遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

タイ海軍が中国に取り込まれるのを断固阻止すべき

2021-08-06 01:23:56 | my notice
 昨年(2020年)8月、タイ政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的苦境を打開する対策予算を確保するため国防費削減を決定。
 中国からの潜水艦調達計画のうち、すでに建造が始まっていた1隻は別として、追加発注することになっていた2隻に関しては一時中断したのだそうです。
 それから1年経ち、再び海軍側は潜水艦追加調達の意向を表明。
 しかし、昨年新型コロナ感染拡大をほぼ制圧していたタイは、今年の5月以降、感染爆発状況となり、プラユット政権としては新型コロナ対策関連予算を最優先させる必要に直面。プラユット首相は民意に耳を傾けざるを得ず、再び潜水艦取得に拘泥している海軍首脳を説得。再度タイ海軍による中国潜水艦追加調達計画は“一時停止”(中止ではない)となったのだそうです。
 
中国が接近する親日国タイ、日本は哨戒用艦艇の供与で関係維持を 再び停止したタイの「中国潜水艦」追加調達 | JBpress (ジェイビープレス) 2021.8.5(木) 北村 淳:軍事社会学者

 昨年(2020年)8月、タイ政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的苦境を打開する対策予算を確保するため国防費を削減する決定を下した

 
それに伴い、タイ海軍が最優先事項として推し進めていた中国からの潜水艦調達計画のうち、すでに建造が始まっていた1隻は別として、追加発注することになっていた2隻に関しては一時中断することになった

 
タイ海軍は強く抵抗したものの、2014年にクーデターにより政権を打ち立てたプラユット首相(2019年には選挙によって政権の正当性を確保した)は、民意だけでなく与党内にもコロナ関連対策を鑑みて潜水艦追加調達計画への反対意見が強まったため、追加調達はひとまず停止せよと海軍首脳を説得した

 
それから1年経ち、再び海軍側は潜水艦追加調達の意向を表明し、中国潜水艦追加調達予算として9億バーツ(およそ30億円)を請求した(潜水艦の追加調達価格は2隻でおよそ760億円と言われており、長期分割払いとされている)。

 しかしながらタイでは、新型コロナ感染拡大をほぼ制圧していた昨年と違い、
今年の5月以降、感染爆発状況となり、プラユット政権としては新型コロナ対策関連予算を最優先させる必要に直面している。軍事政権に反対する民主派が恒常的に実施している市中デモやSNS発信などでも「保健衛生予算の大増額が必要な状況にもかかわらず、潜水艦調達計画とは何事だ」という批判の声が噴出している状況だ。

 そのため、
プラユット首相は民意に耳を傾けざるを得ず、再び潜水艦取得に拘泥している海軍首脳を説得した模様である。その結果、海軍側は上記の9億バーツの予算請求を取り下げ、再度タイ海軍による中国潜水艦追加調達計画は“一時停止”(中止ではない)に追い込まれた。

タイで高まる「潜水艦は不要」の声
 このような
タイの状況を鑑みて米海軍などには、「アメリカ政府が日本や韓国に潜水艦をタイ海軍に供与するよう働きかけて、アメリカの古くからの同盟国であったタイ海軍が中国に取り込まれるのを断固阻止すべきである」といった意見が再浮上している。昨年の本コラム(「タイが潜水艦購入延期、コロナで崩れた中国の目論見」2020年9月3日)でも、タイ海軍による中国潜水艦追加調達計画が一時停止した状況は、日本にとっても潜水艦売り込みのチャンスとなる、と指摘した。

 
しかしながら、現在のタイ国内は、「タイ海軍ひいてはタイ軍部やタイ政府が潜水艦の調達によって中国に取り込まれるのを妨害する」といったアイデアは取り下げるべき状況となっている。

 というのは、
タイでは民主勢力(反軍事政権勢力)を中心として、そもそもタイ海軍には潜水艦など必要ない、との声が高まっているからである。

 タイ海軍およびプラユット政権が潜水艦隊建設ならびに中国からの潜水艦調達を決定した2015年当時(本コラム2015年7月2日発行)においても、タイ海軍が潜水艦を保有する必要性に対する疑義は提示されていた。しかし、COVID-19パンデミックに見舞われている現在は、「タイ海軍には活動海域や対象とする仮想敵などから判断すると莫大な予算が必要となる潜水艦戦力保有など必要ない」との声がますます強まっている。

