カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

水の話(副題:「飼育」と「繁殖」)

2018-09-29 10:21:40 | 飼育論

おはようございます。

今日は水の話です。

上級者向けなので小難しい話です。

ブラジルヘビクビガメは水換えが嫌いです。

伝聞ですがブラジルヘビクビガメのペアを5年以上飼育されている方が日本にいるそうです。

その方は1,500×600の水槽で水深20㎝で長期飼育しています。

なんと水換えを一度もせずに足し水だけで飼育しているそうです。

水温はやはり22度上限だと聞きました。

ブラジルヘビクビは綺麗で古い水を好みます。

この水、水槽で再現するのは不可能です。

水は生体が暮らす限り必ず汚れるからです。

古くて綺麗な水をどう作るか?

巨大な水槽で濾過装置を設置しなければ古くて綺麗な水は作れます。

現実的にはドライタワーの曝気でアンモニアを気化させ硝酸塩を極小化させます。

そして硝酸塩を脱窒還元し窒素として気化させるのです。

あるいは大型水槽をオーバーフロー化し、ろ材を抜いて水を回して水量を稼ぐやり方です。

いずれにせよ濾過しない事がポイントです。

とまぁ、小難しいのでお見せします。

ブラジルヘビクビの飼育水で1ヶ月を経た飼育水の硝酸塩濃度です。

Red Sea社のかなり精度の高い試薬で検査しています。

50ppmを超えています。

因みにTDS値は96ppmですから飼育水の不純物の約半分が硝酸塩というわけです。

水道水のTDS値は120ppmですから不純物の含有量はこれでも飼育水の方が少なく、いわば綺麗な水なのです。

本当に綺麗な水はこの硝酸塩すら無い水です。

自然界では硝酸塩は澱んだ止水域で脱窒還元されなくなります。

濾過をすれば必ず硝酸塩が蓄積します。

水槽内では水換えにより硝酸塩を排出します。

ほぼ全換水後の硝酸塩です。

これで漸く20ppm以下です。

フィルター内部の水が残るため、0にはなりません。

TDS値は85ppmです。

これでも相当綺麗な水ですが、渓流やサンゴ礁といったいわゆる綺麗な水は硝酸塩はほぼ0です。

 アジアアロワナやサンゴはこの硝酸塩が0の水に棲息しています。

アロワナ界はオーバーフローの大型濾過槽と換水、サンゴ界はプロテインスキマーによるアンモニア除去で対応しています。

前者は蓄積した硝酸塩を捨てる、後者は極力硝酸塩を発生させないアプローチです。

https://tropica.jp/2018/04/12/post-14492/

個人的にはブラジルヘビクビに最適なのはベルリン式のオーバーフローシステムだと考えていますが残念ながら淡水では泡が大きくてプロテインスキマーが使えません。

https://tropica.jp/2018/04/18/post-14199/

私もh&s社(ドイツ)の信者です。

かつて使用し、その性能に感嘆しました。

高価ながら最強のプロテインスキマーだと思います。

余談ながらドイツのマニアは飼育機材面でも我々日本人よりも一段上だと思います。

メタハラも実はライトは殆どドイツ製ですからね。

ナノバブルの淡水用プロテインスキマーが実用化されれば古くて綺麗な水を簡単に維持できるようになると思います。

脱窒還元が不可能なわけではありません。

昔からサンゴ界では研究されてきました。

海水に限れば上級者向けとはいえ、かなり実用化されています。

https://www.suisui52.co.jp/contents/category/denitrification/

私も昔、野辺商会のデニボールを使用していましたがはっきり言って上級者向けです。

誤使用すれば硫化水素が発生し、水槽全体が即死します。

水が読め、かつ濾過の仕組みをしっかりと理解していないと危険な濾過方式です。

なので面倒ですが安全な水換え方式が普及したのだと思います。

ナガクビ・ヘビクビ属は皮膚呼吸と直腸でのガス交換による溶存酸素の取込み量が約30%と言われており、特にブラジルヘビクビとコウホソナガクビは局所分布から分かる通り特殊な水質を維持できる事が長期飼育の条件でしょう。

