まず 映画が史実そのままだとは申しませんが ロドリーゴ・ディアス・デ・ビバールは実在した人物です
50代半ばまで生きたとか
11世紀後半レコンキスタで活躍したカスティリャ貴族です
「わがシッドの詩」なる叙事詩もあります
「シッド」にはアラビア語で「主人」の意味があるとか
父親のディエゴ・ライネスが軍人だった縁か サンチョ2世の小姓として カスティリャ王家に育てられました
更にサンチョ2世は暗殺されるのですが犯人は 姉のウラカ王女と弟で王位についたアルフォンソ6世が首謀者との噂もあったとか
ロドリーゴ(チャールストン・ヘストン)は 愛するシメン(ソフィア・ローレン)との婚礼に向かう途中 異教徒を捕らえますが
処刑の為に引き渡せと オルドネス伯爵(ラフ・ヴァローネ)に要求され 断ります
復讐は復讐 戦いを呼ぶだけだと
異教徒はロドリーゴをエル・シッドと呼び アラーの名にかけて戦わないことを誓いました
しかし美しいシメンに想い寄せるオルドネス伯爵は ロドリーゴを 反逆者だとシメンの父親であるゴルマス伯爵に言い込み 告発するのでした
意地悪いウラカ王女は シメンにロドリーゴの噂を思わせぶりに話します
「愛が時間を遅くさせるの」と 愛するロドリーゴの到着をひたすら待っていたシメンに 父親は言いました
「お前は若い また別な男を愛せる」
オルドネス伯爵はシメンを得たいが為に ロドリーゴを告発したことを話します
息子を反逆者だと話すゴルマス伯爵に ロドリーゴの父親は違うと言って 最高戦士たるゴルマス伯爵から屈辱を与えられます
ロドリーゴはゴルマス伯爵に 父親に対して「悪かった」と言って欲しいと懇願しますが オルドネス伯爵から吹き込まれているゴルマス伯爵は応じず 剣をとっての戦いとなり ロドリーゴはゴルマス伯爵に勝ち 殺してしまいました
死の床でゴルマス伯爵は シメンに仇をとれと遺言するのです
婚礼の為の白い衣装から 喪の黒い衣装をまとうシメン
父親の遺言があるからーシメンはロドリーゴを憎むふりをするしかありません
心が張り裂けそうでも ロドリーゴには冷たい態度をとるしかないのです
父親の名誉の回復の為でも 愛するシメンの父親を殺してしまったロドリーゴ
彼はフェルナンド王が争う領地をかけて27人殺した猛将との戦いを志願します
サンチョ王子はロドリーゴの後押しをし
ロドリーゴの反逆者と呼ばれ 名誉を回復したい願いは聞き入れられました
激しい戦いの末にロドリーゴは相手を倒します
ひそかに安堵するシメン
ロドリーゴは最高戦士となった
オルドネス伯爵はロドリーゴを殺したら シメンの心が欲しいと
ロドリーゴを殺そうとするも失敗する
裏切り者を殺すようにサンチョ王子は言うが 「殺すのは誰でもできる 生かせるのは王のみ」とロドリーゴは諭す
しかし父親の死により王となったサンチョは 罠にはまり殺されてしまう
王位についたアルフォンソを疑うロドリーゴは領地も奪われ追放された
放浪する病人に水を渡すロドリーゴ
聖者ラザロはロドリーゴの名を称えた
王に意見できるのも 放浪の病人へ水を分け与えることができるのも ロドリーゴのみと
ラザロが去ったあと 立ち尽くしロドリーゴを見つめて立っていたのは シメンだった
王の命によりロドリーゴに嫁ぐも修道院へ行ってしまっていたシメン
徹底的にロドリーゴの愛を拒否してみせてきたシメンだった
「許して ロドリーゴ 連れてって」
「しかしわたしには行くあてがない」
「二人なら 愛しているわ 心から」
「一緒に来れば危険なことは わかっているな」
「人とは違う男を愛した」
「やっと分かった 君のいない人生が どれほど苦しいものか」
王は ロドリーゴとシメンを助けた人間は罰すると命を出していましたが
人々は追われた二人をこっそり助けます
人々は王よりもロドリーゴを慕っていました
自分だけのロドリーゴ 二人だけの時間 シメンは幸せでしたが ロドリーゴを慕う部下達が追ってきて 二人だけの時間は終わります
国の為!スペインの為に!
