遊爺雑記帳

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「ロシア軍の戦車が底をつく」は本当か

2023-03-16 01:33:55 | ロシア全般
 2年目に突入したウクライナ戦争は、無謀な作戦でロシア侵略軍が想定外の大損害を被り続けている。旧ソ連時代から「最強」の誉れ高い戦車部隊は、ウクライナ軍の痛打で各所に戦車・装甲車の「鉄くずの山」を築いており、さしものロシア・プーチン大統領も頭が痛いはずだと、日本大学生産工学部非常勤講師の深川孝行氏。
 
「ロシア軍の戦車が底をつく」は本当か、プーチンが隠し持つ“ゾンビ戦車” 冷戦後に6万台超あった戦車はどこへ?実は万単位で温存しているとの見立ても | JBpress (ジェイビープレス) 2023.3.15(水) 深川 孝行 日本大学生産工学部非常勤講師

 2年目に突入したウクライナ戦争は、無謀な作戦でロシア侵略軍が想定外の大損害を被り続けている。旧ソ連時代から「最強」の誉れ高い戦車部隊は、ウクライナ軍の痛打で各所に戦車・装甲車の「鉄くずの山」を築いており、さしものロシア・プーチン大統領も頭が痛いはずだ

 
今年2月にはウクライナ南東部のウグレダルで最大の戦車戦が起きたが、ここでもロシア軍は戦車・装甲車など戦闘車両を何と130台以上も損失、史上希に見る「負けっぷり」である。このペースで消耗が続けば同軍の戦闘車両の在庫はあと数年しかもたないとの見方もあるほどだ。

 
しかし、一部では「冷戦中に製造したおびただしいほどの戦車・装甲車が、ウラル山脈などに設けた核攻撃に耐えられる地下深くのガレージに保管されている」と噂されている。

 死蔵戦車をレストア(補修・再生)して甦らせたほうが、新車のMBT(主力戦車)を製造するよりも「手間・ヒマ・コスト」がかからず、素早く戦力化できる。仮に破壊されても減価償却がとっくに終わったような代物なので、痛くもかゆくもないとの発想のようだ。まさにプーチン大統領の“隠し財産”であり、「ゾンビ戦車」 といえる。

 では、
果たしてその台数とはどれほどなのか──。英シンクタンク「国際戦略研究所」(IISS)が毎年発行する『ミリタリーバランス(ミリバラ)』を基に1つのシナリオ・可能性を大胆に推理してみたい。

データから見るロシアの車種別のMBT保有台数
 まず
『ミリバラ1990年版』で冷戦終結の1989年のデータを見ると、旧ソ連の莫大な戦車数に驚かされる。MBTは地上軍(陸軍)と海軍歩兵(海兵隊)合計約6万2000台で、現在全世界の現役MBTのほぼ2倍の規模だ。

 車種別で見ると以下の台数になる。

【T-54/T-55】約1万9230台
1950年代から配備で100mm砲搭載。約70年前の活躍で相当古いがアフリカなどでは現役
【T-62】約1万1300台
1960年代から配備で115mm砲搭載。約60年前に活躍でかなり旧式 
【T-64】約9700台
1960年代半ばから配備で旧式だが、現在第一線で通用する125mmに換装
【T-72】約1万台
1970年代初めから配備で、125mm砲搭載。改造を続け現在のロシア軍の主軸MBTの1つ
【T-80】約4000台
1980年代初めから配備で125mm砲搭載。ロシアでは比較的新しいMBT

これ以外にも車種不明の戦車が約7500台あるようだ。一方、先ごろ公開の最新の『ミリバラ2023年版』では、2022年の同国のMBT数を「1800台」と推測。種類別では、

【T-62】約150台
【T-72】約1150台
【T-80】約200台
【T-90】約300台(1990年代初めから配備の最新型で125mm砲搭載)

 となっており、
他に約5000台が保管中だという。つまりロシアのMBTの“在庫”は保管中も含め6800台で、30数年前に約6万2000台あった旧ソ連時代と比べほぼ10分の1の規模で、あまりにも少なすぎるとの指摘もあるようだ

 
ソ連崩壊後、連邦構成国だったロシアなど15共和国は独立するにあたり、戦車・装甲車なども“相続財産”として相応の財産分与がなされ、おそらく圧倒的に規模の大きいロシアが全体の6~7割を継承した、と見るのが普通だろう。

 仮に「7割」ならMBTは約4万3000台で、鉄くずとして「溶鉱炉送り」になったり、第三国に輸出されたり、油田火災の消火車両などに改造されたりするなど、別の途をたどった車両も多いだろう。加えて
相当数は現役としていまだに活躍するものも少なくないはずで、これらをまとめて差し引いた残りを、例えば「3万台」と考えると、これらがいまだにロシア領内のどこかに温存されていることとなる