おそらくマルナガクビも同様だと思います。

これらの種は水換えを抑え、かつ硝酸塩をいかに除去するかが飼育のポイントだと思います。

こうした特殊な水質を好む種は水道水換水はむしろ虐待でしかなくブラジルヘビクビなどはショック死すらします。

コウホソやギザミネのシェルロッドはこの水道水換水が原因だと私は推測しています。

我が家のブラジルはシェルロッドは一切ありません。

そもそも長期飼育例がないので分かりませんが、水質が合えばシェルロッドには罹患しないと思います。

なので合う水質は作ることが出来ました。

あとはいかに硝酸塩を除去するかです。

残念ながら淡水用の脱窒還元ろ材はありませんが、吸着剤はあります。

割と海水魚やサンゴ界では有名なシーケム社です。

https://www.seachem.com/about.php

というわけで9月15日からブラジルヘビクビのケージにシーケム社の硝酸塩吸着ろ材を投入しましたので次回の計測値をお待ち下さい。

マニアの使用レポートでは硝酸塩がほぼ0になったとあるので期待しています。

エンドレスになるので今回はここまでとしますが実は濾過能力と水質を決める要因は更に溶存酸素量と水流があります。

これはまた別の機会に譲りますが、濾過装置を大型化すれば水が綺麗になると思うのは思い過しです。

いかにアンモニア、亜硝酸、硝酸塩を水槽内に存在させないかが水質管理の王道です。

ですから飼育個体の総重量からアンモニア排出量を推測し、逆算から飼育水量と濾過方式を考えるのです。

機材メーカーさんのカタログデータは一面で正しく、他面では?な機材が大半です。

我々飼育者は誤情報に振り回されることなく、正しいプロセスによりゴールに至ることが必要です。

そのためには基礎基本の知識を取得することがカメのためだと私は考えています。

繁殖はここまで突き詰めなくても80%以上の種は可能でしょう。

私が「飼育」と「繁殖」は似て非なるもの、というのはこれなのです。

ですから繁殖がゴール、という考え方は昔から持っておりません。

飼育を突き詰めた結果が繁殖であれば巷間これほど多くのカメのCBが量産されるはずがありません。

温帯種などは屋外での半ば放置飼育の方がCB個体数は増えるでしょう。

ブラジルヘビクビとコウホソ、この長期飼育自体が困難な種は「飼育」と「繁殖」は同じなのかも知れません。

オオアタマヘビクビ、ブチハラヘビクビ、トゲモモヘビクビ、クロハラヘビクビ、ブラジルヘビクビ、コウホソナガクビを細々と繁殖させてきたEUマニアはやはり極めた飼育者だと言わざるを得ません。

「飼育」と「繁殖」を峻別すること、更にその峻別にモラルを勘案すること、外来種問題が社会問題化する昨今、我々飼育者がいま一度自戒すべき考え方だと私は思うのです。


器具の話

2018-09-17 19:06:13 | 飼育論

今日は。

突然ですがバイメタルサーモをご存知の方は私の先輩世代でしょう。

私が中学1年生の時、ニッソーからシーパレックスブランドで電子サーモが発売されました。

ダイヤル式の電子サーモが欲しくてお小遣いを貯めて買ったものです。

あれから40年近く経た今、私の保温器具はレイシーサーモコントローラーと日東機材のチタンヒーターです。

http://rei-sea.iwakipumps.jp/products/cooler/tchc/

http://www.nittokizai.com/product-6.html

使えば分かります、としか言えませんが温度管理のシビアさ、安全性、堅牢性といい申し分ありません。

ヒーターはセラミックをご使用の方が多いと思いますがセラミックヒーターは長くとも3年と割り切って時期を過ぎれば廃棄した方がいいです。

経験的に3年、つまり3度の冬を経ればセラミック部分は崩れ、ガラス管も脆くなっています。

間違いなく事故の原因となります。

メーカーは1年毎の交換を推奨してますが私も賛同します。

チタンヒーターのような高額品(1本2〜3万円)ならともかく、千円台で買えるセラミックヒーターは使い棄てと割り切って使う方が絶対に安全です。

故障して冷えることはもちろん、最悪は火事の原因にもなりかねません。

チタンヒーターはその点、安全ですが私が不安視していたのは空焚き防止機能です。

災害時はもとより、日常的に空焚きは起こりうる事態なのでこの空焚き防止機能のチタンヒーターを欲しいと思っていました。

http://www.kokusen.go.jp/douga/20090604_2_news/n-20090604_2_high.html

出ましたね、さすがはレイシー。

すぐにも買いたいです。

http://rei-sea.iwakipumps.jp/products/cooler/heater_shig/

一度チタンヒーターを使うとセラミックヒーターには戻れません。

発熱量が凄まじく、本当にすぐに目的水温まで温めてくれます。

これは同じW数のセラミックヒーターには不可能なことです。

それだけに以前から有事の際が不安でした。

バイメタルサーモと石英管ヒーターからアクアライフをスタートした私にはまさに隔世の感がありますが飼育機材はキチンと求める性能が担保された機材を選ばないと生体を調子良く飼うのは困難だと思います。

今のサーモには満足ですがやはり買いたいのはこれです。

http://rei-sea.iwakipumps.jp/products/cooler/hcn101/

温度管理の究極ではないでしょうか?

