弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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年俸制社員の残業代

2012-02-13 | 日記
Q84 年俸制社員については,残業代を支払わなくてもいいのですよね?

 労基法上,年俸制社員について,残業代(割増賃金)の支払義務を免除する規定はありません。
 使用者が,社員との間で,週40時間,1日8時間を超えて労働した場合であっても残業代を支払わない旨の合意をしていたとしても,労基法の強行的直律的効力(労基法13条)により当該合意は無効となり,法定時間外労働時間に対応した労基法37条所定の残業代(割増賃金)の支払義務を負うことになることになりますので,労働契約又は就業規則で,年俸制社員については残業代を支払わない旨規定していたとしても,その支払義務を免れることはできません。
 したがって,年俸額を定めるに当たっては,年俸額のうち何円が残業代(割増賃金)で,何円が通常の賃金なのかを明確に分けて定めるべきと考えます。

弁護士 藤田 進太郎

週40時間,1日8時間を超えて労働した場合でも残業代を支給しない合意の有効性

2012-02-13 | 日記
Q83 週40時間,1日8時間を超えて労働した場合でも残業代を支給しない合意は有効ですか?

 使用者が,社員との間で,週40時間,1日8時間を超えて労働した場合であっても残業代を支払わない旨の合意をしていたとしても,労基法の強行的直律的効力(労基法13条)により当該合意は無効となり,法定時間外労働時間に対応した労基法37条所定の残業代(割増賃金)の支払義務を負うことになります。
 したがって,週40時間,1日8時間を超えて労働した場合でも残業代を支給しないとすることはできず(口約束はもちろん,労働者本人のハンコを取っていてもダメです。),残業代を支払わない合意があるから支払わなくても大丈夫だと思って残業代を支払わないでいると,残業代を支払わないことにいったんは納得していた社員が,解雇されたことなどを契機に気が変わって残業代を請求してきたような場合には,使用者は未払となっていた残業代を支払わなければならないことになります。

弁護士 藤田 進太郎