキトカゲブームと千石正一先生の人気によるものだと思います。

これ以前、特に88年以前は爬虫類飼育は日陰の趣味で外国産のカメ飼育者など殆ど居なかったと思います。

これは我々世代の反省ですが当時極めてマイナーだった外国産のカメですからイリーガルな輸入は当たり前の時代でした。

オーストラリアのカメもマダガスカルのカメも普通に入荷していました。

当時はアジアのカメは死にガメでまさに消耗品の扱いで店の隅に置いてある光景をよく見かけたものです。

表では95年に年間2万匹を越えるカメの輸入が2005年まで続いています。

カウントされない密輸も入れればおそらく30万匹はゆうに越える大量のカメが輸入されてきたはずです。

正直、密輸のビルマなんて沢山見てきました。

私も今日まで10匹のカメを死なせてきました。

ギザミネヘビクビ 5匹→飼育方法の誤り

トゲモモヘビクビガメ2匹→飼育方法の誤り

アッサムセダカガメ1匹→日光浴時の熱中症

ビブロンマルスッポン1匹→飼育方法の誤り

ソリガメ1匹→輸送方法の誤り

現象は病気によるものが殆どですが根本は私が欲望を優先し、飼育方法をしっかりと勉強し、対策を準備してこなかったからです。

命に向き合う真摯な姿勢に欠けていたからです。

これは恐ろしいことです。

私が10人いれば100匹、100人なら1,000匹のカメを殺しているのです。

 更に衝撃的な表です。

リクガメブームと相まってこの7年間だけで正規輸入40万匹、密輸を入れるとひょっとすると60万匹以上のカメが輸入されたのではないでしょうか?

我が家にも2003年組は3匹います。

ドイツCBのパーカー1匹、WCFHのベニマワリ1匹、WCアッサム1匹です。

この子達はよくtweetしている通り今も元気ですが…

果たしてこの大量に輸入されたカメ達の現在は…

ご想像通り90%以上は死んでいるでしょう。

勿論現在のCB個体の親として命を紡いだカメも少なからずいるでしょう。

残念ながら飼育方法や飼育器具より前に欲しさが優先された我々のエゴが原因だと思います。

カメを飼育する方向性は大きく2つあると思います。

現在の主流であるCB化。

これは人間と共存できる性質の個体を選別交配して馴致するあり方です。

家畜化といえば想像しやすいと思います。

もう一つは私が目指している飼育方法。

それはナチュラル方式というべきか、つまりより自然下に近い環境を再現しワイルド個体のような成体に仕上げていく飼育方法です。

これはどちらが正しく、どちらが誤っているという議論ではなく、等しく爬虫類界隈に共存すべき飼育方法だと思います。

ディスカスも改良品種、原種としっかり共存しています。

ただカメについては将来的にはWCの流通は無くなるでしょうから所謂原種もしくは純血種と言われる系統引いてはその飼育方法も残されるべきだと私は考えています。

カメの飼育はこの20年間で劇的に進化しました。

多くの輸入個体の屍の上に現在のカメ飼育環境があることを我々は忘れてはなりません。

大量輸入による市場拡大に伴い飼育器具も充実してきました。

こうしたら殖えた!的な情報拡散により馴致は随分と進行していると思います。

CB個体全盛の中で野生下の生態を知ることが忘れ去られていると私は危惧しています。

90年代後半から2000年代にかけて驚くほど詳細な野生下のカメの生態研究が進んでいます。

へーとかほー、という新知見が海外の文献には満載ですし、それを飼育下で再現できる飼育器具も現在は沢山あります。

私が殺してしまった10匹のカメ達への贖罪と自戒を込めて私は自らに科した飼育姿勢があります。

常に学び続けること。

便利さを追求しないこと。

設備にお金をかけること。

多くの方には不快なことかも知れませんが我々飼育者は世界の潮流を抑えておかないと間違いなく、そう遠くない日に爬虫類飼育が禁止されることになると私は思います。

 


ウィリアムズカエルガメが示唆するもの

2019-12-22 10:25:00 | 雑記

今日は。

早いもので2019年も残すところあと僅かとなりました。

年内最後のブログ更新ですが敢えて暗い話題です。

皆様はphrynops williamsi ことウィリアムズカエルガメをご存知でしょうか?

