幸福とは、自分という存在が他者で充されることなのかもしれない。
だとしたら、不幸とは、他者の欠如、他者の不在、ということになる。
幸福が壊れやすいのは、
他者によって自分が充されるのは束の間に過ぎず、その充足が持続することはないからだろう。
このひとかもしれない、
このひとならば、
このひとだ、
と思う。
好きになる。
愛する。
信じる。
信じたひとに裏切られたり、
愛が色褪せたり、
そのひとが別のひとを好きになって、自分のもとから立ち去ったりすると、
あれほど完全に思えた幸福はいとも容易く壊れる。
そして、空っぽになった自分の中に引き返すと、そこには不幸が待ち構えている。