遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

教皇の核の抑止力提言と日本をとりまく安全保障の現実考

2019-11-29 00:21:59 | my notice
 世界のキリスト教信者の80%以上を占める 3大宗派(カトリック(50.7%)、プロテスタント(22.6%)、正教会(11.6%))の中でも最も信者が多い、カトリック。
 世界人口の2割弱に当たる13億人のカトリック信者を束ねるのが、イタリアの首都ローマにある独立国バチカンの統治者でもあるローマ教皇。
 来日して、長崎や広島での演説で、核兵器の使用や保有は「倫理に反する」と廃絶を訴えられました。さらに、「核兵器は安全保障への脅威から私たちを守るものではない」と述べ、抑止力としての核も否定されました。

 それに対し、産経・主張が抑止力としての核は必要だと異議を唱えています。
 13億人の信者を束ねる教皇への異議。表明にあたっては、社内でどのような議論がなされたのかと推察しますが、その決断に敬意を表明し、取り上げさせていただきました。

 
【主張】核抑止力 「悲劇」を防ぐには必要だ - 産経ニュース 2019.11.28

 来日していたローマ教皇(法王)フランシスコが被爆地長崎や広島での演説で、核兵器の使用や保有は「倫理に反する」と廃絶を訴えた。「核兵器は安全保障への脅威から私たちを守るものではない」と述べ、核抑止力を否定した。

 
「真の平和は非武装以外にあり得ない」とも述べた宗教家の立場から、核廃絶や平和の理想を語ったものととらえたい。これらをそのまま現実の政策に適用するのは危うい。

 
核廃絶が理想である点は言を俟(ま)たないが、世界はそれを一足飛びに実現できる環境にはない

 残念ながら、教皇の言葉通りに日本や主要国の政府が
一方的に核抑止力を否定、放棄すれば、残る核保有国が圧倒的優位になる。軍事バランスが崩れ、人々は核の脅威にこれまで以上にさらされてしまう。全ての核保有国が放棄すると合意しても、核兵器を隠したり、ひそかに製造したりする国や勢力が現れれば万事休すだ。

 菅義偉官房長官は記者会見で、「日米安保体制の下で、核抑止力を含めた米国の抑止力を維持、強化していくことはわが国の防衛にとって現実的で適切な考え方だ」と述べた。極めて妥当である。

 
核兵器を持たない日本が、北朝鮮や中国、ロシアの核の脅威にさらされていることを忘れてはならない。

 日本政府には、広島、長崎のような悲劇や核兵器使用の脅しから国民を守る責務がある。だから通常兵力と並んで核抑止力も日本の守りに加える政策を長らく採ってきた。この
核抑止力は自前で用意せず、日米同盟に基づき米軍の核戦力つまり米国の「核の傘」を充ててきた。この方針は、国家安全保障戦略や「防衛計画の大綱」に記されている。

 ミサイル防衛を進めても百発百中で核ミサイルを撃ち落とすことはできない。
人類の今の科学技術の水準では、核の脅威には核を含めた戦力で抑止する態勢をとることが欠かせない。皮肉なことだが、核拡散防止条約(NPT)で認められた核抑止力の存在が、核戦争や大国間の戦争を防いできた面は否めないのである。

 
菅長官は「現実にある安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していく必要がある」と語ったこれ以外の正解はないだろう

 産経・主張も核廃絶が理想である点は言を俟たないと唱えています。
 宗教家の立場から、核廃絶や平和の理想を述べられることも、否定はしていません。
 むしろ、多くの信者に説得力を持つ教皇が、理想論を説いていただくべきだと遊爺も、教皇のご発言を否定はしませんし、布教で説いて回っていただけることには賛同します。

 余談ですが、高須氏他の少なくない方々が、核保有国をめぐり説いていただきたいと発信しておられましたが、賛同します。

 核兵器で日本列島を沈没させると、堂々と公言する統治者の国の北朝鮮。日本の要所に向けた核ミサイル配置をし、東シナ海のEEZ境界線のガス田を制圧し、さらに尖閣諸島の領海を含む近海や空への侵入をエスカレートさせる中国。竹島を戦後のドサクサに紛れて不法占拠しつづけ、国際司法裁判所での裁定の場での裁きから逃げている韓国。平和条約を締結していながら、終戦間際に攻め込んで、サンフランシスコ条約への署名をせず、以来北方四島の不法占拠を続けるロシア。
 
 憲法前文に、「日本国民は、(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と明記し 、他国民に安全保障をゆだねている日本。
 具体的には、日米安保条約で、米国におんぶにだっこで、その核の傘の下、日本への不法占拠を続けたり、侵略行為を続けている国々から護ってもらってきているのが現実。

 世界中に13億人の信者を抱える教皇には、ぜひ理想を説き、広めていただきたい。

 と、同時に現実には核の脅威にさらされて、領土を不法占拠され続けていたり、さらなる侵略の脅威に晒されている日本。
 国土と国民を護るための抑止力が欠かせないのが現状。

 これまでは、米国の「核の傘」の抑止力で、日本をとりまく諸国への抑止を、憲法前文の規定通り、他国民にお願いしてきましたが、その米国はトランプ大統領の出現で、アメリカファーストの選挙公約の推進を続けています。

 明治維新の時期、黒船の来航で目覚めた日本は、列強がアジアにおしかけ次々と植民地化を進める中、独立国の地位を保ちました。
 難交渉の末、ようやくまとまっていたTPPを破棄した、アメリカファーストのトランプ大統領の出現は、平成の黒船でした。
 令和の日本では、安倍政権による憲法改正が実現し、他国民任せの自国の安全保障を、普通の国の様に、自国で守れるようにし、足らざる部分を自由主義を標榜する国々と連携し、国際平和を実現してゆかねばなりません。

 教皇には、引き続き世界の国々の人々や、為政者に理想を説いていただきたい。ご高齢を厭わず諸国をめぐっていただいていることへは感謝の念に堪えません。

 と同時に、その理想郷が実現するまでの間、脅威にさらされている日本の領土と国民を護るための抑止力をどう確保するか。
 平和ボケといわれる日本。議論をわき起こさねばならない今。教皇がなげかけていただいた説を契機に、国内の議論が高まることを期待します。

 世界情勢が激動する「新冷戦」時代に突入した今。桜を見る会で国会を空転させる野党。
 それはそれですすめればよいのですが、日本の安全保障や、経済に係る課題は山積しています。
 他国民に自国の安全保障を依存しろという憲法も普通の国ではありえない話です。

 米国の与野党は、香港の自由を護るための法案を一致して成立させています。
 日本の国会の奮起、質の向上を願うばかりです。それは、野党を下請けに使って偏向報道をするメディアにも求められる世界観です。



 # 冒頭の画像は、後楽園球場でミサを行われたフランシスコ教皇。
 
 
 

  青空と紅葉


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