非常にマイナーなカメですが10年前まではポツポツと入荷していました。

https://allabout.co.jp/gm/gc/69908/

こんな感じの不人気種の代表選手みたいなカメです。

そしてこれが今から10年前のREP JAPAN ニュースです。

https://repjapan.exblog.jp/11789120/

このニュース、真実でした。

これ以来ウィリアムズカエルガメは日本に入荷していません。

今年の秋に先輩方がウルグアイのブリーダーの元を訪れた際も、ブリーダーがウィリアムズは政府の輸出許可が下りないからCBは沢山いるが出荷は不可能だと言われたそうです。

では何故ウルグアイ政府はこの種を輸出禁止にしたのでしょうか?

少しこのカメについて語らせて下さい。

ウィリアムズカエルガメは分布域は相応に広いのですが、ヒラリーのような面分布ではなく点在しているのです。

例えばオオサンショウウオは日本に分布していますが、生息地は限定されているのと同じことです。

ウィリアムズカエルガメの分布図です。

帯状の部分がウルグアイ国内の生息地です。

さらに分布地を絞りこみます。

このようにウィリアムズカエルガメは局所的に分布しており、なんらかの事情で採集圧がかかればそれこそ根こそぎに採り尽くされる恐れがあります。

このへんはオーストラリアの爬虫類のように移入獣による食害及び開発による生息地の減少とロードキルによる個体数の減少とは一線を隔する現状だと思います。

従ってウィリアムズカエルガメについては野生個体の採集を禁止することは合理的・妥当な判断だとは思いますが継続して繁殖技術が確立されたCBまでが輸出禁止になったことには疑義を感じます。

私はここに大いに危機感を覚えるのです。

資本主義対社会主義という分かり易いイデオロギー対決の時代が終わり、世界は事実上資本主義の頂上決戦の時代へと変遷し、その結果として富める者はさらに富み、貧しい者はより貧しくなるという富の二極化へと進んでいます。

富の分配機能を持つ税制も富裕層優遇に変わりこの流れを加速させています。

この世界の潮流は1920年代から第二次大戦までの時代と似ています。

少数の富める資本家と大多数の貧困層を結びつける分かりやすい大義名分が国家であり他国を貶めることなのです。

リュウキュウヤマガメの海外への流出、ニホンイシガメの中国への輸出と聞けば感情的になる今の時代を戦前のナショナリズム隆盛期と被って見える私は非常に危険な時代になったと危惧しています。

そして実はウルグアイ政府もまたこのナショナリズムの高まりによりウィリアムズカエルガメを禁輸にしたと私は考えています。

何故ならこの禁輸措置はウルグアイの自然保護団体からの提言であり、彼らの主張に基づけばウィリアムズカエルガメはウルグアイ特産であり、保護すべきカメであるからだそうです。 

しかしながらCBまで禁輸措置は行き過ぎだと個人的には思いますが南米の曲頸種は全てこの「ウルグアイ ハペトロジー研究所」で飼育下繁殖されたものしか輸出できません。

悩ましいことにここは政府の資本が入った施設なのです。

Twitterで爬虫類界隈自体がやがて消滅すると示唆された方がいらっしゃいました。

まさに慧眼だと思います。

モンドセレクションのごとくエントリーすれば承認されるCITESしかり。

野生動物を巡っても戦前のナショナリズムの息吹を感じてなりません。

世界の大多数はこの趣味を悪と断罪しています。

そして我々から動物を取り上げようとしています。

我々爬虫類飼育者にはなんの刺激もないことが多くの市井の人々には過激であるのに配慮のないSNSは止む気配はありません。

これでは敵に塩を送っているようなものです。

何故に貴重で大切なカメにマイクロチップを挿れなければならないのか?

