遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日本の安全保障と沖縄振興 改めて考え直す時

2018-08-17 23:58:58 | 沖縄全般
 「オール沖縄」の支援で、前仲井真知事が紆余曲折を経て承認した、普天間飛行場のキャンプシュアブへの統廃合(基地削減)に反対を掲げて、最高裁判決後もなを裁判闘争を続けようとしていた翁長知事が逝かれてしまいました。
 数ある沖縄の米軍基地削減を巡る課題の中で、世界一危険とされる普天間飛行場のキャンプシュアブへの統廃合は、橋本内閣が米軍基地の整理縮小策の一環として提案し、1997年に辺野古沖に移転することで日米が合意したものでした。
 キャンプシュアブ沖の滑走路の位置の数百メートルを巡って、当時の仲井真知事と政府の間で交渉が進められる迄になっていたとこで、政権交代があり、鳩山首相(当時)の県外移設公言から、その撤回への県民愚弄により、混迷の度が拡大し、キャンプシュアブへの統廃合反対を掲げる翁長知事が誕生したのでした。

 しかし、沖縄振興策が、革新系の大田昌秀知事(在任期間1990~98年)の時代に、基地反対の姿勢が補助金増額のための政治的圧力で露骨に作用するようになり、保守系の稲嶺惠一知事(1998~2006年)と仲井眞弘多知事(同06~14年)の時代には、大田知事自体に比べて補助金はむしろ抑制される傾向にあったのですが、保守系の一部と共産党、社民党、連合沖縄などの支持者を「オール沖縄」として糾合して当選を果たした翁長知事(同14年~)は「基地反対が補助金を増やす」と言い切っており、沖縄経済振興の補助金獲得と、基地反対運動とのリンクが進むことなってしまたのです。

 沖縄に広がる「辺野古疲れ」 カネ目当ての知事はもう要らない
 
 
辺野古をめぐる茶番劇に幕を引くとき 利益誘導に「沖縄の心」を利用するのはやめよう | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.8.17(金) 池田 信夫

 沖縄県の翁長雄志知事が名護市辺野古の埋め立て承認を撤回すると発表した直後に急死し、辺野古問題は混乱に陥っている。政府は8月17日に予定していた土砂投入を延期し、9月30日に予定されている県知事選挙の後まで先送りされるとの見方も出ている。

 
辺野古移設は仲井真知事が承認したが、それに反対して当選した翁長知事は承認を取り消した。国は「取り消しは違法」だと県を提訴し、最高裁で県の敗訴が確定したので、また県が撤回しても法的には無意味だ。いつまでこんな茶番劇を続けるのだろうか

■「沖縄振興策」は利益誘導
 
普天間飛行場を移設する方針は、もともと橋本内閣が米軍基地の整理縮小策の一環として提案し、1997年に辺野古沖に移転することで日米が合意したものだ。しかし民主党政権で鳩山首相が移設先について「最低でも県外」と約束し、具体案が出せないまま撤回して辞任した。

 これによって辺野古問題は混乱し、
仲井真知事も「県外移設」を掲げて知事に再選された。その後、2013年末に仲井真知事は安倍首相と会談し、首相は毎年3000億円の振興予算を8年間にわたって確保することを約束した。このとき仲井真氏は「有史以来の予算」と高く評価し、辺野古移設を容認した。
 これに沖縄県民は反発し、県議会は知事辞任要求決議を賛成多数で可決した。
「県外移設」が「オール沖縄」のスローガンになり、それを公約にして2014年に仲井真知事の約束を破ることを公約に掲げて当選したのが翁長知事である。

 このように知事の方針が二転三転して
何度も補助金を要求する沖縄の姿勢には「約束違反の利益誘導だ」という批判が強い。翁長氏も2012年の朝日新聞のインタビューで、それを認めている。

 振興策を利益誘導だというなら、
お互い覚悟を決めましょうよ沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください。そのかわり、基地は返してください。国土の面積0.6%の沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要は、さらさらない。いったい沖縄が日本に甘えているんですか。それとも日本が沖縄に甘えているんですか


■沖縄の基地は減っている
 
翁長氏は利益誘導であることを認めた上で「それは本土の負担を沖縄が引き受ける対価だ」と開き直るのだが、それは本当だろうか。次の図のように沖縄が返還された1972年に比べると、沖縄の米軍専用施設の面積は33%減った。この時期に全国の基地が45%減ったので、沖縄の比重が上がっただけだ。
 つまり基地が沖縄に集中したのではなく、本土でも沖縄でも基地は縮小されたのだ。
沖縄の縮小率が小さかったのは、本土が沖縄に甘えているからではなく、その逆でもない。アメリカの極東戦略の変化によるものだ。

 1951年のサンフランシスコ条約では、沖縄の米軍基地には日本国憲法が適用されなかったので、核兵器が配備され、海外派兵も行われた。それが沖縄に米軍基地の集中した原因である。
 沖縄返還の後、米軍縮小策で在日米軍基地は大きく減り、その位置づけも補給基地になったが、
朝鮮半島と台湾に近い沖縄の地政学的な重要性は大きいので、沖縄の基地はそれほど減らなかった
 その
位置づけ「攻撃の前進基地」だったので、自衛隊がその役割を分担することは難しい。沖縄返還で日本の領土になったのだから、日本が守るべきなのだが、憲法の制約でできない

