よのなか研究所

多価値共存世界を考える

アメリカと中国の六分割

2011-03-01 10:05:50 | 時事
アメリカは近い将来六つの国に分割されるという予想がある。ご存じの方も多いと思うが、ロシアの学者(元はKGB所属のアナリストだったらしい)イグノ・パナリンIngnor Panarin氏が発表し、これを2009年1月WallStreet Journal紙が掲載したことで世に流布した。ただし、その時点での予想では2010年に分割されるとなっていたから、その予想は外れたわけだ。その分析はバックデータを揃えており、この説がそのまま当たらないまでも、これに近い状況がいずれ現出すると考えている人たちもいる。
パナリン氏の予測による六つの仕分けはこうだ。まず米本土を四つに仕分けする。
1. Atlantic America(独立時の13州から南カロライナまでの大西洋岸)、
2. Central and North Amarica Republic(中西部の北半分)、
3. Texus Republic(中西部の南半分)、
4. California Republic(本土の太平洋岸と隣接する州)。
そして5. Hawaii Republic(現在のハワイ州)、6. Alaska Rapublic(現在のアラスカ州)の六つである。
パナリン氏の予測は単に分割されるのみならず、それぞれが外部と密切な関係を持つにいたるという点でも注目された。2. はカナダと、3. はメキシコもカリブ海諸国と、4. はアジア諸国、特に中国との連携を深めていく。5. のハワイは中国または日本の、6. アラスカはロシアの影響下に置かれるようになる。
つまり、1. が現在のアメリカ合衆国の継承者ということになる。
(以上は、「アメリカ六分割」、"U.S. into six parts"などで検索すれば詳細を見ることができる)
  
これに対するかのように、中国の六分割という話しも巷間出回っている。これにはいくつかの論があるが、例えば、
1. 沿岸部と中原地地方、
2. 東北地方(旧満州と周辺)、
3. 東南地域(海南島を含む海岸から山岳にかけての少数民族地域)、
4. チベット、
5. ウイグル(現在の新彊ウィグル)、
6. 台湾、の六つである。
アメリカ分割が時間的経過を遡って旧に復そうとする区分であるのに比し、中国の場合は空間的な区分を元に戻そうとするものだから分かりやすい。現に台湾は自立しているし、チベットとウィグルでは騒乱が起きているし、また他にも少数民族の自立の動きがある。
(以上は、「中国分割」、"China divided" などのネット検索で詳細を見ることができる)

二つの論はいずれも、当事者の意向とは無関係に論じられているものであり、これらの論説にたいして両国は猛反発することだろう。二つの国に共通しているのは、広大な領土と強力な軍事力を世界に誇示していることだ。このような予測が簡単に実現するとは思えない。だが、領土を拡張・拡大を目指したのは19世紀的政治行動であり、実際には領土を大きくしすぎたために国力が疲弊した事例も多い。支配地域を広げると末端までのコマンド(指揮命令)とロジスティク(物流・人的移動)とが困難となることは自明である。世界に怖れられたゾヴィェト帝国がある日をもって崩壊したのはまだ記憶に新しい。
  
前回、アフガンニスタンに攻め込んだアメリカの歴史的運命についてのお話をしたが、中国が抱えている新彊ウィグル自治区はアフガニスタンと国境を接している。のみならず、タジクスタン、キルギスタン、カザフスタンという中央アジアのイスラーム国とも接している。この長い国境線を高い壁で仕切ることは困難であり、人々の往来は増大することはあっても減じることないだろう。中国はさらに、南アジアのパキスタン、インドという核保有国とも国境を接している。中国の近年の軍備増強の背景にはこのような事情もあるのだろう。
 
アメリカと中国という「二つの超大国」を軍備縮小の方向に向かわせるには、世界の経済システムの再構築と軍事技術開発制限が前提となると思われる。これについては改めて書きたい。  (歴山)


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