あまりに傲慢で強引な(一方で開発にはノーブレーキ)世界のトレンドには憤懣やる方ない思いです。

私はロックフェラーのいう「自由貿易こそが世界平和」というこの部分は支持しています。

あらゆる自由な貿易こそが人々の感性をより豊かにし、自国と他国の文化をより深く理解することに 貢献する手段だと考えています。

誤解を恐れずにいえば、CITESすら人とものの自由な行き来を規制し、富と知識の発展を阻害する因子に過ぎないとすら考えています。

カメに関しても先々の入荷は絶望的でしょう…

ウルグアイのデビッド氏、ドイツのルドルフ氏等、著名な曲頸ブリーダーは既にご高齢ですし、この世界のトレンドを理由に引退を決める方もいると聞きます。

現在はイベント全盛時代であり、ややもするとバブル期の如きイケイケドンドンの空気を感じることもあります。

しかし皆さん、バブル経済が宴の最中に崩壊が忍び寄っていた事実を忘れてはなりません。

今、爬虫類界隈には危機が迫っているのではないか?と私は恐れています…


カメのストレスについて思うこと

2019-11-30 11:35:00 | 飼育論

今日は。

私がカメの飼育をやめたのは就職の決まった大学5年生の秋です。

余談ですが母校は留年とならずに8年生までは進級します。

サンプラザ中野さんが8年生で除籍となった当時、私も在校生でしたので学内でも話題でした。

さて、家を出て会社の寮に入るので当時飼育していたワニガメを知人にあげ、ポリプテルス12匹は全てショップに引き取りして頂きました。(もちろんタダです。)

カメの飼育を再開したのは自宅を建てた2003年です。

大学生の頃に憧れた幻のパーカーナガクビガメがなんと39,800円で売られていたからです。

因みに私が大学生の頃はパーカーナガクビガメは100万円もしたのですよ!

オスは甲長8㎝、続いて2005年にメスを甲長5㎝で購入し、今に至ります。

現在では面影もありませんが、飼育して10年程はオスの方が大きかったのです。

メスを購入した2005年、今度はベニマワリセダカガメを購入しました。

現地のFH、甲長は4㎝もありませんでしたが立派なオスに育ってくれました。

そして2007年、WCアダルトオスが2匹いたので新たにメスのベビーを購入しました。

この仔も現地FHでしたが期待通り甲長20㎝のメスに育ちました。

 さて、お気づきでしょうか?

