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龍体力学覚え書き

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「西行」(白洲正子著)読了

2025-04-16 23:51:54 | book
「西行」(白洲正子著)を読了。

作品のテーマである歴史上の人物の足跡をたどるのに、一般の書き手と同様に有名な縁(ゆかり)の地の現地取材をしているわけだが、その描写っぷりが普通の物書きがいかにもするような通り一遍さとは異次元で、筆致が濃厚でリアル。いかにもじゃじゃ馬めいた白洲正子さんの書き手としての個性(強烈さ)が風景描写にいかんなく発揮されているので、地理好きとしてはたまらん。

実際に歩き回った人のリアルさ。しかも描写されている場所にこちらもかつて行っているケースが複数あるため、読んでいて再三ニヤニヤした。

西行さんの「歌」とはフィーリングがなぜか合って、初めてその歌を目で追ってもスラスラ読める。過去生で西行さんの作品をたっぷり読んでいて、無意識が既に馴れ親しんでいたかのように感じるケースもあったりして。古文にしては、表現や文体、それにリズムが比較的平易なのかしらん?

まあいずれにせよ、各地で詠まれたいくつもの西行作品に触れられつつ、歌詠みとしての深まりを追体験出来て、途中からはうっとりのしっぱなし。自然を愛でることと神仏習合の境地・・・。やはりコレなのだな。自分の好みにも合致しているせいで、何かとすんなり来るのでしょうな。

京都や吉野、高野山でのいかにもな場面よりも、10数ページでしかなかったけれども伊勢のパートがもっともゾクゾク来た。

去年の12月初旬に行ってきたばかりだからかな?、たぶん。でもって月読宮で詠まれた歌が掲載されていたのは嬉しかった。

(月よみの宮にて)
梢見れは秋にかはらぬ名なりけり
花おもしろき月読の宮

(内宮の)御正宮さんとその横の荒祭宮さんとともに、別宮の月読宮さんはとりわけ大好きなお社なので。



(春4月に紅葉の名残の写真を貼るのもアレだが)この写真を撮ってから月読宮さんの4社を順序通りに参拝し戻ってくると、向かいから女性の親子二人連れがやってきた。

スマホのカメラで紅葉の様子を撮る素振りをみせたので、視野からなるべく外れるように通路のギリギリ端に寄ってすれ違うと、30前後の娘さんの方が軽く会釈して通り過ぎたためこちらも軽くお返しした。じっと見ていた訳では無いが、気配でそれがわかった(自意識過剰ではなく)。

一連の以心伝心の情緒。無意識裡のやりとりなどは、いかにも和歌のネタに出来ちゃいそうだった(書かないけれども)。

とにもかくにも、この「西行」本はこの一読で終わりではなく、また定期的に読み返すことになりそう。

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