英雄は休んではいられないのでした
インターミッション入ります
ロドリーゴはかつて解き放った異教徒達と行動を共にしています
侵略者ベン・ヨサフと戦う為 利害は一致していました
アルフォンソ王はそれを認めず ロドリーゴの妻子を牢に入れます
アルフォンソ王は姉ウラカに操られていました
ロドリーゴとシメンにはエルビラとソル 娘と息子との双子がありました
今もシメンを愛するオルドネス伯爵は シメンと子供達を ロドリーゴのもとへ連れて行きます
ロドリーゴへの深い愛を知り オルドネス伯爵は遂に自分のシメンへの想いはかなわぬと気づいたのでした
ロドリーゴと共に戦うと和解します
取り返した街の王冠を届けるも なおロドリーゴに企みあると疑うウラカ
しかしアルフォンソ王は苦しんでいました
忠実無比 広い心の勇猛果敢な偉大な戦士ロドリーゴ
激しい戦いの中ロドリーゴの胸に矢が突き刺さります
なんとか落馬せず城に戻り ロドリーゴは元気を装います
明日も戦うと
ロドリーゴが負傷したと意気下がるスペイン側
意気上がるベン・ヨサフ側
「アラーはお喜びだ シドは死んだ」
ロドリーゴの忠実な片腕が「シドは生きておられる お元気だ この目で見た
シドが先頭に立つと約束する
どうか信じてくれ
シドは生きている」と叫ぶのだが
手当て受けるロドリーゴは 妻シメンと話す
ロドリーゴ「二人の時間は少ししかなかった
ー」
シメン「永遠に一緒にいたい」
ロドリーゴ「シメン わたしは助からないだろう」
更に「この身を捧げたい 頼む」と続けるのでした
シメンは手当てする人間に告げた 「夫の望みにより 矢は抜かないで下さい」
シメンの言葉に 微笑むロドリーゴ
人々が自分が無事だということを信じていないと知ったロドリーゴは 彼らの前に姿をあらわす 力をふりしぼって立った
「約束しよう
明日の朝 皆と共に戦う」
歓声が上がる
部屋に戻り寝台に倒れ込むロドリーゴ
彼はシメンに言う「もしわたしが持ちこたえられなくても 軍を率いねばならぬ
馬に乗り 先頭に立たねばならんのだ
約束してくれ
やるべきことをやると」
シメン「必ず 約束するわ」
涙ながらにシメンも気丈です
姉ウラカの精神的支配を振り払い 援軍率いてアルフォンソ王がやって来ました
「門を開けろ 国王だ」
アルフォンソ王はロドリーゴのそばに跪いて「許してくれ 許してくれ」
アルフォンソ王は やっと自分の愚かさを悟ったのです
自分が何をしてきたか
ロドリーゴ「王が跪いてはなりません
自分相手にうちかつのは難しいのに ご立派です
スペインの平和を見届けたかった」
アルフォンソ王「生きるのだ
わたしがベン・ヨサフを追いやる」
ロドリーゴ「信じてました スペインには真の王がいる
明日の朝 一緒に戦いましょう
いいですか
わたしが お守りします」
続けて「シメン シメン 」
シメン「約束は必ず守ります」
ロドリーゴ「目に焼き付けてくれ
王と共に出撃する わたしの姿を」
朝
ロドリーゴの姿にベン・ヨサフ側は浮き足立ち 敗走
いずくんぞ知らん
命無いロドリーゴに鎧着せ馬に跨がらせ生きているかに見せかけた
夫との約束を守ったシメン
死んでなお 国王を国を守った偉大な戦士 ロドリーゴ
人々は彼をシッド エル・シッドと呼び その名を語り継ぐ
勇姿を像にし遺す
語りが入る「最も高潔な騎士の魂を受け入れよ」
空はどこまでも青い
海辺を 波打ち際を 死んだロドリーゴ乗せ 馬は駆けていく
そして 映画は終わります
監督アンソニー・マン
壮大な映画です
子供の頃 淀川長治氏の解説でテレビで観ました
テレビで放送されるたびに 観るくらい大好きな映画です
二十代半ばのソフィア・ローレンさんが素晴らしく美しくて
恋する女性のかわいらしさ
愛する男性に父親を殺された哀しみ
父親の言葉に縛られる苦しみ
全て乗り越え 愛に生きる
様々な女性の表情を見せてくれます
チャールトン・ヘストンさんは 青年時代から死ぬまで
素晴らしい俳優さん 魅力あります
ああ しかし スペイン カスティリャ王家とくれば
青池保子作「王城ーアルカルサル」なる漫画を
ドン・ペドロを思い出してしまうのです
自分の中で映画と漫画 勝手にリンクしてしまっております