非常に期待値の高い新製品です。

今回は保温をテーマにしましたがやはり保温器具は劣化速度が速いです。

壊れるまで使うのが理想ですが、壊れたら大惨事となる可能性もあります。

この器具の交換時期を見極めることも大切な飼育スキルだと思います。

我が家のゼンスイクーラーの初号機ZC200が3度の夏を過ごしました。

ゼンスイさんはメンテナンスサービスを実施しているので来月は点検に出す予定です。

 http://www.zensui.co.jp/support/oh

 今回はオーバーホールをする予定です。

まぁ、このクーラーがブラジルヘビクビの命を守るキモですから念には念を入れてメンテナンスをしてもらう予定です。

何事も安心安全はタダではありません。

カメの飼育もまたしかり。

事故を未然に防ぐことも飼い主の大切な役割です。


権利と義務あるいは自由と責任

2018-09-09 10:24:49 | 雑記

おはようございます。

今日は最高に面白くない話です。

最近ではブログ等でアカミミガメやカミツキガメ、時にはワニガメなどを捕獲し解体、食するものが散見されます。

また過日はクサガメのベビーをモニターのエサにしてその未消化分を写真掲載するというカメ飼いにとっては衝撃的で残酷なSNSもありました。

もちろん表現の自由は民主主義において非常に大切な権利ですから、その行為自体を批判するつもりはありません。

しかし彼等の外来種問題の提言だ的な一方的で思慮を欠く表現手法に私はこの国の将来への憂いを禁じ得ません…

対象を人に置き換えればイスラム国のプロパガンダとその本質において同一だと思います。

今まさに我が国において失われつつあるもの、それは利他であり献身であり他者への配慮といった秩序を担保する道義的感情ではないでしょうか?

特にアクアリウム、爬虫類界においてはこの特定外来種問題を惹起した直接的な原因を有する故に飼育者各人が真剣に見つめるべきだと思います。

個人的な話ですが、私の愛してやまないブラジルヘビクビガメは2003年までは将来的にもペットトレードに乗ることはなく入手不可能といわれていました。

ブラジル自体が国内法で野生動植物の輸出を禁止していることに加えてこのカメの生息地は世界遺産の保護区にすっぽりと収まっているからです。

ここが保護区に指定された理由は特殊な気候下にありこの地域固有種が多いこと、かつこの自然林の実に92%が開発により消失し、再生不能なレベルにまで環境破壊が進行したからです。

上記のように極めて限られた地域の山の中の渓流に生息しています。

採取することすら禁止されているこのカメがどうした訳か隣国ウルグアイのカメとしてウルグアイ政府の許可のもと正規輸入されてきました。

アメリカ、ドイツ、日本はお金さえあれば大概の世界中の野生動植物を入手可能です。

因みに私がブラジルヘビクビガメのペアを購入した時は120万円位でした。

この価格を高いと思うか安いと思うかは個人の自由でしょう。

かつてオス単体で150万円、メスはその1.5倍かつ単体での販売はなしでバタバタと死んでいくこのカメをみてきた私には非常に安い価格と思えました。

ブラジル経済が過去30年間で最悪の時期でしたからマフィアのサイドビジネスとしてウルグアイに出た個体かもしれません。

いずれにせよ我が国ではこのような貴重な種でも入手できる自由が保障されています。

非常に苦しい言い訳ですが資源の枯渇以外は関与者全てがハッピーなのです。

採捕者、ブローカー、ショップ、私、みんなが納得した価格で取引され富が分配されているのです。

誠に皮肉な現象です。

自然林の8%しか現存しない貴重種ゆえに世界中にニーズがあり違法な採取が行われる。

ただしブラジルは犯罪発生率、殺人事件発生率ともに世界ランキング上位であり、サンパウロ州を主たる生息地とするこのカメを採捕するのは命懸けだと思います。

メキシコ、ブラジルマフィアは世界最恐のギャングといわれています。

北方領土でのカニ漁も同じ構図です。

安いカニを求めて日本人が買うからロシア人の漁が盛んなのです。

私はこの闇経済を否定するものではありません。

人間がいる限り聖人君主が全人類にならない限り根絶は不可能です。

この自由を享受した私は何をすべきか?

