日本では27日、円相場が急落し、対ドルで数十年ぶりの安値を付ける中で、別のリスク要因が見えてきたと、WSJ。
鈴木俊一財務相は、円相場のこれ以上の変動を「行き過ぎ」と判断した場合、市場介入する姿勢を示した。投資家は152円をレッドライン(越えてはならない一線)と考えているのだそうです。
125円が円相場の「心理的な節目」と考えられていたのは、それほど前のことではないのに!
円と日本経済の激しく揺れるジェットコースターが、新たに宙返りしたようなものだと、WSJ。
日銀は最近、金融正常化に向けた控えめな一歩を踏み出し、短期金利の誘導目標を2016年以来となるプラス圏に設定した。
円相場は、東京株式市場も道連れにした。2月の円安局面は、東京株式相場をバブル崩壊前の1989年に付けた史上最高値を超えるまでに押し上げた。その後、今月の日銀会合前に生じた円高局面は、株価下落をもたらした。
これが日本ないし世界経済にとって何を意味するかは、誰にも分からない。近年の円の対ドル相場の下落は、日本のグローバル企業の円建ての利益を押し上げた一方、東京市場に上場する株式などの円建ての資産を海外投資家にとって割安に見せる効果をもたらした。
通貨をめぐる問題は他の地域でも発生していると、WSJ。
マレーシアでは、通貨リンギの対ドル相場が1998年の東アジア通貨危機以来の安値に落ち込んでいる。インドはこれとは正反対の問題に直面している。インド・ルピーは今年、主に国外からの大量の資本流入により、途上国通貨の中で最も強い通貨の一つとなっているのだそうです。
ドル建てよりも自国通貨建ての借り入れを優先してきた途上国は、1990年代のような大打撃を受ける可能性は低い。
しかし、新興諸国は、為替相場の急激な変動に伴う外国人投資家のポートフォリオ調整によって、悪影響を受けやすいと、WSJ。
ひとつの問題は、為替相場の変動によって、新型コロナウイルス収束後のサプライチェーン(供給網)の回復が阻害されかねないことだ。日本、マレーシア、インドの3カ国はともに、中国に代わる市場として注目されるはずだが、為替相場の乱高下は、こうした状況変化への企業の対応を一層困難にするとも。
FRBや他の先進国・地域の中銀の政策は、通貨に大きな影響を及ぼす。為替相場の変動が、どこかで何かを崩壊させ得るリスクを軽視してはならないと、WSJ。
冒頭の画像は、日銀。
この花の名前は、アネモネプランダ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
鈴木俊一財務相は、円相場のこれ以上の変動を「行き過ぎ」と判断した場合、市場介入する姿勢を示した。投資家は152円をレッドライン(越えてはならない一線)と考えているのだそうです。
125円が円相場の「心理的な節目」と考えられていたのは、それほど前のことではないのに!
【社説】円安値更新に見る世界経済への為替リスク - WSJ
通貨問題は日本以外の地域でも発生、その影響を軽視すべきではない
By The Editorial Board 2024年3月28日
興奮しやすい市場アナリストたちは、各中央銀行の利上げがいつ、どのぐらいの幅で行われるかが、あたかも世界経済の主なリスクであるかのように話している。日本では27日、円相場が急落し、対ドルで数十年ぶりの安値を付ける中で、別のリスク要因が見えてきた。
円相場は一時1ドル=151円97銭まで下げ、34年ぶりの安値を付けた。鈴木俊一財務相は、円相場のこれ以上の変動を「行き過ぎ」と判断した場合、市場介入する姿勢を示した。投資家は152円をレッドライン(越えてはならない一線)と考えているが、125円が円相場の「心理的な節目」と考えられていたのは、それほど前のことではない。
これは、円と日本経済の激しく揺れるジェットコースターが、新たに宙返りしたようなものだ。日銀は最近、金融正常化に向けた控えめな一歩を踏み出し、短期金利の誘導目標を2016年以来となるプラス圏に設定した。投資家が日銀の動くタイミングを臆測する中、円相場はこのニュースが到来するまでの数カ月間にわたり、大きく変動していた。