 このように沖縄の米軍基地は、日米同盟という戦後日本の「裏の国体」の要だったが、それは平和憲法という「表の国体」との矛盾を抱えている。日本政府はその矛盾を沖縄に押しつけ、補助金でごまかしてきた。

 沖縄の地元紙をはじめとする革新勢力も、利益誘導の応援団となってきた。
革新は基地反対を叫び、保守がそれを抑える見返りに本土からいつまでも補助金を取る茶番劇が続いてきたが、彼らは辺野古問題に決着がつくと困る。革新が弱体化したので、保守の翁長氏が革新に相乗りしたわけだ。

■日米関係の中で沖縄を考えよう
 
観光以外に産業のない沖縄にとって補助金は最大のビジネスなので、利益誘導は一概には否定できないが、それを「沖縄の心」という美辞麗句で飾ることが問題を混乱させてきた。本質的な問題は、日米関係の中で米軍基地をどう位置づけるのかである。

 この点で、翁長氏が全国知事会に提案して、8月14日に防衛省に提出された米軍基地負担に関する提言は注目に値する。
 これは「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」などを求めるものだ。
 現在の
日米地位協定では、米軍基地に日本の航空法は適用されない。東京の上空は「横田空域」と呼ばれる米軍の空域で、管制権はアメリカにある。これは主権国家としては異常な状態で、占領統治の延長上にあるといってもよい。

 
ところが日本は憲法の建て前で軍備を持てないので、対等な軍事同盟を結ぶことができない。このためアメリカが在日米軍基地の指揮権も管制権も持つ地位協定ができ、日本政府は「事前協議」を求める権利しかない。
 
これを解決する方法は安保条約を改正して日米が互いに防衛責任をもつことだが、それは憲法第9条に違反する。アメリカから見ると、日本はアメリカを守る責任がないのに、アメリカが日本の防衛責任を負う安保条約は不平等条約である。憲法を改正するなら、安保条約と地位協定も一体で考える必要がある。

 米軍再編の中で、海兵隊の基地は今後ずっと沖縄にあるとは限らない。北朝鮮情勢が不安定なとき辺野古移設を撤回するわけには行かないが、長期的には海兵隊の縮小は選択肢だろう。そういう戦略的な議論をするならともかく、情緒的な「反戦・平和」論議には意味がない。

 
沖縄問題の本質は、日米同盟の矛盾である。翁長氏はそういう沖縄の表も裏も知り尽くした上で、「沖縄の心」を最期まで演じたのだろう。それは彼なりの沖縄への奉仕だったのかもしれないが、ここで茶番劇には区切りをつけ、日米関係の中で沖縄問題をまじめに考えてはどうだろうか

 記事では、翁長氏の補助金要求姿勢を朝日が報じていたと指摘されていますが、翁長氏が、政府へ提出する普天間飛行場の県内移設断念などを要求する文書に、県内の市長に署名を求める際、「われわれが反対しても国の方針は変えることができないと思う」と前置きした上で、「反対することで振興策が多く取れる」と述べたとされています。
 「基地反対で振興策多く取れる」翁長氏の発言や矛盾点、仲井真氏支持の市長証言 - 産経ニュース

 翁長氏は利益誘導であることを認めた上で「それは本土の負担を沖縄が引き受ける対価だ」と開き直るのだと、株式会社アゴラ研究所所長の池田氏。
 沖縄が返還された1972年に比べると、沖縄の米軍専用施設の面積は33%減った。この時期に全国の基地が45%減ったので、沖縄の比重が上がった。
 沖縄の縮小率が小さかったのは、本土が沖縄に甘えているからではなく、その逆でもない。アメリカの極東戦略の変化によるものだと。

 戦後米国の占領下にあった時、朝鮮半島と台湾に近い沖縄の地政学的な重要性は大きく、位置づけも「攻撃の前進基地」だった沖縄の米軍基地。沖縄返還で日本の領土になったのだから、日本が守るべきなのだが、憲法の制約で自衛隊がその役割を担うことは難しかったのが、沖縄の米軍基地削減が、遅れた原因だったのですね。
 なので、地位協定についても不平等状態がつづいている。
 翁長氏も地位協定見直しを全国知事会に提案し、「米軍基地負担に関する提言」を防衛省に提出されたのだそうですが、日本はアメリカを守る責任がないのに、アメリカが日本の防衛責任を負う日米安保条約は、アメリカ側からみれば、不平等条約。
 
 沖縄問題の本質は、日米同盟の矛盾だと指摘される池田氏。
 翁長氏の逝去を機に、沖縄振興と基地問題の腐れ縁の見直し。日本の防衛と日米同盟の在り方(日米間で徐々に見直しが進められていますが)について、平成の黒船のトランプ大統領誕生とも併せて、真摯な検討と、激変している近隣諸国への対応策構築が求められます。
 先ず、自国は自国で護る、足らない所は有志国と同盟や連携で補う。そうした普通の国となれる法整備や体制造りを進めることが求められるのですね。



 # 冒頭の画像は、翁長雄志沖縄県知事の告別式で親族代表あいさつをする長男の翁長雄一郎氏




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