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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「愛在(あ)りて」

2008-11-04 21:37:26 | 自作の小説

伯爵令嬢 紘子(ひろこ)は終戦後 華族としての身分も財産も失った

頼りとする婚約者は生死も知れず

ただ紘子は美しかった

白薔薇に微かに薔薇色溶け込ませたような肌
品の良い雛人形にも似て整った顔立ち

長くほっそりした首 鎖骨のくぼみの輝くような美しさ

伸びやかな手足

触れるも恐れ多いような気高い姿

その紘子に幼馴染みとは言え かつての使用人の息子が襲いかかった

身分は違うが一緒に育ったようなものでもある青年は 終戦のどさくさ どうやったか事業を成功させ たいした羽振りでもあった

―奥様も お嬢様も大切にする どうかだから 自分のモノになってくれ ―

熱に浮かされたように 拝むように繰り返しながら 紘子の体に彼は被さった

紘子は病床にある母のことを思った

目を閉じる

相手が満足するのなら 勝手にすれば良い

青年 鹿尾太一は有頂天だった

憧れ続けたお姫様が自分の妻となったのだ

元伯爵令嬢の妻の存在は 仕事の上でも役に立った

ただ判らないのは その心

どれだけ抱こうと 好きに扱おうと その心に触れられない

話しかければ答える
冗談にも笑う

身分より下の男の妻となった娘を 許さないままその母親は死んだ

紘子は 太一との間に二人の子を産んだ

留守中に 紘子の生きていた婚約者が訪ねてきた事を使用人から 太一は教えられた

紘子は何も言わず 太一も訊けなかった

そうして子供達がまだ幼い頃に 紘子は風邪から寝込み 随分呆気なく死んでしまった

晩年 太一は子供達から紘子の事を尋ねられ こう言った

折しも降り出した淡雪を手に受けながら

「眺めて美しいこの雪 掌にとどめようとしても 溶けて消えてしまう 美しくて 美しくて 消えると判っていても 欲しくてたまらなくなる 」
言葉を切り 少しの沈黙の後 太一は言った

「雪だった 雪のようだった

憧れ 欲しくてたまらなくなる」

「お父様は お母様が本当に大好きだったのね」
感心したように言う何処か紘子の面影宿した娘に 太一は笑う

「手討ちになっても殺されても諦めたくなかった」

せめて紘子の婚約者の生死が判るまで ただの保護者でいるべきだったかもしれない

太一には大きなチャンスだった

焦がれ続けた女性を手に入れる

彼の中は 愛でいっぱいだった

それで十分だと思っていた

だが 紘子は どうだったのか

婚約者と行かず 太一のもとに残った選択

それは良識か

それとも 何らかの感情があったのか

雪は ただ降るだけ
降って消えていくだけ

雪の想いは 人に理解(わかり)はしないのだった


ちまちまおかず

2008-11-04 20:25:32 | 子供のこと身辺雑記

ちまちまおかず
ちまちまおかず
ちまちまおかず
ちまちまおかず
ちまちまおかず
父の朝ご飯
ほうれん薬のお浸し
蕪と鶏肉の煮物

豆腐と薄揚げの味噌汁ネギ入り

お弁当おかずは
焼き鮭
卵焼き
レトルトハンバーグ ウインナー焼いただけ
肉じゃが

ミニトマト

別容器にオレンジ

夜おかずの一つ こんにゃくの炒め煮

友人が焼き豚をくれたので 早速おかずに

と貰い物でラクした夜でした


「愛と青春の宝塚」

2008-11-04 20:11:55 | テレビ番組

テレビドラマの再放送を見た

宝塚トップ 男役リュータンに藤原紀香
舞台姿も凛々しく美しい

トップとして 自分が大好きな松坂牛のすき焼きを 押し売りのように後輩達におごったりもする
やんちゃさな豪放さが可愛らしい
彼女は椎名桔平演じる演出家が好きで 彼も自分を好きなはずと思いこんでいた

舞台に立つ事に憧れて親からの縁談も断るエリを演じるのは米倉涼子
彼女は後に画家となるユースケ・サンタマリアから求婚されて断るも 彼の出征の時 駅まで駆け付け 「死なないと言って」と叫ぶ

