柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

幸不幸

2020年03月01日 00時48分00秒 | 日記
幸福とは、自分という存在が他者で充されることなのかもしれない。

だとしたら、不幸とは、他者の欠如、他者の不在、ということになる。

幸福が壊れやすいのは、
他者によって自分が充されるのは束の間に過ぎず、その充足が持続することはないからだろう。

このひとかもしれない、
このひとならば、
このひとだ、
と思う。

好きになる。

愛する。

信じる。

信じたひとに裏切られたり、
愛が色褪せたり、
そのひとが別のひとを好きになって、自分のもとから立ち去ったりすると、
あれほど完全に思えた幸福はいとも容易く壊れる。

そして、空っぽになった自分の中に引き返すと、そこには不幸が待ち構えている。




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