貴重種を殖やす?

とんでもありません。

絶対に逃がさないで終生飼育して自己完結することです。

殖やしたならば殖やした個体数分その責任が増すのです。

この可愛いらしい子ガメの写真を見ればどうしても欲しくなります。

現在は入荷が絶望的なので責任を持って殖やしたいと思います。

幸いこのカメは1個か2個、まれに3個しか産卵しないので殖え過ぎることはありえないでしょう。というか殖やすこと自体困難なはずです。

少し残酷な写真です。

これは野生下のメスの死体です。

彼等は滅多に上陸しませんがマッチングシーズンはオスが、産卵期にはメスが夜間上陸します。

この個体は不幸にも天敵に食害されてしまいました。

おそらくジャガーかフクロウに襲われたのでしょう。

このように野生下では常に一定数の個体が死んでいきます。

飼育下、ましてや頑健種はどうでしょう?

おそらく何十年も前に飼育放棄・遺棄された個体が現在のアカミミガメやカミツキガメの祖先のはずです。

野生下で日常的に発生する捕食死を理解すれば、飼えない、もしくは飼わないならば最終的には飼育者自身で殺処分しないとなりません。

私は5年程前に自宅の近くで拾ったクサガメのベビーを殺処分しました。

どう考えても誰かが趣味で殖やしたカメが逃げた個体だからです。

個体自体には何の罪もありませんが、逃した飼育者の責任と思い心を鬼にしました。

具体的には拾ってきた娘達に飼育を任せ、一切干渉しませんでした。

夏に拾ったのですが冬場の低温で体力が尽きてしまいました。

知識も技術もあるのに無干渉とは残酷かもしれません。

しかしあのまま娘が拾わなくても猫に殺されていたでしょう。

SNSで散見されるカメへの残虐行為、それは本来ならば遺棄する前に飼育者がすべき処置であったはずです。

飼う自由の対極に飼育中断による殺処分があります。

それは例えるならばコインが表裏一体なのと同じで自由と責任なのです。

社会の中で生きていくならば秩序を維持する必要があります。

カメ飼いには自由意志で飼育する権利があります。

同時に秩序を保つ責務があります。

安易な繁殖を自重する、殖やした個体に責任を持つ、この点を飼育観念の第一と出来ないならばカメを飼育してはいけないと思います。

またこうした意識の欠如が現在の残虐画像の氾濫を許したことも我々飼育者が肝に命じるべきだと思います。

飼育するには飼育個体を自ら殺める覚悟が必要、これは誰かに言われるまでもなく私の中でごく当たり前に存在した考え方です。

アカミミガメの殺処分などをみると可哀想だなぁ、とは思います。

が、当然だよなと割り切れます。

寧ろ遺棄した当人に直視して欲しいと思います。

あなたの考える可哀想とはこんな残酷なことなのですよと。

ですから爬虫類に限らず飼育者全ては飼育個体に覚悟を持って向き合うべきです。

特にカメは長生きです。

出来る限り先々のことまで予測した飼育が必要だと思います。

私が生き物を飼うなら飼えないならば殺さなくてはならないと教えてくれた実話です。

私は小学生の頃、この実話に衝撃を受けたことが私の飼育観の原点となりました。

https://m.youtube.com/watch?v=JJPUPhCjy08

https://m.youtube.com/watch?v=On0mb3h3DMg

今も昔も涙無しには読み進めることができません…


水換えの話(面白くない話)

2018-09-01 13:08:31 | 飼育論

今日は。

拙ブログですが毎日200〜300名の方がご覧下さっています。

この数の多寡は分かりませんが私自身の励みになります。

改めて御礼申し上げます。

ゆくゆくは中古住宅を購入し、レア種を中心にブリードに専念する予定です。

その際はリクガメも飼育し、ミズガメ、リクガメともに最高のエサを作ることが私の夢です。

その日に向けて、知識と技術を蓄積して参ります。

さて、今日は水換えです。

お時間あればご覧下さい。(約4分)

https://mobile.suntory.co.jp/eco/forest/theater/

因みに飲料水として品質スコアが一番高い水は熊本県の水道水といわれています。

私は熊本の白川水源も山梨の白州工場も訪れましたが、どちらも素晴らしい生態系の中に位置しています。

こんな土地で湧水を存分に使えたらきっとコウホソもマルナガクビも上手に飼育できるはずです。

ミズガメ飼育には水換えがつきものです。

我が家のカメはブラジルヘビクビガメ、トゲモモヘビクビガメ、パーカーナガクビガメ、アッサムセダカガメ、ベニマワリセダカガメ、キマダラチズガメ、ワモンチズガメと総勢11匹です。