円相場は、東京株式市場も道連れにした。2月の円安局面は、東京株式相場をバブル崩壊前の1989年に付けた史上最高値を超えるまでに押し上げた。その後、今月の日銀会合前に生じた円高局面は、株価下落をもたらした。今の為替相場は、日銀が当面さらなる引き締めを行わず、米連邦準備制度理事会(FRB)があと数カ月間利下げを行わないだろうとの見方に基づいて動いているように見える。
これが日本ないし世界経済にとって何を意味するかは、誰にも分からない。近年の円の対ドル相場の下落は、日本のグローバル企業の円建ての利益を押し上げた一方、東京市場に上場する株式などの円建ての資産を海外投資家にとって割安に見せる効果をもたらした。
それはまた、超低金利で円を借り入れた投資家が米国債などの資産に資金を注ぎ込むキャリートレードの大きな動きを加速させた。これらの動きが、世界の消費者に商品やサービスを提供する日本企業の能力とどのような関係があるのかは謎だ。
通貨をめぐる問題は他の地域でも発生している。大きな経済規模を持つ東南アジアの国、マレーシアでは、通貨リンギの対ドル相場が1998年の東アジア通貨危機以来の安値に落ち込んでいる。インドはこれとは正反対の問題に直面している。インド・ルピーは今年、主に国外からの大量の資本流入により、途上国通貨の中で最も強い通貨の一つとなっている。
途上国の経済が1990年代のような大打撃を受ける可能性は低い。これら諸国が当時の惨事を教訓にして、ドル建てよりも自国通貨建ての借り入れを優先してきたことが主な理由だ。しかし新興諸国は、為替相場の急激な変動に伴う外国人投資家のポートフォリオ調整によって、悪影響を受けやすい。2022年の英国債市場の大混乱や、2023年のシリコンバレー銀行の経営破綻は、金利正常化と金融引き締めに対して、金融システムがいかに脆弱(ぜいじゃく)になり得るかを示した。
これと関連する一つの問題は、地政学的リスクが高まる中での為替相場の変動によって、新型コロナウイルス収束後のサプライチェーン(供給網)の回復が阻害されかねないことだ。日本、マレーシア、インドの3カ国はともに、中国に代わる市場として注目されるはずだが、為替相場の乱高下は、こうした状況変化への企業の対応を一層困難にする。
FRBや他の先進国・地域の中銀は、公式には為替レートの目標水準を定めていない。しかし、これら中銀の政策は、通貨に大きな影響を及ぼす。為替相場の変動が、どこかで何かを崩壊させ得るリスクを軽視してはならない。
通貨問題は日本以外の地域でも発生、その影響を軽視すべきではない
By The Editorial Board 2024年3月28日
興奮しやすい市場アナリストたちは、各中央銀行の利上げがいつ、どのぐらいの幅で行われるかが、あたかも世界経済の主なリスクであるかのように話している。日本では27日、円相場が急落し、対ドルで数十年ぶりの安値を付ける中で、別のリスク要因が見えてきた。
円相場は一時1ドル=151円97銭まで下げ、34年ぶりの安値を付けた。鈴木俊一財務相は、円相場のこれ以上の変動を「行き過ぎ」と判断した場合、市場介入する姿勢を示した。投資家は152円をレッドライン(越えてはならない一線)と考えているが、125円が円相場の「心理的な節目」と考えられていたのは、それほど前のことではない。
これは、円と日本経済の激しく揺れるジェットコースターが、新たに宙返りしたようなものだ。日銀は最近、金融正常化に向けた控えめな一歩を踏み出し、短期金利の誘導目標を2016年以来となるプラス圏に設定した。投資家が日銀の動くタイミングを臆測する中、円相場はこのニュースが到来するまでの数カ月間にわたり、大きく変動していた。
円相場は、東京株式市場も道連れにした。2月の円安局面は、東京株式相場をバブル崩壊前の1989年に付けた史上最高値を超えるまでに押し上げた。その後、今月の日銀会合前に生じた円高局面は、株価下落をもたらした。今の為替相場は、日銀が当面さらなる引き締めを行わず、米連邦準備制度理事会(FRB)があと数カ月間利下げを行わないだろうとの見方に基づいて動いているように見える。
