健太が将棋を習い始めた当初はノータッチの私だったが、
健太が将棋に夢中になるにつれ教室に付き合うようになった。
最初のうちは、健太が一生懸命指す姿、楽しそうに指すところを見たかったのだが、
健太が少しずつ強くなってくると、健太が勝つところを期待するようになった。
教室では健太の側に座り、対局が始まるとこちらの方が力が入ってしまい、
健太がよそ見やアクビでもしようものなら厳しい視線で睨みつけた。
勿論勝ち負けには厳しく、勝てるはずの相手に負けそうになると険しい顔をしていた。
健太はそんな私の表情に気づくと、負けると怒られると思い、
必死に考えて負けない手を指し続けた。
そんなんで勝つこともあり、私は心の中でガッツポーズをした。
「私が見てないと集中しなかったり油断したりするんだ」そう思ったときもあった。
そんな日が何ヶ月か続き、ある日道場の常連の方に
「健太くんの攻めに鋭さがなくなってる」と言われ、やっと気づいた。
自分のやっていることは息子を応援しているんじゃなく、足を引っ張っているだけだと。
私が厳しい視線で見ていれば、その将棋には勝つかもしれない。
でもそれだけ。それよりなにより、そんな視線の中で指していても楽しくないんじゃないか。
折角好きでやってる将棋も嫌いにさせてしまうんじゃないか。
定跡はこうでも違う風に指してみたいとか、負けるかもしれないが気になった手を指してみたいとか、
好奇心とか楽しい気持ちとかワクワク感だとか健太にとって大事なものを、応援しているつもりの私が無くしてしまっていることに気づいた。
それからは教室や道場には付き添わず送り迎えだけするようにした。
大会でもなるべく健太の対局は見ないようにした。
大事なのは目先の勝ち負けではなく、将来どれだけ伸びれるかってこと。
つまりはどれだけ将棋が好きになれるかってこと。
楽しくない1勝より楽しい1敗の方が、どれだけ次に繋がることだろうかと思えるようになった。
小学生名人戦決勝、後手の健太の2手目は3五歩だった。
今まで6年近く将棋をやってきて、居飛車党の健太が初めて大会で飛車を振った。この大事な一戦で。
この手を見て私は「負けた時、後悔しなければいいが・・」と思ったが、
すぐに健太が自分の気持ちの赴くまま指していることに嬉しく思った。
「健太らしい」
これからも長い長い将棋人生が続く。
いつまでも将棋を始めたあの頃のように、楽しい気持ちやワクワクした気持ちで、
自分のために自分の好きなように健太らしく将棋を指していってもらいたい。
いつまでもお前のこと応援しているから。
ガンバレ健太!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/ad/62405754a94e98c3c458b4fe8e05ecf4.jpg)
(小2の冬 教室の大会で 教室のご父兄の撮影)
長い間、ご愛読ありがとうございました。
健太が将棋に夢中になるにつれ教室に付き合うようになった。
最初のうちは、健太が一生懸命指す姿、楽しそうに指すところを見たかったのだが、
健太が少しずつ強くなってくると、健太が勝つところを期待するようになった。
教室では健太の側に座り、対局が始まるとこちらの方が力が入ってしまい、
健太がよそ見やアクビでもしようものなら厳しい視線で睨みつけた。
勿論勝ち負けには厳しく、勝てるはずの相手に負けそうになると険しい顔をしていた。
健太はそんな私の表情に気づくと、負けると怒られると思い、
必死に考えて負けない手を指し続けた。
そんなんで勝つこともあり、私は心の中でガッツポーズをした。
「私が見てないと集中しなかったり油断したりするんだ」そう思ったときもあった。
そんな日が何ヶ月か続き、ある日道場の常連の方に
「健太くんの攻めに鋭さがなくなってる」と言われ、やっと気づいた。
自分のやっていることは息子を応援しているんじゃなく、足を引っ張っているだけだと。
私が厳しい視線で見ていれば、その将棋には勝つかもしれない。
でもそれだけ。それよりなにより、そんな視線の中で指していても楽しくないんじゃないか。
折角好きでやってる将棋も嫌いにさせてしまうんじゃないか。
定跡はこうでも違う風に指してみたいとか、負けるかもしれないが気になった手を指してみたいとか、
好奇心とか楽しい気持ちとかワクワク感だとか健太にとって大事なものを、応援しているつもりの私が無くしてしまっていることに気づいた。
それからは教室や道場には付き添わず送り迎えだけするようにした。
大会でもなるべく健太の対局は見ないようにした。
大事なのは目先の勝ち負けではなく、将来どれだけ伸びれるかってこと。
つまりはどれだけ将棋が好きになれるかってこと。
楽しくない1勝より楽しい1敗の方が、どれだけ次に繋がることだろうかと思えるようになった。
小学生名人戦決勝、後手の健太の2手目は3五歩だった。
今まで6年近く将棋をやってきて、居飛車党の健太が初めて大会で飛車を振った。この大事な一戦で。
この手を見て私は「負けた時、後悔しなければいいが・・」と思ったが、
すぐに健太が自分の気持ちの赴くまま指していることに嬉しく思った。
「健太らしい」
これからも長い長い将棋人生が続く。
いつまでも将棋を始めたあの頃のように、楽しい気持ちやワクワクした気持ちで、
自分のために自分の好きなように健太らしく将棋を指していってもらいたい。
いつまでもお前のこと応援しているから。
ガンバレ健太!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/ad/62405754a94e98c3c458b4fe8e05ecf4.jpg)
(小2の冬 教室の大会で 教室のご父兄の撮影)
長い間、ご愛読ありがとうございました。