夢見るババアの雑談室

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松嶋智左著「匣の人」〈光文社文庫〉

2024-04-24 15:47:58 | 本と雑誌

 

匣・・・・・この作品では交番を意味する

匣の中の人

交番の中の人 おまわりさん

私たちは遠方に出かけた時 知らない土地で迷ったら・・・交番を見つけると安心する

何か困ったことがあれば・・・おまわりさんを頼りたい

 

ナビもスマホもある世の中で何を言っているんだーと 思われるかもしれないが

 

交番の中の人も同じ人間

悩みや迷いだって抱えている

苦しいこともある それでもー

この「それでも」って案外・・・いえ一番大切ではとも思う

 

育った家庭環境から家族に馴染めず 自分の居方がわからず 居場所も見つけられないまま 社会人になった青年がある

彼の中には正義感もあたたかで優しい心もあるけれど 自分では見失ってしまっている

他人との距離 付き合い方もよくわからない

親が 特に母親が教えるべきところを 教えてもらえずに育ってしまったのだ

男社会ゆえか職場での理不尽なパワハラも経験し バツイチでもある交番勤務の警察官・巡査部長の浦貴衣子〈うら きいこ〉は 自分の新人歓迎会を「体調が悪い」と欠席するような青年と 交番で組むようになる

この厄介な扱いが難しい若者の育成も期待されて・・・・・

夫婦喧嘩の仲介やら 交通事故 痴呆症抱える徘徊老人の保護 起きる様々な事件・事故などなど

仕事は多岐に渡るのだ

同性の上司からの昇進試験を受けるようにと言われ続けているが 勉強にも自身の過去から身が入らない

嫌な思いはしてきた

 

続くバイクによるひったくり

そしてある施設で見つかった死体

何故殺されたのか

捜査が始まる中 浦と組む青年・・・澤田里志〈さわだ さとし〉巡査の様子がおかしい

殺された男の死体が見つかった場所の二階に拘る

彼はあることを確認したかった

死体が見つかった場所 その建物について

何故 澤田は入ったことがない建物の情報を持っていたのか

浦の奮闘と澤田の持つ情報で捜査は進むが

 

澤田の知る少女が行方不明であることがわかる

澤田はこの少女を案じて捜していたのだ

消えた少女・・・・・

浦は 澤田を心配し 彼を信じて動く

そして

殺人犯にもたどりついた

 

 

人として警官としての 澤田の成長

謎を解くちりばめられた破片

この同じ主人公の新しい物語も読みたくなります

 

解説は文芸評論家の細谷正充〈ほそや まさみつ〉さん

 

 

 

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