柴田章久・宇南山卓『マクロ経済学の第一歩』[2013]第2章のEXERCISE(pp37-8)。門外漢だが良書の予感。
問題2:ある国Xでは、企業Aだけが生産活動をしています。その企業Aが商品を100万円分生産し、従業員に給料として60万円、株主に配当を40万円支払いました。しかし、企業Aの商品は予想外に売れずに80万円分しか売れませんでした。売れ残った商品は、そのまま会社の倉庫に保管されました。このとき、生産面・分配面・支出面のGDPがどのようになるか述べなさい。
解答:参照pp27-32 ※公式解答例
(1)〔生産面のGDP=付加価値=売上合計−原材料投入〕となる。X国ではAのほかに生産活動をしている者がいないので、Aの生産分はすべて付加価値となるので、X国の生産面のGDP=100万円。
(2)〔生産面のGDP→家計所得(賃金総額+利子配当)+企業所得(内部留保)=分配面のGDP〕となる。X国の生産面のGDP=100万円だった。このうち60万円が賃金総額として労働市場へ分配され、うち40万円が配当として資本市場へ配分された。内部留保は0円。
(3)〔家計所得→消費+貯蓄〕〔貯蓄→貸出→企業投資〕〔企業所得(内部留保)→企業投資〕となる。
(4)結局、〔家計所得+企業所得→消費財の購入+投資財の購入=支出面のGDP〕となる。X国の家計所得100万円のうち、80万円が財市場で商品の購入に消費され、残り20万円が在庫投資となった。
問題3:XさんとYさんは近所に住む専業主婦で、それぞれの家には子供がいます。ある日から、XさんはYさんの子供を、YさんはXさんの子供を世話することにしました。子供の世話をしてもらう代わりに、XさんはYさんのに、YさんはXさんに10万円を支払うことになります。このとき、GDPがどのように変化するか述べなさい。
解答:参照pp32-3 ※公式解答例
家計内で生産される「家事サービス」は、その付加価値を計測することが難しい。そのため、GDPでは家事サービスの付加価値を除外している。
XさんとYさんが自分の子供を各自で世話していたとき、仮にそれが各10万円の価値があったとしてもGDPにはカウントされない(0円)。ところが、各自が10万円の対価を得て相手の子供を世話するようになると、「実際に生産された家事サービス(子供2人の世話)」は変わらないにもかかわらず、それが財市場に登場した分(生産額20万円)だけGDPが増える。