潮見佳男先生

2024-06-20 18:27:59 | 法学教育

2000年代の京大民法講座はスター揃いだった。その中でも、特に潮見佳男教授の業績は質量ともに抜けていたと思う。超多作ぶりから「潮見は5人いる」と言われていた。我妻説を根底から批判するものでありながら、実務家教員の話から、実務への影響力が圧倒的であることを知った。余談だが、実務に阿る某刑法学説が実務家に軽蔑されていることもわかった。

3回生で民法1部(総則)を、4回生で民法3部(債権総論)を受講できたことは幸運だった。パワフルで明快な講義は毎回充実しており、「潮見語」と呼ばれる文章も自分にとっては極めてわかりやすかった。卓越した研究者が誠実な教育者でもあった。

3回生後期(4回ではないよね・・・)には潮見ゼミに参加できる機会も得たが、周囲のゼミ生のハイレベルさに怯えて数回でフェードアウトした。潮見ゼミ出身などと口にする資格はないが(偉そうに言っているけど)、それでもなぜか単位をいただけた。

LSでは潮見クラスではなかったが、あいかわらずプラクティスやイエローは熟読した。もう1人のスター山本敬三教授の民法講義も名著だが、一連の潮見本がより好みだった。

潮見教授が亡くなって早くも2年になろうとしている。不法行為法樹海は未完となった。ベストセラーのイエローの改訂はあるのかわからない。2024年に出版されたアルマ総則はもちろん購入した。早すぎる死を惜しむ多くの声を聞き、多くの実務家が一流の法学研究者を尊敬していることが知れてよかった。偉大な研究者の仕事は共有財産としてずっと残る。学部生諸君、教授(准教授)への敬意を忘れないように。潮見先生、ありがとうございました。

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