~模擬討論:国策シリーズ:日本の国家目標 第3弾~
■テーマ 「日本を自然が豊かな国にするか?」
数十年前にはこんなテーマは考えられなかった。おそらく多くの日本人にとって、《「自然」は(人類登場以前から)「そこにある」ものであり、与えられた環境そのものであり、(日本では)豊かで、ときとして畏怖すべきもの》であっただろう。
しかし、今では、世界の約70億人、日本の約1億3千万人の人間の力が「自然」に及ぼす影響がとても大きくなってきた。 巨視的に言うならば、良きにつけ悪しきにつけ、産業革命以降、《自然から人工の自然へ》という、未知の世界を創ろうとする流れが加速し続けている。
○日本を自然が豊かな国にすべきである 論
1 「自然に還れ!」 人類は、40億年ほどの地球生命の長い長い歴史のなかで、最近(ほんの数百万年前に)、自然の生態系の中から自然に生まれた動物。その豊かな自然を壊していけば、人類も結局壊れる。だから、絶対に自然をこれ以上壊さないようにしなければいけないし、これまで壊れてきた自然を修復しなければいけない。 (※自然がこれ以上壊れていくようなら、人口も「文明的生活」も抑制すべき。)
2 日本では5000年ほど昔から稲作農業が続いており、日本人はできうるかぎり豊かな自然を尊重しながら利用し、(人も自然のいとなみの一部とみなしながら)八百万の神々をまつってきた。(「遊牧・狩猟生活由来の自然収奪文化」とはかなり違う。) それが日本人の伝統的な生き方であり、世界に誇る「日本文明」である。
3 (植物がよく育ち、かつ、少なくとも数百年続く動植物の生態系が保たれている)豊かな自然は、豊かな人類文明の基盤。例えば、世紀単位の長期的視点で観れば、豊かな森林を失くした文明は確実に滅んできた。
●日本の自然は豊かでなくてもよい 論
1 豊かでなくとも、最低限の自然環境があれば、つまり、人間が死なない環境があればよい。
2 すべては「生成流転」する。日本の伝統はもう古い。新しい環境のなかで伝統も変えていくのが自然だ。「西欧文明」や「中共」のように、人間の利益を第一に優先して積極的に「自然改変」を進めたほうがよい。
3 自然から生まれた人類は、そろそろ自然を超えつつある。科学技術が発展し、すでに、新しい動植物を創るなどの「神のみわざ」のようなことまでできるようになっている。「自然」は、人類の英知で、すべて「人工の自然」に置き換えることができる。
■ここでの勝敗 (審判は筆者のみ)
自然を《豊かにする》かどうか、なかなか難しい問題。
・まず、少なくとも「人間が死なない最低限の自然環境(反対論の1番)」を保持することについてはほとんど異論はないだろう。ただし、人体実験が必要だから(中・長期的に)どの程度が最低限か見きわめるのは難しい。(今、中共:中華人民共和国で行われていることは、地球大気圏外から見てもわかるほど充分に人体実験的であり、大変注目しているが…)
・自然と人類の諸活動は、「必然的に相反・対立する」ものではないが、活動の内容によっては相反するものになる。そこで、「自然と人間」に関しての人類の生き方について、「最も自然を大事にする生き方」から「自然無視の生き方」までを並べてみよう・・・『自然絶対主義(地球の自然が壊れるくらいなら、人類は不要)』~『自然優先主義』(上の○1)~『自然・人間共栄主義』(○2・3)~『人間優先主義』(●1)~『自然改変主義』(●2・3)
・世界の現状は、国ごとに、共栄主義(ドイツ…)、人間優先主義(日本など多くの国々)、自然改変主義(例:中共…)、のどれかを選んでいるようだ。
・日本のどこに棲んでいるかで「自然との関係」の持ち方が大きくちがっている。《自然がいくらか残っている田舎》に棲んでいる私は、共栄主義が好ましいと思っている。しかし、《ほとんどが人工環境になってしまっている都市》に住む人々のなかには、自然改変主義に何の抵抗もない人もいるだろう。
◎結論:勝負はつかない。国策としては、自然優先主義から人間優先主義までの間で成り立つだろう。したがって、その間のどこかを「民主主義の方法」で選ぶことになる。国民がさまざまな環境を体験しながら、各自持論を掲げて徹底的に議論すべき課題である。
※自然改変主義は生物学的に未知の部分がたくさんあり、危険すぎる。金もうけや便利さの追求のために、《人類の存続》を賭けるわけにはいかない。命にかかわる問題では、絶対に「保守主義」をとるべきである。)
※今回の模擬討論の結果 ⇒ 国家的目標として、民主主義的選択を条件として、一応「2 自然が豊かな国」を採用します。
~次回は「3 平和で安全な国にするか?」~
※「模擬討論」ですから、○論と●論は、当然私の論ではありません。世間のあちこちで書かれたり言われたりしていることを模擬意見として利用しているもの。
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