水換えは月1回です。

ミズガメ飼育者は驚かれると思います。

多くの方は週1回、夏は毎日の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

おそらく皆様と違うのは水槽が大きいこと、エサの量が少ないことだと思います。

全ての飼育槽には濾過装置を備えています。

飼育水を濾過し、再利用して水換え頻度を下げています。

確認ですが、濾過機に水を綺麗にする能力はありません。

カメが死なない程度まで有害物質を減じる能力があるに過ぎません。

従って月1回の水換えを実施する訳です。

アクアホビーにおいてほぼ100%近くが生物濾過機でしょう。

ごく稀に強制濾過機をご使用の方がいらっしゃる程度だと思います。

我が家も生物濾過機ですが、現在のところ最高のパフォーマンスを発揮しているのがブラジルヘビクビガメの水質です。

下の写真は野生下のブラジルヘビクビガメです。

TDS値とは水の中にどれくらいの不純物が溶け込んでいるかを数値化した指標です。

まず水道水のTDS値は120近辺です。

水道局のHPでは176となっていますが地域差の範囲でしょう。

これをカルシウムとミネラルのみを残してRO水に浄水するとTDS値は50近辺に低下します。

ブラジルヘビクビの基礎データとして、PH7.2、TDS値50、GH6となります。

この状態で1ヵ月水を回すと数値は概ねPH6.7、TDS値100、GH6と変化します。

PHとTDS値に変化がみられます。

この変化はカメの糞尿、ガス交換による皮膚からのアンモニア排出による酸化還元によるものです。

アンモニアは亜硝酸に変わり、やがて硝酸塩となります。

この硝酸塩の蓄積分、TDS値が上がるのです。

そして硝酸塩化を通じてPHの低下がおきる訳です。

しかしTDS値が50しか上昇していないのは生物濾過がしっかり効いている証拠でしょう。

何しろひと月水換えなしでも水道水よりもTDS値が低いのですから。

やはりエーハイムの威力は特筆すべきです。

水の回転数とろ材のバランスが抜群だと思います。

自然界ではこの後、脱窒還元作用が働き、硝酸塩は窒素として大気中に気化しクリアな水に戻りますが現在、アクアホビーで脱窒還元まで実現できる濾過材は淡水ではありません。

水質に極めて高い要求のあるサンゴ界では昔から商品化されています。

私も以前使用してましたがデニボールという商品です。

脱窒菌のエサを混ぜた生分解性プラスチックですが、確かに効果はあるのですが、脱窒還元まで狙うのは趣味の域を超えて研究になるのでは?と感じます。

やはり素直に水換えで硝酸塩を除去するのがセオリーかと思います。

ただブラジルヘビクビの水質ですが、この硝酸塩が水換えをしてもじわりじわりと蓄積しているようです。

水換えをしても硝酸塩の値が50付近にあり、これでは渓流の水ではありません。

余談ですが皆様の飼育水、ちょうど水換え直前の飼育水を測定するとおそらくTDS値は測定不能となるはずです。

TDS値は3,000〜8,000でしょう。

私の測定機は1,000までしか測れないのです。

加えてPHは3〜4という非常に過酷な水質のはずです。

カメがバスキングするのは水が合わないときもあるので要観察です。

これを全換水し、TDS値120、PH7.0位に戻す訳ですが、アロワナでこれをやればPHショックで即死します。

ですからミズガメの換水頻度は毎日30%、これが水質の数値変動を少なく飼うコツだと思います。

大きな水槽であれば毎日10%でもいいと思います。

また新水は汲み置き水をお勧めします。

ただでさえ薬品処理された水道水です。

24時間汲み置きするだけで驚くほどマイルドな水になり、カメに優しい水換えとなります。

これをやるだけで相当カメの調子は上がるはずです。

こうして水を診る癖がつくとエサの量も水質変化をみながら調整することとなり減ってくると思います。

ベビーはともかくヤングからは少ない給餌で充分です。

水槽飼育は狭く外敵もいないので圧倒的に運動量が少ないのですから。

アンモニアを元から絶つことになりカメもより健康になるので一石二鳥です。

冒頭はマーフィードさんの企業理念ですが私はこの水への妥協のないこだわりを好感を持って迎えています。

 多分これからも面白くないが本質的な話は続きます。