破産し妾と心中した父 その後 書生と駆落ちした母持つ伯爵令嬢だったイブキは使用人の養子として悲惨な扱いを受けて育つ

いつもお腹を空かせていた彼女にとって宝塚の美しい舞台は憧れと 決して届かない憎らしい世界でもあった
垣間見て思わず舞台にいるリュータンに履物を投げてしまう

気になった演出家 椎名はその少女を宝塚へ導く
成長した姿を演じるのは木村佳乃

育った境遇が自分に似たイブキに椎名は惹かれていた

イブキが心寄せることになる仲村トオル演じる海軍中尉ハヤミに嫉妬したりもする
それが妹への気持ちのようなものであったと気付くのは 椎名の日記を読んでしまったリュータンが傷付いてからだった

誰より自分の価値を認め理解してくれていたリュータン

彼女は深く傷付いていた

病の為 死期近い娘役の中谷美紀演じるトモ
彼女の願いは舞台の上で死ぬ事だった

相手役としてトップとして リュータンはその願いを叶える

恋する女 思いが叶ったと思えた直後 相手の心が自分に無いと知り とる態度

辛い事があっても トップとして後輩は庇う 助ける

タカラジェンヌは客に夢を与える 見せるのだ

死んだと思われていたユースケが生きていた
エリは舞台から去りユースケの妻となる

いよいよ死を覚悟したハヤミはイブキに会いに来る

何があっても生きるようにとの言葉を遺し 去って行く

工場でハヤミの死を知り イブキは外へ飛び出し一人泣く

そこに空襲

防空壕でイブキがいないことに気付いたリュータンは助けに飛び出して行く

好きな男の心にあるイブキ
彼女なんか死んでしまえばいい
いいえ イブキが死ねば 彼女を好きなあの人が悲しむ

燃え盛る火の中 リュータンはイブキを見つけ庇う
そこに爆風による猛火が迫ってきた

リュータンは命は助かったが花よりも美しかった顔半分に大火傷を負い すみれ寮を去っていく

線路伝いに実家のある大阪を大荷物を抱えて目指す途中 水鏡に包帯の下の顔を映し見ようとする

日本で一番 誰にも負けへん
かつては そうも思った美しい顔

そこに声がかかる
愛する演出家
しかし その心は自分に無い

彼は宝塚を離れていたが ニュースでリュータンの怪我を知り すみれ寮に駆け付け リュータンの後を追ってきたのだ

一番大事な女性が自分が宝塚を離れた為に死ねかもしれない

自分がいれば怪我などさせはしなかった

顔の怪我が何だろう

彼女は生きていたのだ
傷付いた顔を気にするリュータンに 演出家は心を打ち明ける
妻になって欲しいと 強く抱き締める

宝塚のトップの座すら失ったと何もなくなってしまったと その時 リュータンは 一番欲しかったモノを手に入れた

この場面で私 泣いてしまいました

その後 終戦前の空襲でリュータン夫婦の新居も焼けてしまいます
終戦となり エリ イブキ 娘役の愛称カマボコが リュータン夫婦を案じ捜しに来ます

廃墟に呆然とする三人
そこに明るいリュータンの声

終戦を迎え 演出家は宝塚の大舞台を開ける為に動き リュータンは空襲にあった実家の様子を見に行っていたのでした

好きな女優さんばかり出ていたせいもあるかもしれませんが

どの女優さんも適役 それぞれに見せ場もあり DVDが無いかしら 欲しくなりました

繰り返し観たいドラマです

中谷美紀さんの娘役 大変似合っておりました

今度 宝塚出身の方々出演で舞台化されるそうですが

このドラマの女優さん達が もし本当に宝塚にいたら どれだけ華やかにして美しい舞台姿であろうかと

夢のように

ラスト近く 終戦後の私服姿の宝塚トップ演じる木村佳乃さんの立ち姿が 今は亡きゴンちゃんこと上月晃さんの面影に重なりました

いいドラマでした

機会あれば観てほしいです
お勧めのドラマです


宇江佐真理著「深川にゃんにゃん横丁」新潮社

2008-11-04 02:20:20 | 本と雑誌

宇江佐真理著「深川にゃんにゃん横丁」新潮社
宇江佐真理著「深川にゃんにゃん横丁」新潮社
猫が多いことから「にゃんにゃん横丁」と言われる近くの長屋で頼まれ大家を引き受ける徳兵衛

長屋では実に様々な事件が起きる

猫を可愛いがる人々

喋る猫

情けと

なんだかね あったかい世界なんです

安心して住める場所

近所の世話役もしっかりしてるし
長屋の住人も しんから悪い人なんていやしない

苦労を知り その分うんと優しい人達です