遊爺雑記帳

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天安門事件30年、中国を許した米国の失敗

2019-06-10 23:58:58 | 中国 全般
 自由を求める学生達がおこした天安門事件。米国なら、容赦ない弾圧にさらされている自分たちと連帯して立ち上がってくれるだろうと期待していたとすれば、その期待は見事に裏切られたと、The Wall Street Journal。
 ブッシュ大統領は、当初、中国政府による弾圧を非難し、中国への武器輸出を停止するなど制裁を発表したのでしたが、基本的に何も起きなかったかのように振る舞う寛容な姿勢をとることとしました。
 しかし、過去30年の出来事を振り返ると、1989年の中国政府の行動を大目に見ようという米国の姿勢が大きな成果を挙げたとは言い難いと、ジェラルド・ベーカー氏。

 
天安門事件30年、中国を許した米国の失敗 | The Wall Street Journal発 | ダイヤモンド・オンライン 2019.6.4 The Wall Street Journal

 ――筆者のジェラルド・ベーカーはWSJエディター・アット・ラージ

 
1989年春に天安門広場で学生が行った民主化デモには忘れがたい場面がいくつもある。もちろん、流血の事態に至った悲惨な結末もその一つだ。人民解放軍の戦車の前に武器も持たず、落ち着いた様子で立ちはだかった勇敢な男性の悲痛な姿もそうだ。

 しかし、
米国人にとっておそらく最も強烈な映像は「民主の女神」像だった。民主の女神は学生が制作した間に合わせの像で、毛沢東の肖像画と霊廟(れいびょう)の真向かいに設置された。学生運動の指導者らは米国の「自由の女神」のレプリカではないと主張したが、そのよく似た姿を米国人が見逃すことはなかった。トーチを高く掲げる女性像は、自由な空気を求める世界中の人々の権利と願いを後押しする役割が米国にあることを想起させた

 
自由という普遍的な権利のために戦ってきたという米国なら、容赦ない弾圧にさらされている自分たちと連帯して立ち上がってくれるだろう――。当時の中国の学生たちがそう期待していたとすれば、その期待は見事に裏切られた

 ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は当初、中国政府による弾圧を非難し、中国への武器輸出を停止するなど制裁を発表した。しかし、米政権は早い段階で、天安門事件を対中政策の転換点にしないことを決定していた。米国は公式の反応として、基本的に何も起きなかったかのように振る舞うことが明白になった。天安門事件のほんの数日後、ブッシュ大統領は「今こそ米国にとって、極めて重要なこの関係の重要かつ永続的な側面を見据えるべきだ」と発言したのだ。
いつも通りの関係を続けるという政府の決定はワシントンで猛反発を招いた。議会では民主党議員と一部の共和党議員が対中制裁を要求し、中国に対して対決姿勢を強めるよう求めた

 世界(中国を除く)は今週、天安門事件の30周年記念日を迎えるが、当時の米国の態度は今でも間違っていないと言えるだろうか。
中国の虐殺者たちへの寛大な対応は2つの主張に基づいていたが、結果としてそのどちらにも欠陥があった

 
一つ目の主張は現実の政治に基づく主張だ。当時、中国は米国にとって、冷戦の最大の敵だったソ連の力を抑えるために極めて重要な存在だった。しかも1989年春の段階では、ソ連が崩壊し始めたことは明らかになりつつあったが、数カ月後のベルリンの壁崩壊まで予想する声はワシントンにはなかった。
 ところが
その後、三つどもえのチェスの中で中国が果たした役割は米国にとって役立つものではなくなった。2年後、ソ連が完全に消滅し、それから数年後には米国の覇権を長きにわたって脅かす大きな動きが中国で生じ始めた。

 今になってみれば、当時の米国の自制を正当化する
2つ目の主張もうわべの議論のように思える。ブッシュ政権内では、大統領を批判する勢力がまさに訴えていた人権上の進展を達成するには関与の継続が不可欠だと考えられていた。大統領はそれをこう表現した。「人間には商業的な動機があるのだから、中国だろうとその他の全体主義国家だろうと、民主主義への移行は止めようがなくなる」。外交上の礼節を維持することで中国共産党内の「改革派」を後押しできるが、政治的および経済的に中国を孤立させれば「強硬派」を盛り立てるだけだ――。それが米国の考えだった

 過去30年の出来事を振り返ると、1989年の
中国政府の行動を大目に見ようというこの米国の姿勢が大きな成果を挙げたとは言い難い。そしておそらく、経済や政治、外交の各分野で中国が繰り返すますます強硬な振る舞いに対しても同様のことが言えるだろう。

 米国がより断固とした対応を取っていれば事態が大きく変わっていたかどうかは誰にも分からない。当時、中国の潜在的経済力は既に解き放たれていた。米国が中国を孤立させようとしたとしても、この30年で中国の経済成長は着実に実現されただろう。それに中国と対立して封じ込めるより、受け入れようとしたことは正しかったという説得力のある主張もある。

 ただ、より開かれた
民主的で自由な社会への移行を後押しするという狙いからすれば、中国政府の行為を許すという30年前の米国の決断は目も当てられない失敗だ。

 (The Wall Street Journal/Gerard Baker)

 天安門広場で学生が行った民主化デモには忘れがたい場面がいくつもある。米国人にとっておそらく最も強烈な映像は「民主の女神」像だったとジェラルド・ベーカー氏。
 民主の女神は学生が制作した間に合わせの像で、自由という普遍的な権利のために戦ってきたという米国なら自分たちと連帯して立ち上がってくれるだろうとの期待が込められていたとすれば、その期待はみごとにうらぎられたと、ベーカー氏。

 米国の中国政府の行為を黙認した根拠は、ふたつあって、ひとつは、冷戦の最大の敵だったソ連の力を抑えるために中国との二方面対立を避けたかったこと。
 ふたつつ目は、外交上の礼節を維持することで中国共産党内の「改革派」を後押しできるが、政治的および経済的に中国を孤立させれば「強硬派」を盛り立てるだけだという、中共内部の「改革派」による民主化への支援。

 日本はこの米国の対中政策に沿って、当時、各国による中国制裁網を破って貿易再開をしたことは、諸兄がご承知のことです。

 しかし30年たった今、これらの開かれた民主的で自由な社会への移行を後押しするという狙いからすれば、中国政府の行為を許すという30年前の米国の決断は目も当てられない失敗だったとベーカー氏。

 今、トランプ政権の米国は、中国の覇権拡大に正面から対抗する姿勢を展開していることは衆知のことです。
 毛沢東の独裁政治体制への回帰と、世界の覇権を狙う「中国の夢」実現を目指す習近平にストップをかけようとしているのですね。

 アジアの自由主義国の雄国で、中国による尖閣への侵略エスカレートを受けている日本。
 日米同盟の強化を基に、自由主義国と連携し、中国の覇権拡大抑止に取り組む政策(「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」や、CPTPP(TPP11))の推進が求められます。



 # 冒頭の画像は、民主の女神像




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