私がベビーから育成したカメ達の甲羅がツルツルなのが。

イベントなどで機会があれば皆様も気をつけてこれらのカメのアダルト個体を見て下さい。

パーカーは成体サイズで甲羅が綺麗な個体はまずいないはずです。

セダカも大抵のアダルト(育成個体)は成長線でボコついているはずです。

我が家のカメ達の甲羅が綺麗なのはおそらくストレスが関係していると思います。

 この本を読むとカメとストレスの因果関係の理解が進むはずです。

カメは少しの移動でもストレスを強く感じるのです。

この点については私もソリガメで大失敗をしたので身をもって反省しています。

この反省からオブロンガは大阪から新幹線で東京駅まで持って来て頂くというハンドキャリーにこだわりました。

さて、上記「リクガメ飼育百科」では広さ・温度勾配とストレスの因果関係については何度も言及しています。

私はミズガメですがやってきたことは同じです。

可能な限り大きなケージを用意して、温度勾配をつくることには留意してきました。

使用するサーモスタットは温度センサーがシビアで(普及品は実はかなりアバウトです)、温度設定が0.1度単位で調節できます。

https://rei-sea.iwakipumps.jp/products/cooler/tchc/

例えば2月に購入したオブロンガ。

広いケージに水温計を3カ所入れ、水温22度から24度までのゾーンをつくりました。

常に22度のゾーンに居つくことを確認後、水温22度上限で飼育しました。

私は水温1度の上下動も0.1度ずつ10日かけます。

また昼夜の温度差は0.5度単位で調節します。

休日などに昼間は27度まで上げて夜に18度まで下げてやると凄く状態は上がります。

オブロンガは2月に購入してから10ヶ月で甲長が倍以上になりました。

 可愛いらしいベビーが今では…

こんな大人びてきました。

この仔の早い成長は高温によるものではありません。

おそらく水質・水温・エサが的確なことによるストレスフリーが早い成長スピードの要因だと考えています。

ナガクビガメでは脱皮不全の甲板を強制乾燥により剥がすことをよく聞きますが我が家のパーカーは脱皮不全を経験していません。

ただ初めて脱皮を経験した時は病気かと思い焦りましたが…

本当に一晩で殆どの甲板が剥がれ落ち、水底に散乱するのです。

これはブラジルヘビクビも今年経験しました。

やはり一気に甲板が剥がれ落ちるのです。

 もちろんこのカメも強制乾燥はしたことはありません。

脱皮はストレスなく成長していればこのようにごく自然に行われると思います。

来た頃です。

脱皮前はこんな成長線が見られます。

脱皮後はこんな甲羅になりました。

我ながら順調な成長に大満足です。 

このカメとストレスの因果関係については様々なケースとその要因があるので単純な論理に集約することが出来ません。

ただ広さ・水質・温度(勾配)・エサ・紫外線・通気の組み合わせがストレス要因であることは間違いありません。

もっと掘り下げたいのですが、最近思うのはカメも人間と同じで何をストレスとするのか?については個体差があるのだと思います。

カメの性格の差です。

人と接するのが好きなカメもいれば逆に嫌いなカメもいます。

こうした個体別の性格を理解することも飼育者の観察眼が試されると思います。

いずれにせよ何をストレスと感じるかを探求することがよりよくカメを飼育することとなり、綺麗な成体に育ってくれるのだと思います。

忘れてはならないのは「カメは人間より遥かにメンタルが弱く、外的環境の影響を受けやすい」ことです。

頑丈そうな甲羅とは裏腹に極めてデリケートな生き物であることを我々は学ばなければならないと思います。


オブさんの近況報告

2019-11-17 10:55:00 | オブさん日記

今日は。

本当は濾過と水質、そもそもカメの飼育に濾過が必要なのか?について書きたいのですが…

そもそも生物濾過、進んでは脱窒還元まで説明が必要となるので別の機会に。

さて、今日はchelodina coliei、我が家の愛称「オブさん」の近況報告です。

過日は少数ながら2019ドイツCBが入荷しましたから新たなオブ飼いさんの参考にでも。

今年2月9日にお迎えしたオブさん、飼育9ヶ月を越えた現在はというと、

すみませんね、いきなり背甲のどアップで…

でもこれが全てをお伝えしています。

お迎え時の写真です。

お分かりでしょうか?

ベビー時の初甲板がどれだけ小さく見えることか。

つまり成長線の分だけ大きくなりました。

お迎え時甲長4.5㎝から現在では9.5㎝強あります。

画像を見る限り、甲羅のボコつきや成長異常はなさそうです。またシームもしっかりとしており、シェルロットの兆候もありません。

念のため、甲板をアップで撮影しました。

 病気もなく綺麗な放射線状に成長していますね。

オブさんがストレスなく育っている証です。

次のチェックポイントは頸です。

昔から言われていますがオブロンガは調子を崩すとシェルロットと頸部の潰瘍がみられるのです。

異常はなさそうですね。

更に念を入れて腹甲も、

脱走しようとして豪快にひっくり返っていましたが…

問題ないようです。

余談ながら♀確定ですね。

♀であれば異常に早い成長スピードもある程度は頷けます。

オブロンガはメダカや小赤、カンシャ等で育成するのがオーソドックスな育成ですが、我が家のオブさんは活き餌を与えたことは全くありません。

鶏のハツとレバーを主原料としたタートルプリン(通称スペフーを沢山練り込んでいる)、月夜野ファームさんの冷凍イエコウロキ羽&M、スペフーダスティングした冷凍キビナゴや冷凍シバエビを与えています。

古い記事なので価格は改変されています。

http://blog.livedoor.jp/fenwickxc555/archives/2475505.html

乾燥飼料にはまだ餌付いてないので、割と意図的に水分含有率の高いエサを与えています。

この種は水質にうるさく、気にいらないと水を飲まないで脱水症状になり、それがストレスでシェルロットになるような神経質な面があるので水分補給には気をつけています。

甲長10㎝を越えてきたらレプトミンスーパーも食べて欲しいと思います。

飼育して素直に感じるのはブラジルヘビクビと比較すると驚くほど飼育は簡単です。

まぁ比較するブラジルヘビクビはWC、オブさんがCBと比較のベースは違いますがオブロンガは立ち上がってしまえば生命力は強いカメだと思います。

環境に慣れてしまえばストライクゾーンを多少外れても調子良く飼えると思います。

おそらくほぼ間違いないと思いますがオブロンガの飼育の基礎データをつらつらと。

水質はPH7.2〜8.0、水温17〜22度、塩分濃度0.2〜0.4ppt。

風が好きなのでケージの上を湿度の低い風が抜ける環境なら最高です。

補足として水温は28度位までは全然大丈夫です。

ただし、1日のうち必ず8時間は22度以下に冷やしてやるのが調子良く飼育するコツです。

オブさんは室内無加温飼育で、現在の水温は19〜20度ですがエサはバクバク食べるし、大きくなっています。

PHはサンゴ砂等で最低7.0以上にした方がいいと思います。私は7.0以下にしたことがないのでPH耐性がどこまであるのか分かりません。

水が合わないとミズカキが白く変色するので毎日ミズカキは観察するのが無難です。

現地では屋外飼育池に定期的に石灰を投入してPH維持しているのでPH7.0以上は必須だと思います。

私はクリーパー55号P68に掲載されたオブロンガの生息する池の水質データに基づき飼育していますが、オブさんの調子を見る限りこのデータは正確にオブロンガの好む水質を示していると思います。

