おはようございます。
私はカメを殖やしたことがありません。
ですから今は猛烈に知識を充電しています。
残念ながら日本においてカメの繁殖データは企業秘密のごとく秘匿性の高い案件であるようです…
「殖えました!」的な記述は多いのですが、「どのようにして殖やしたか?」という著述は殆どありません。
まぁ、この辺りの繁殖データの蓄積と汎用性の低さがドイツのカメマニアとの差ではないかと私は案じているのですが…
我が国のホビーとしてのカメ飼育はアカデミックとは程遠い趣味となっています…
この点においてクリーパー誌はかなり詳細なデータを記載しており我が国の爬虫類ホビーの陋習を穿つ気概が感じられ応援しています。
さて、そんな訳で最近は不慣れな英文を読み漁っています。
海外のマニアは割と繁殖情報をオープンにしているからです。
そんな折に昨日、ネットでスタインダックネリーことマルナガクビガメのワイルドの記載を見つけました。
マルナガクビフルアダルトのワイルド個体写真です!
カッコいい!
痺れますねー
野生下のマルナガクビってこんなにカッコいいカメなんですねー
いわゆるデ・グレイ川水系のレッドタイプですね。
このカメ、英語ではdinner plate turtleと呼ばれ、上から見ると真円の背甲なんですよ。
真円の理由は生息地の環境が非常に厳しく、長い時は2年間も水が干上がり地中に潜って生き延びなければならず潜り易さと体内に大量の水を貯蔵できるようにこの背甲になったと考えられています。
生息地は年間雨量400ml以下という極めて乾燥した厳しい土地で生きているカメです。
本当に茶色を超えて赤いカメですが私が興味を持ったのは背景とその土の色です。
生息地写真です。
背景の空の青さが湿度が低く乾燥した土地であることを語っています。
土壌成分が溶出しているのか、内水面の水は赤く色付いています。
彼等の派手な赤さもこの環境下では見事な保護色です。
こんな特殊な環境下で生きているマルナガクビを飼育したいとはとても思いませんが、このカメもドイツではブリードしていると聞きます。
オーストラリアは言わずとしれた鉄鉱石の産地です。
鉄鉱石は表土では酸化鉄となり、赤い土を作ります。
ならばマルナガクビの棲む内水面は強酸性水かというと微妙な気がします。
雨季の降雨でできる内水面ですから当初は中性の軟水だと思います。
乾季の長さ分だけ土壌成分が溶出し酸性度が増す内水面ではないでしょうか?
ここ微妙です。過去に海底であれば生物の骨や貝殻でカルシウムやマグネシウムが豊富な地質かもしれませんし…
マルナガクビは過去(30年近く前)にもおそらく1度しか日本に入荷したことはないはずです。
しかしどういうルートなのか某店に昨年入荷しています。
昨年は曲頸界の大御所様達とのオフ会で「絶対すぐ死ぬよなぁ」などと皆んなで軽口を叩きましたがなかなかどうして、現在も元気に生きているようですね。
もしかして噂のCBなのかなぁ?
北米やEUではクレージーなマニア達が飼育していることは聞いていましたが…
もしも弱酸性の軟水で飼えるカメならば過去に入荷した個体が死んでしまった理由は単純に着状態が悪かったからかもしれません。
となればマルナガクビは飼えないカメではないかもしれません。
オーストラリアのカメ、北部から東部に分布する種は結構日本でも飼えるように思います。
うーむ。飼えるカメなら飼ってみたいなぁ…
私が大学生の頃、幻の中の幻だった曲頸はオブ、エキパン、スタインダック、マクロ、ラジオラータ、マキシ。特に南米3種などは実在すらが疑問視された時代でした。
この全ての実物が入荷して飼育できる時代が到来するとは驚きです。
タイムマシンがあれば30年前の自分にこう教えてあげます。
「おい、俺、幻の曲頸は全て30年後に日本に来るよ。ジーベンなんか嘘みたいに安くなっているから。けどカメのメジャーはリクガメになるよ。ゾウガメが個人で飼える時代が来るんだぜ。」
「へー、30年後はゾウガメが個人で飼えるようになるんですか?あれ、リクガメ自体が動物園でしか飼えないカメでは?」
「それが専用の飼育器具が発売されて個人が飼えるカメになるんだよ。」
「だとしても僕はやっぱりマキシ飼うな。オブとエキパンも欲しいなぁ」
「でもお前、高校生の時も大学生の今もアルゼンチンヘビクビ殺してるよな。マキシなんか飼えないよ。その腕じゃ。」
「あれ、なんで死んじゃうんですかねー?やっぱり日本じゃ飼えないカメじゃないですか?」
新刊のREP FANでは加藤さんへのインタビュー記事が載ってました。
私の世代はやはり「KING」と聞くと胸が踊ります。
初めてアルゼンチンヘビクビガメを買ったのはKINGですし、大学生になると沼津の店舗にも行きました。
あの頃見たくて仕方のなかった幻のカメ達が高価ながらも飼育できる現在は本当に素晴らしい時代です。
リクガメがこんなに身近な存在になり飼える時代が来るとは想像外でしたが、カメ飼いさん達とのコミュニケーションはとても活発で間違いなく飼われるカメさん達も過去の劣悪な飼育環境が改善されつつあると思います。
真面目な話ですが私が大学生の頃は九官鳥のエサでリクガメを生かしていた時代です。
SNSを通じて感じるのはリクガメ一強時代だなぁということです。
曲頸はマイナーなカメになりましたが、その分筋金入りのマニアの集うよりディープな世界になってきました。
これはこれで好きな人達には楽しい世界ではないかと思っています。
先日とある爬虫類ショップに行くと店員さんが親切にお勧めのカメの説明をしてくれました。
話半ばの頃、「ごめんね、昔から頸が横に曲がるカメにしか興味ないんですよ。」
と応えると固まった店員さんが「曲頸のオールドマニアはディープ過ぎて話してはいけないお客さんと聞いてますが、本当にいるのですね。」と驚いていました…
ヘビやヒョウモン(リクガメではなくトカゲモドキ)は知らないけどナガクビ・ヘビクビを語らせたら止まらないこじらせオヤジですからね…
ある意味40年近くブレない自分を凄いなぁと思います。
敢えて言います。
「ナガクビ・ヘビクビでなければカメにあらず!」
リクガメは犬・猫に準じる愛玩動物だと思います。