弾き出されたロシアの“隠し財産”は1万2600台
 
さらに突っ込んで「3万台」をベースに車種別に稼働可能な台数を大胆に推測してみたい。

 前述した1989年時のMBT数を参考に、まず比較的新しいT-72(約1万台)、T-80(約4000台)をそれぞれ「7掛け」し、さらに保存状態の良し悪しも考え無難なところで2台の“共食い”で1台、つまり「2コ1」で造るとすれば、「T-72約3500台」「T-80約1400台」となる。

 同様に古いが比較的大事に扱われていたT-64(約9700台)は「3コ1」と考え「約2300台」に、さらに半世紀以上昔のT-62(約1万1300台)、T-54/T-55(約1万9230台)はさらに状態が悪いので「4コ1」とし、それぞれ「約2000台」「約3400台」という値が弾き出される。そして、これらを
総計すると、何と「1万2600台」という値が浮かび上がる

 
もちろんこれは仮説の1つで、実際はもっと多いかもしれないし、または全く存在しないかもしれない。さらには、「そもそも6万台超という値は旧ソ連の脅威を煽り予算獲得を目論んだ西側の軍産複合体や情報機関による“盛った数字”であてにならない」との見方もある。ただし少なくともロシアは「万単位」のMBTを捻り出す可能性がゼロではない、ということを心の片隅に置くべきだろう。

 
ところで「半世紀以上前の戦車など役立つのか」と疑問視する向きもあるだろう。だが実際のところ消耗戦に喘ぐロシア軍は多数のT-62を前線に駆り出し、すでに60台以上が撃破・鹵獲(ろかく:敵に捕獲されること)されている。

 
もしかしたら比較的新しい戦車の温存のため、「ウクライナ軍の弾薬を消耗させる囮(おとり)、撃たれ役」とする意図なのか。こう考えればT-54/-55を最前線に大量投入したとしても不思議ではない

 
今後ウクライナ軍にはレオパルト2、M1エイブラムス、チャレンジャー2の強力な「西側MBT三羽烏」が少なくとも321両に加え、ひと世代前のレオパルト1戦車も約180両欧米から供与され、恐らくウクライナ南部とクリミア半島奪還のための作戦に集中投入されると見られている

旧式の戦車でロシアはどうやって戦うのか
 
だがロシア側が指をくわえて見ているはずはなく、何かしらの対抗策で臨むはずだ例えば前述の“隠し財産”から1000台単位で旧式MBTを出動させ、大きな塹壕の中に潜ませる。そして、戦車砲だけを出し、戦車上部には土嚢(どのう:土砂袋)を大量に載せて対戦車ミサイル対策とし、さらにカムフラージュも入念にして迎え撃つかもしれない

 T-54/T-55やT-62が西側の強力なMBTと一騎打ちとなればひとたまりもないが、
身を隠してキャタピラや車体後部など弱点を狙えば、多少のダメージを与えることは可能で、装甲が薄い他の戦闘車両の撃破用としても利用価値はあるだろう。

 あるいは
ウクライナ軍の南部での反攻作戦への牽制として、東部戦線で大量の旧式MBTを投入。陽動作戦(敵の目を引き付ける囮作戦)を実施し、西側MBTの分散配置を強いる策に打って出るかもしれない、との指摘もある。

『ミリバラ2023年版』の公表にあたりIISSは開戦後1年でロシアが失った高性能のMBT(T-72/T-80/T-90)が2000~2300台に達し、これは実戦配備のMBTの最大半分に相当し、なかなか補充しきれない実情にある、との分析を披露した。

 また著名な
オランダ発の軍事情報Webサイト『Oryx』も、直近のMBT損失数を、確認しただけでも約1800台とする

 これらを勘案すると、
ロシア軍のMBT損失数はどうやら「年間2000台前後」が妥当のようだ。仮にこのペースが続き、年間1000台規模の国内新規生産が不可能で、しかも外国からの援助もないとしたら、確かに額面上は3年ほどでMBTは底をつくだろう。

 だが万単位の“ゾンビ戦車”をプーチン氏が隠し玉として大々的に投入し始めたらどうだろうか。侮るのは禁物だ。


 今年2月にはウクライナ南東部のウグレダルで最大の戦車戦が起きたが、ここでもロシア軍は戦車・装甲車など戦闘車両を何と130台以上も損失、史上希に見る「負けっぷり」である。このペースで消耗が続けば同軍の戦闘車両の在庫はあと数年しかもたないとの見方もあるほどだと、深川氏。
 しかし、一部では「冷戦中に製造したおびただしいほどの戦車・装甲車が、ウラル山脈などに設けた核攻撃に耐えられる地下深くのガレージに保管されている」と噂されているとも。

 『ミリバラ1990年版』で冷戦終結の1989年のデータを見ると、MBTは地上軍(陸軍)と海軍歩兵(海兵隊)合計約6万2000台で、現在全世界の現役MBTのほぼ2倍の規模。
 これ以外にも車種不明の戦車が約7500台あるようだとも。

