心とろかすようなーマサの事件簿ー宮部みゆき著 2001年 ★★★☆☆
この「マサ」ってのが犬なんですよね、オス、おっさんと呼べるくらいの。
あま～い犬じゃなくって賢い犬なので、語り口もとっても聡明。
一人称が貫かれていて、この犬が見聞きしたことのみで展開するので
ほのぼのした、非常に分かりやすい推理・短編小説です。
初出一覧を見て納得！
だったのが、作品の多くが10年ほど前に書かれたものだとゆうこと。
今の宮部作品とはテンポがちょっと違い、おやや？？と思っていたので。
宮部さんは社会的な問題にがっつり目を見据え、向き合っているなあ
『模倣犯』も人間の残虐性や歪んだ心について書かれていた。
こんな風に人を歪ませてしまうのは、親が多い。親は、じゃあそもそもどうして？？
代々のその家族の性格・雰囲気。。。ご近所さん、学校。。
警察官がストーカー、挙句の果てに殺人・自殺。
とっても悲惨で寂しくて、悲しい事件ですね。
その警察官は彼女と関わることが世界のすべてになってしまったんだなあ。。
誰かに拒絶されるから、誰かとの強烈な、唯一無二の繋がりを求める。
そんな孤独の声が聞こえる気がします。