これが日本ないし世界経済にとって何を意味するかは、誰にも分からない。近年の円の対ドル相場の下落は、日本のグローバル企業の円建ての利益を押し上げた一方、東京市場に上場する株式などの円建ての資産を海外投資家にとって割安に見せる効果をもたらした。
それはまた、超低金利で円を借り入れた投資家が米国債などの資産に資金を注ぎ込むキャリートレードの大きな動きを加速させた。これらの動きが、世界の消費者に商品やサービスを提供する日本企業の能力とどのような関係があるのかは謎だ。
通貨をめぐる問題は他の地域でも発生している。大きな経済規模を持つ東南アジアの国、マレーシアでは、通貨リンギの対ドル相場が1998年の東アジア通貨危機以来の安値に落ち込んでいる。インドはこれとは正反対の問題に直面している。インド・ルピーは今年、主に国外からの大量の資本流入により、途上国通貨の中で最も強い通貨の一つとなっている。
途上国の経済が1990年代のような大打撃を受ける可能性は低い。これら諸国が当時の惨事を教訓にして、ドル建てよりも自国通貨建ての借り入れを優先してきたことが主な理由だ。しかし新興諸国は、為替相場の急激な変動に伴う外国人投資家のポートフォリオ調整によって、悪影響を受けやすい。2022年の英国債市場の大混乱や、2023年のシリコンバレー銀行の経営破綻は、金利正常化と金融引き締めに対して、金融システムがいかに脆弱(ぜいじゃく)になり得るかを示した。
これと関連する一つの問題は、地政学的リスクが高まる中での為替相場の変動によって、新型コロナウイルス収束後のサプライチェーン(供給網)の回復が阻害されかねないことだ。日本、マレーシア、インドの3カ国はともに、中国に代わる市場として注目されるはずだが、為替相場の乱高下は、こうした状況変化への企業の対応を一層困難にする。
FRBや他の先進国・地域の中銀は、公式には為替レートの目標水準を定めていない。しかし、これら中銀の政策は、通貨に大きな影響を及ぼす。為替相場の変動が、どこかで何かを崩壊させ得るリスクを軽視してはならない。
円と日本経済の激しく揺れるジェットコースターが、新たに宙返りしたようなものだと、WSJ。
日銀は最近、金融正常化に向けた控えめな一歩を踏み出し、短期金利の誘導目標を2016年以来となるプラス圏に設定した。
円相場は、東京株式市場も道連れにした。2月の円安局面は、東京株式相場をバブル崩壊前の1989年に付けた史上最高値を超えるまでに押し上げた。その後、今月の日銀会合前に生じた円高局面は、株価下落をもたらした。
これが日本ないし世界経済にとって何を意味するかは、誰にも分からない。近年の円の対ドル相場の下落は、日本のグローバル企業の円建ての利益を押し上げた一方、東京市場に上場する株式などの円建ての資産を海外投資家にとって割安に見せる効果をもたらした。
通貨をめぐる問題は他の地域でも発生していると、WSJ。
マレーシアでは、通貨リンギの対ドル相場が1998年の東アジア通貨危機以来の安値に落ち込んでいる。インドはこれとは正反対の問題に直面している。インド・ルピーは今年、主に国外からの大量の資本流入により、途上国通貨の中で最も強い通貨の一つとなっているのだそうです。
ドル建てよりも自国通貨建ての借り入れを優先してきた途上国は、1990年代のような大打撃を受ける可能性は低い。
しかし、新興諸国は、為替相場の急激な変動に伴う外国人投資家のポートフォリオ調整によって、悪影響を受けやすいと、WSJ。
ひとつの問題は、為替相場の変動によって、新型コロナウイルス収束後のサプライチェーン(供給網)の回復が阻害されかねないことだ。日本、マレーシア、インドの3カ国はともに、中国に代わる市場として注目されるはずだが、為替相場の乱高下は、こうした状況変化への企業の対応を一層困難にするとも。
FRBや他の先進国・地域の中銀の政策は、通貨に大きな影響を及ぼす。為替相場の変動が、どこかで何かを崩壊させ得るリスクを軽視してはならないと、WSJ。
冒頭の画像は、日銀。
この花の名前は、アネモネプランダ
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