夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「彼も来年を心配する」

2024-07-13 13:07:37 | 自作の小説

「あの二人 また喧嘩したのか 織姫早々と帰ってきおったな」

やや心配そうに天帝が言う

続けて「まあ 痴話げんかじゃろうて 喧嘩するほど仲がいい 良いこっちゃ」

などと呑気に言ったものだから 二の織姫に噛みつかれてしまった

 

「いいいですか 姉姫さまはかつては世の男性の憧れでした

それが 今や・・・嫁にはいっているのに

いけず後家と笑われる哀れな身の上に

 

それでも姉姫様は 一年にたった一夜の逢瀬

最高に美しく魅力的な自分を見てもらいたいと ダイエットに励み自分を厳しく律し

当日身に着けるものは 細やかに神経つかって選び抜き 装ってでかけるのです

健気すぎます

 

それなのに肝心の馬鹿夫は・・・天気予報が雨だからと出かける支度はおろか だらしな~~~~い!!!姿でいたのです

そりゃあ姉姫様の御怒りになる気持ちはよっくわかります

 

けれど姉姫様がこんなことになるのも お父様のせいです」

 

「わっわしの!?」

天帝は目を白黒させる

 

二の織姫が言うには

「ほぼ顔だけ取り柄のあの男が頼りにならない 姉姫様を任せるにはもの足らぬ

そういうお気持ちはわかります」

「そっそうじゃろう あれはなぁ どうにも姫を苦労させそうで

夫婦として長続きしそうになくてな」

 

「ダメだったなら 別れればよいだけのことです

そこは姉姫様が判断なさる事

いつまでこういう中途半端状態で捨ておかれるつもりです」

さしもの天帝様も娘にかかっては たじたじで言葉も続けられない

静かに笑っている妻の妃をみやれば

 

「二の織姫と同じことを あたくしは長年言い続けて飽きました

あなたのせいで 二の織姫もたいそうな迷惑をこうむっておるのですよ」

「ええ! いけへん姉妹・・・・・などとお笑い芸人のように呼ばれております

それもこれもお父様の本心

綺麗な娘を手放したくない

なんてわがままのせいです」

 

「しかしなあ 皆は七夕 一年一夜の逢瀬 ロマンチックなどと受けているぞ」

「そういうのね 当人たちにとっては ただの大迷惑です

とんまチックです」

 

 

二の織姫の追及に頭を抱える天帝様

そこに飛び込んできたのは きっちり身なりを整えてきた彦星クン

「すっすみません そこで聞いておりました

みんな俺が悪いんです」

 

「お前は~~~~ここは立ち入り禁止じゃと命じたであろうが

またも掟破りをしおったな」

チャンスとばかりに彦星クンを責め立てる天帝さん

内心助かったと思ったようです

 

「あのねえ 貴方 新婚時代に浮かれて 多少すべき事がおろそかになるのは ままある事ではありませぬか

恋に溺れる 貴方様にも身に覚えがありすぎますでしょうに」

 

「しかし しかし妻よ 来年の七夕はどうすれば・・・・・」

 

やっぱり 心配はそっちなんだと彦星クンは思った

さて来年の七夕や如何に?!

そして織姫 彦星 二の織姫の今後はどうなるのか

二の織姫も無事にお嫁にいけるのでしょうか

 

 

コメント欄は閉じております

ごめんなさい