パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

容器包装リサイクル法改正

2006-06-10 17:35:19 | 環境ネタ
 容リ法(容器包装リサイクル法)の改正案が成立したみたいですね。改正容リ法が成立・レジ袋削減義務付けへ(Nikkei Net)
 最初?の個別リサイクル法で、成立してから循環法の成立→3R(Ronaldo, Rivaldo, Ronaldinhoじゃなくて、Reduce, Reuse, Recycle)&拡大生産者責任みたいな方向転換がはっきりして、廃掃法(廃棄物の処理および清掃に関する法律)も何度か改正を経て、これらの変化をどの程度盛り込めるかがカギだったはず。
 この世界の奇妙さは、産業廃棄物=事業者、一般廃棄物=市町村と処理責任を法定した廃掃法の大きな枠組が実態と合わなくなる中、特に一廃の世界で事業者(生産者含む)が処理責任を負担せず3Rを行うインセンティブを持ち得ないことに起因します。元々の容リ法も結局市町村丸抱えの分別収集システムだったわけですし。
 んで今回の改正内容で事業者側にそういうインセンティブを持たせるものがあるのかしらん?と思ってプレスリリースをみてみると・・・
 (2)事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの創設
 事業者が、再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して算定される額の資金を市町村に拠出する仕組みを創設する。
へぇぇぇ~、これだけぇぇぇ
 腑に落ちないと思ってとある場所を見てみると、あぁ、なるほど、こういう反対があったんですね→実効ある容器包装リサイクル制度の構築に向けて(2005年10月12日)
2.役割・費用分担の見直しの問題点
 事業者に分別収集費用の全部あるいは一部を負担させるべきとの意見は、以下の理由から妥当性を欠き、反対である。
 (1) 限界に近づく事業者の排出抑制努力 (略)
 (2) 極めて小さい消費者の排出抑制効果 (略)
 (3) 社会的コストの増大 (略)
 (4) 「拡大生産者責任」強化への疑問 (略)
逆ギレして明確に市町村税丸投げにでもすれば良かったんじゃないかという気もしますが、そこはお行儀良く手を打ったようで。もっともな批判もありますしね(実施者と費用負担者がズレルとモラルハザードになるとかー上の(3)です)。発生抑制的なインセンティブが生まれるかどうか疑問は残りますが・・・。   ※誰の意見かはあえてスルー。

 ついでに。この法案、なぜか話の一部に過ぎない(と言っちゃ怒られるかもしれませんが)レジ袋有料化だけが話題になっていたようですが、事業者の判断基準、勧告/公表、命令/罰則っていう仕組みになったみたいで。かつての「行政指導」のフォーマル化条文パッケージver.2.0なんですが(ver.1.0は指針、指導・助言)、この点、47th先生から
 これ(注:モスのポリ袋全廃)を見て思ったのは、法規制なんかしなくても、消費者側の環境に対する意識が高まれば、こういう環境への負荷を少なくする戦略を企業が一種のブランド戦略として実施していくはずなので、「法律で「義務」づけて、罰則を設ければいい」という発想には、やはりなじめないというのが一つ。
う~ん、そのとおりというか、本来は、レジ袋は顧客へのサービスで、顧客サービスの対価を決定するのは各事業者が各自の判断でやれば足りることです。実際レジ袋費用も馬鹿にならないハズなので有料化したがっている事業者もいたようですが、
 ・他社との競争上一社だけで動きにくいこと
 ・(裏返しですが)どうせやるならお墨付きというかAuthorityが欲しい ←乗務員の指示に従わない乗客を犯罪行為にしたがたった航空会社、健康増進法で努力義務が課されただけなのにいっせいに禁煙にした駅・鉄道etc.と同じですね
 ・上記のベネフィット???に比してロビイング費用が格安なこと(笑)
から結局国にやってもらうと業界団体側から働きかけたようですね。被規制者に規制してくれといわれて(よくあること)、知らん振りするのも無粋だということで食いついたということですかね? ちなみに検討過程でガチガチの義務&罰則が検討されたみたいな報道があったようですが、むしろメディアリテラシーの問題というか、そんなトンデモなハナシ、真に受けないでくれぇぇぇというのが感想・・・。
 話が脱線しましたが、「消費者意識」の重要性は強調しすぎることはありませんが、情報の非対称性がある限り悲しいかな十分に高くなることは終局的にはないのではないかという気もします。消費者が悪いのか事業者が悪いのか卵と鶏みたいな話ですが、現実に(消費者の離反を恐れつつ)有料化にチャレンジしようという事業者がいるなら、その後押し的な介入程度ならやむをえないかという気がします。

※熱下がりました。パンダさんいろいろとありがとうね