 実際、タイ海軍が中国潜水艦調達費9億バーツを取り下げたのに引き続いて、
タイ議会では極めて高額な潜水艦隊構築関連予算(潜水艦関連コントロールシステム3億バーツ、潜水艦工廠9億バーツ、メンテナンスセンター9億6000万バーツ、潜水艦関連要員の生活施設3億バーツなど)に関する削減作業に着手している。

 
したがって、アメリカや日本が中国に対抗する形でタイ海軍に潜水艦を売り込むというアイデアは、民主派を中心とするタイ世論にとっては望ましい動きとは言えないと考えられる。

潜水艦ではなく「哨戒用艦艇」供与の交渉を
 
とはいっても、すでに中国は1隻の潜水艦をタイ海軍からの発注を受けて建造を開始している。また、タイ陸軍は新型戦車や装甲車両を中国から調達し始めており、中国の軍用車両メーカーはタイ国内にメンテナンスセンターを開設することになっている。

 したがって、このような状況が続くならば、第二次世界大戦中には数少ない日本の同盟国(日泰攻守同盟条約1941年12月21日~1945年9月2日)であり、第二次世界大戦後には1954年からアメリカとの軍事同盟関係(SEATO)も締結していたことのある
タイが、軍事的に、そして政治的にも中国側に取り込まれてしまう可能性が大きい

 そこで
日本としては、潜水艦ではなく、タイの民主勢力も「タイ海軍にとって必要」としている哨戒用艦艇(高性能かつ低価格のコルベットや小型フリゲート、あるいは巡視船)をタイ海軍に供与する交渉を開始し、古くからの親日国であるタイとの友好関係を維持する努力を開始しなければならない

 このようなタイの状況を鑑みて米海軍などには、「アメリカ政府が日本や韓国に潜水艦をタイ海軍に供与するよう働きかけて、アメリカの古くからの同盟国であったタイ海軍が中国に取り込まれるのを断固阻止すべきである」といった意見が再浮上していると、軍事社会学者の北村淳氏。

 一方、タイ国内では民主勢力(反軍事政権勢力)を中心として、そもそもタイ海軍には潜水艦など必要ない、との声が高まっているとも。
 実際、タイ海軍が中国潜水艦調達費9億バーツを取り下げたのに引き続いて、タイ議会では極めて高額な潜水艦隊構築関連予算に関する削減作業に着手。
 アメリカや日本が中国に対抗する形でタイ海軍に潜水艦を売り込むというアイデアは、民主派を中心とするタイ世論にとっては望ましい動きとは言えないと北村氏。

 とはいっても、すでに中国は1隻の潜水艦をタイ海軍からの発注を受けて建造を開始。また、タイ陸軍は新型戦車や装甲車両を中国から調達し始めており、中国の軍用車両メーカーはタイ国内にメンテナンスセンターを開設予定。
 タイが、軍事的に、そして政治的にも中国側に取り込まれてしまう可能性が大きい。
 
 そこで日本としては、潜水艦ではなく、タイの民主勢力も「タイ海軍にとって必要」としている哨戒用艦艇をタイ海軍に供与する交渉を開始し、古くからの親日国であるタイとの友好関係を維持する努力を開始しなければならないと北村氏。

 タイ海軍や政府も、潜水艦より哨戒用艦艇を望んでいるとすれば、タイ軍や政府が中国に飲み込まれるのを防ぐための対応は必要ですね。

 タイは、CPTPP(TPP11)への参画の意向も持っています。是非推進されるよう、日本としても支援すべきですね。
 CPTPP参加検討のため8つの運営小委員会を設置(タイ) | ビジネス短信 - ジェトロ



 # 冒頭の画像は、タイ・バンコクで政府のコロナ対策に抗議するデモ参加者




  この花の名前は、ユキノシタ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 戦うミスター尖閣 | トップ | 劣化する官僚機構 なぜ優秀... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

my notice」カテゴリの最新記事