パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

ノーベル平和賞受賞者光州サミットとダライ・ラマ

2006-06-20 23:53:08 | Weblog
 ミサイル騒ぎ喧しい頃ですが、そんな中先週末にあまりにも“タイムリー”なタイミングでノーベル平和賞受賞者光州サミットが開催されていました。 Yahoo 6/17 ノーベル平和賞受賞者の光州サミット、宣言文発表 
 金大中(キム・デジュン)前大統領とゴルバチョフ元旧ソ連大統領、国際アムネスティ関係者など、ノーベル平和賞受賞者が一堂に介した「光州サミット」の参加者らは17日、朝鮮半島と世界の民主主義、平和、人権発展に向けた努力と協力を行うとした「光州宣言文」を発表した。
 宣言文は、地球規模の問題、朝鮮半島問題、国際的非核化問題の3部門11項目に対する宣言と提案まとめたもの。地球規模問題については、民主主義と平和増進に向けた非暴力と、許し和解するなど平和的努力を継続していくべきで、抑圧された人権の改善に向け国際的協力も求められると指摘した。また、女性の権利と役割を尊重、健康な環境の維持、戦争のための各種制度の無力化、世界平和のための国連の役割尊重、アフリカ諸国の債務棒引きなども強調した。
 南北分断の朝鮮半島問題に関しては、非武装地帯の平和公園造成、北朝鮮核問題をめぐる国際的対立と緊張の解決、6カ国協議の迅速な再開、南北共同宣言の誠実な履行などを求めた。参加者らはこのために北朝鮮の核放棄と国際社会の徹底した検証、米国の北朝鮮に対する金融制裁解除と体制安全保障などを要求、朝鮮半島と世界平和増進に向けた多者間協議体の常設化を提議した。(以下略)
 緊張を和らげたいという意図は分かるけど、こんなタイミングでアメリカに制裁を緩和しろとか宣言しても全然説得力ないよねぇ~、そもそもキム・デジュン前大統領の地元で、南北首脳会議6?周年記念式典とback to backで開催というのもまたなんとも胡散臭いなぁ~と思いながら、けど平和賞受賞者達が平和の価値を強調するのは当たり前かぁ~とか、民主主義と人権の価値とかありふれているけどこうも集ったセレブレティに言われると重みも増すよね、とか、この宣言の他にもスーチー女史の処遇を批判する特別声明とか、一応民間知識人の会議ではあるけど、韓国の外交も随分立派なのね、などと思ったところ。

んで宣言の原文を見てみようと思ってぐぐぐっとググってもさっぱり公式HPが見当たらない。変わりに目に入ったのはHuman Rights Watch(注;屈指の人権NGO)のこのコラム。 Rejection of Visa for Dalai Lama ~ When does a Nobel Prize-winning peace activist become an “undesirable?” 6/19 (ダライ・ラマビザ申請拒否~いつノーベル平和賞受賞者が「望ましくない」というのか?)
 先週、28人中22人のノーベル平和賞受賞者達が、韓国光州でのノーベル平和賞受賞者サミットに参加した。ケニア、ロシア、グアテマラ、イラン、東チモール、英国の受賞者が招待に応じ、アムネスティーインターナショナル、国際赤十字、AFSCなどの受賞団体も招待に応じた。
 しかし、ダライ・ラマは参加できなかった。招かれなかったからでも、他に予定があったからでもない。他の受賞者と同じく、89年受賞者の彼も、金大中大統領図書館から、朝鮮半島と東アジアの平和を議論するサミットへの招待に応じていた。
 だが、韓国政府は、ダライ・ラマへのビザ給付を拒否した。自らの平和イニシアティブを政治がひっくり返したのだ。外務省はHRWに、「諸般の事情を踏まえ、今は、ダライ・ラマの訪韓は望ましくないと決定した」と語った。

 なっ、なんじゃそりゃぁ~。ノーベル平和賞受賞者を集めた会議をするんだったら最初から分かってたことだろうに。で当然ながら諸般の事情は中国の圧力だということでHRWは批判しています。それにしても「民主主義と平和増進に向けた非暴力と、許し和解するなど平和的努力」とか、「抑圧された人権の改善に向け国際的協力も求められる」とか、ダライ・ラマを中国に気兼ねして入国させない場で宣言採択する皮肉さ。彼は申請したのに断られたんですよ(どうやらずっと断られているらしい)。事情を知らずに参加した他の受賞者たち全員をコケにしかねないことに気づかないのでしょうか。ちなみに、マータイ女史率いるGBMのHPで宣言文見つけました。参加者は真剣だったハズだろうに、もう喜劇にしか見えない。。。

ちなみに中国から来てるクラスメートたちに以前チベットの話を向けると「チベット?、もちろん中国の領土よ」といういきなり核心を突いたお答え。とってもオープンマインドかつリベラルな彼らにしてこうなのかと相当ビックリした。仮に中国の体制がゆくゆく何らか変容するとしても、その恩恵が周辺部含めて行き渡るのは気が遠くなる先の話なのかと感じた。。。