 一方、最新の『ミリバラ2023年版』では、2022年の同国のMBT数を「1800台」と推測。
 他に約5000台が保管中だという。つまりロシアのMBTの“在庫”は保管中も含め6800台で、30数年前に約6万2000台あった旧ソ連時代と比べほぼ10分の1の規模。
 30数年前に約6万2000台あった旧ソ連時代と比べ、あまりにも少なすぎるとの指摘もあると、深川氏。

 ソ連崩壊後、連邦構成国だったロシアなど15共和国は独立するにあたり、戦車・装甲車なども“相続財産”として相応の財産分与がなされ、おそらく圧倒的に規模の大きいロシアが全体の6~7割を継承した、と見るのが普通。
 仮に「7割」ならMBTは約4万3000台。別の途をたどった車両を差し引くと、例えば「3万台」と考えると、これらがいまだにロシア領内のどこかに温存されていることとなると、深川氏。
 さらに突っ込んで「3万台」をベースに車種別に稼働可能な台数を大胆に推測すると、「1万2600台」という値が浮かび上がると。
 もちろんこれは仮説の1つで、実際はもっと多いかもしれないし、または全く存在しないかもしれない。

 「半世紀以上前の戦車など役立つのか」と疑問視する向きもあるだろう。だが実際のところ消耗戦に喘ぐロシア軍は多数のT-62を前線に駆り出し、すでに60台以上が撃破・鹵獲(ろかく:敵に捕獲されること)されている。
 比較的新しい戦車の温存のため、「ウクライナ軍の弾薬を消耗させる囮(おとり)、撃たれ役」とする意図なのか。こう考えればT-54/-55を最前線に大量投入したとしても不思議ではないと、深川氏。

 今後ウクライナ軍にはレオパルト2、M1エイブラムス、チャレンジャー2の強力な「西側MBT三羽烏」が少なくとも321両に加え、ひと世代前のレオパルト1戦車も約180両欧米から供与され、恐らくウクライナ南部とクリミア半島奪還のための作戦に集中投入されると見られている。

 だがロシア側が指をくわえて見ているはずはなく、何かしらの対抗策で臨むはずだ。例えば前述の“隠し財産”から1000台単位で旧式MBTを出動させ、大きな塹壕の中に潜ませる。カムフラージュも入念にして迎え撃つかもしれないと、深川氏。
 あるいはウクライナ軍の南部での反攻作戦への牽制として、東部戦線で大量の旧式MBTを投入。陽動作戦(敵の目を引き付ける囮作戦)を実施し、西側MBTの分散配置を強いる策に打って出るかもしれない、との指摘もあると。

 『ミリバラ2023年版』の公表にあたりIISSは、開戦後1年でロシアが失った高性能のMBT(T-72/T-80/T-90)が2000~2300台に達し、これは実戦配備のMBTの最大半分に相当し、なかなか補充しきれない実情にある、との分析を披露したのだそうです。
 オランダ発の軍事情報Webサイト『Oryx』も、直近のMBT損失数を、確認しただけでも約1800台だと。

 ロシア軍のMBT損失数はどうやら「年間2000台前後」が妥当のようだ。仮にこのペースが続き、年間1000台規模の国内新規生産が不可能で、しかも外国からの援助もないとしたら、確かに額面上は3年ほどでMBTは底をつくだろうと、深川氏。

 だが万単位の“ゾンビ戦車”をプーチン氏が隠し玉として大々的に投入し始めたらどうだろうか。侮るのは禁物だとも。

 とらぬ狸の皮算用と言ってしまえばそれまでとは、深川氏が仮説のひとつと断っておられるとおり。
 しかし、諸々の仮説を考察して事にあたるのは戦術設計には必須。
 西側の支援が実戦に反映される前に、攻勢を強め一進一退の局面を有利にしたいロシア側。ワグネルの傭兵軍と正規軍との軋轢も聞こえてきます。
 
 ゼレンスキー大統領の、悲痛な支援要請に応えようとする欧米諸国も、国内経済の停滞によるえん戦機運(他国への支援と自国民への支援のバランス)との挟間に苦慮。
 G7議長国の日本は、憲法の制約と、「けんとうし」の岸田氏とで手詰まり。
 ロシアや中国他の支援国対、欧米のNATO軍が支援するウクライナとの闘い。まだまだ長期化は続きそうですが、一方的なプーチンの侵略戦争には屈しない自由主義諸国の、一層の団結を期待します。
 戦争を起こさなかった稀有な大統領のトランプ氏。G7で、トランプ氏とメルケル氏の仲裁役をしていた安倍氏などが舞台に登場出来たらどうなっているだろうとは、ないものねだり。。

 
 
 # 冒頭の画像は、ロシア軍のT-72戦車 
 



  この花の名前は、福寿草


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