シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

財閥が街の文具店や食堂にまで進出する国【社説】

2011年04月27日 22時35分27秒 | Weblog
 (韓国大手新聞、朝鮮日報 11.4.21記事抜粋)
 公正取引委員会は4月10日、「10大財閥グループの系列子会社の数は、ここ3年間に212社(52.2%)も増加した」と発表した。また10大グループの資産総額が、短期間で56.9%膨らんだという統計もすでに発表されている。李明博(イ・ミョンバク)政権は「総額出資制限制度」や「中小企業固有業種の選定」といった政策で、少し前まで財閥に規制をかけていたが、「企業フレンドリー」をスローガンにこれらの規制を緩和すると、各グループとも一気に異業種への新規参入に乗り出した。
 中には新たなハイテク技術を開発し、海外市場の開拓に向けて子会社を立ち上げたグループもあるが、これはごく少数だ。サムスン、LG、SK、ポスコ、コーロン、熊津グループは、系列各社の役員が使うオフィス用品などの小物を取り扱う企業を新たに立ち上げた。グループ次元で少しでも経費を抑えるというのがその大義名分だが、実際はグループ内部だけの取引にとどまらず、サムスンやLGは調達庁にまで毎年100億ウォン(約7億6400万円)相当の商品を納品し、巨額の利益を手にしている。各グループは力ずくで納品価格を引き下げているため、中小のオフィス用品メーカーやその取扱業者は一気に経営難に陥り、その結果、これまで財閥グループや公共機関などと取引のあった多くの業者が突然姿を消した。このようにありとあらゆる業界に手を伸ばす財閥に対し、国民はどのような視線を向けるだろうか。
 とりわけ現政権に入って以降、財閥各社による異業種への参入は非常に目につくようになった。町の飲食店、自動車整備工場、ワイン販売、ゴルフ練習場、タクシー会社など、財閥のイメージとはかけ離れた庶民型の自営業も例外ではない。ロッテ、新世界、ホームプラスが全国に次々と大型店舗を開店した影響で、街の小さな商店主との対立などは珍しいことでもなくなった。GSグループの大株主が立ち上げたある企業は、有名芸能人と共同でサムギョプサル(豚バラ)の鉄板焼きチェーンをオープンし、さらにトッポッキ(もちの唐辛子みそいため)や串焼きなどのB級グルメチェーンも全国展開すると発表した。新世界は現代自動車に続いて牛の飼育に参入する計画を進めており、CJグループは全羅南道新安郡に世界最大の天然塩工場を建設した。街中には数万ウォン(1万ウォン=約764円)の稼ぎを手にして生計を維持するため、多くの中年女性が朝から晩まで熱い鉄板の前でトッポッキを売り続けており、また何カ月もかけてやっと数百万ウォン(100万ウォン=約7万6400円)の収入を手にする製塩業者も全国各地にいる。財閥グループは彼らの苦労などまったく眼中にないのだ。
 財閥各社が自ら得意とする分野で投資を拡大し、雇用を増やすのなら、政府が掲げる「企業経営のしやすい政策」は大きな評価を受けるだろう。しかし実際は、どこのグループも逆の方向に投資を振り向けているため、自営業者の生活苦は加重し、雇用まで減少するという分析結果もすでに報告されている。最近は自分たちに振り向けられた冷ややかな視線を意識してから、どこのグループも中小企業経営者らを集めて「相互成長協約」を締結する写真を撮影し、これをメディアに配布することに忙しいようだ。いずれにしてもこのままでは、財閥による異業種への参入を、過去のように法律で厳しく規制する政策に再び乗り出す以外にない。この考え方は今もすでにかなりの説得力を持ちつつある。



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