ルブレサックという小さな村に滞在した。ホテルの部屋からの眺めも絶景、ホテルのレストランからの眺めに至っては、何をもって絶景なのか感覚が麻痺してしまいそうなくらいだった。滞在中ずっと晴天、最初の朝だけもやがかかっていたのだが、それはそれでこの世のものとは思えないような眺め、上手く表現できないのがもどかしいが、東山魁夷の世界をドーンと見るような感じだった。
前に立ち寄ったコロンジュ・ラ・ルージュと同じ「フランスの美しい村」ながら大きく異なり、生活感のある村だった。中心部には時折観光客らしき人を見かけたが、少し離れると村の人と時々すれ違う程度、お庭の手入れをしているご婦人の笑顔が印象的だった。
景色に圧倒されすぎて、描こうとするもののなかなか。陽射しに恵まれたため1時間もすると全く異なる表情に変わってしまう。現地で色をつけることはほぼ諦めて、散策を楽しんだ。
また、全仏オープン錦織選手熱戦のテレビ放映もあって、部屋で見始めてしまうとそのまま離れることはできなくなってしまった。
村の西側を谷を挟んだところから描いてみた。本当は右側に描き足したかったが、小さなスケッチブックしかなくて。
描いていた場所はおそらく私道、横には洗濯物が干してあった。その家のフランス語だけを話す伯母さんとの会話は、想像力頼りの危ういものではあったが、邪魔だと怒られていなことは明らかだった。
そんなこんなで改めて大きな紙F8に描き直してみた。予想外に可愛い絵になってしまったが、実際にそんな眺めだったのでこれはこれで。