このデータでは硝酸塩が50ppmとありますが、本当にオブロンガは普通であれば換水が必要なほどの高濃度の硝酸塩を好みます。

ベビー時の立ち上げでは新水よりもブラジルヘビクビの捨て水で飼育すると驚くほど調子が上がりました。

ブラジルヘビクビの捨て水は亜硝酸塩 0、硝酸塩50ppm以上です。

亜硝酸塩には極めて弱いので、亜硝酸塩が検出されれば直ちに換水しないと脱水症状を起こすと思います。

私はN氏から直接パースの状況をお伺いする機会がありますが、その情報からやはり塩分は必要だと判断しています。

たまたまベビーの頃、ティースプーンで少しずつ人工海水を加えていきオブさんの調子が一番いい時に測った塩分濃度が0.3〜0.4pptの間でしたので現在も塩分濃度0.3pptを基準としています。

余談ながら私は最後まで人工海水のブランドをテトラマリンソルトかナプコリーフクリスタルか悩みましたが、カメにはオーバースペックと判断してテトラマリンソルトを選択しました。

もちろんこれでスペックは十分ですが、マルナガクビを2年近く飼育されている方がリーフクリスタルを使用していると聞き、「なるほどなぁ」と妙に納得してしまいました。

私はライブコーラル時代から人工海水はリーフクリスタルを使っていました。

海水は全世界繋がっていますが海水成分・塩分濃度は海域によりかなり違います。

現在、サンゴ界ではオーストリアのスコミリアが世界的にブームであり、このリーフクリスタルはスコミリア飼育にも好成績なのです。

オージータートルなので人工海水もオージーコーラルに好評なもので、と迷ったものですがマルナガクビにリーフクリスタルはありだなぁと思います。

http://napqo.jp/artificial-seawater.html

長らくオブロンガは水質にうるさいとか神経質なカメ、といわれてきました。

私の個人的見解ですが、オブロンガは塩分、カルシウム、マグネシウムがポイントだと思います。

身体が出来上がってしまえばこの限りではありませんが少なくとも成長期はこれらのポイントを押さえて飼育するのが無難だと思います。

あとシェルターも重要です。

オブさんはシェルターを2段重ねにしていますが気分に応じて浅いシェルターと深いシェルターを使い分けているのもストレス軽減に役立っていると思います。

オブロンガは現地では真冬に孵化します。

冬の間はシェルターに隠れてじっとしているはずです。

ある程度身体が大きくなってからは広い範囲を索餌すると思いますがベビー時はしっかりとシェルターに隠れて落ち着ける環境が必要だと思います。

N氏はエアレーションをしていますが、私も夜間5時間だけタイマーでエアレーションをしています。

これは亜硝酸塩を生物濾過で0にするためであり、毎日全換水する方法なら必要ありません。

N氏は井戸水を使い週一での換水なのでおそらくは私と同じ効果ではないかと思います。

オブロンガはナガクビマニアの最終ゴールともいわれるカメですし、落とした先人も多いです。

しかも高価なカメですから購入できる方は設備にもお金をかけられる方だと思います。

が、誤解を恐れずにいえば究極の飼育とは個体の調子良さを目的とした時に優先順位と劣後順位を峻別することです。

私の考える優先順位は、保冷機器、PH測定器、シェルター、人工海水です。

劣後順位は、生き餌、人工飼料かなぁと思います。

これらを判断基準としてできる限りケージ内をシンプル化し、事故を未然防止しなければなりません。

最後になりますが、この飼育方法が当てはまるのは、オブロンガとスタインダックネリーの2種(スタインダックネリーはもっと緩いかもしれませんが)になりますので、ジーベンその他ナガクビガメの飼育方法は別方法となりますのでご留意下さい。