八尾北医療センター労働組合

藤木 好枝 執行委員長

今後10年間で1300名が退職!JRは雇用の場を確保しろ!(「日刊動労千葉」7768号)

2014年09月15日 | 国鉄闘争全国運動
今後10年間で1300名が退職!
JRは雇用の場を確保しろ!



会社として解決できないのであれば、外注化を中止し、定年を延長しろ!

 動労千葉は、今後、大量退職が発生することから、退職後のエルダー社員制度による雇用の場の確保の問題が最大の焦点になることに踏まえ、9月2日、JR千葉支社との団体交渉を行った。
 団体交渉において千葉支社は、今後10年間の退職者数について、各年度、各職種別の人数について回答を行い、全体で1300名を超える退職者が発生することを明らかにしてきた。(表参照。なお、表の人数は、JR本体の人数。この他に若年出向者約250名が退職予定することから、総数で1300を超える人数になる)
 現在、千葉支社全体の人数は、約4300名であることから、10年間で30%=約三分の一が退職することになる。



 表では、今年度退職は52名だが、この他に出向者約50名が退職することから、すでに今年度から100名を超える退職がはじまっているのだ。(*来年度以降の出向者数は、現在、調査中)
 そして、一番多い年度では200名近い規模の退職者が発生するのだ。

これまでの倍の雇用先の確保が必要になる!

 そして問題は、これだけの大量退職がはじまる状況の中で、60歳以降、エルダーで働く場所が確保できるのかという問題だ。
 JR千葉支社は、「これまで、エルダー希望者は、約8割」「今年度も出向者50名を含めて約100名が退職するが、エルダー希望は約80名」であることを明らかにしてきた。また、エルダーの人数については、「約350名」であること、エルダーの出向先としては、CTS400名(内、管理者200名)、設備200名(内、管理者70名)いすみ鉄道7名、その他にメディアサービス、レンタリース、東京臨海、東京地下鉄等があるとの回答を行ってきた。
 今後の大量退職を考えた場合、JR千葉支社が回答した8割がエルダーを希望したと仮定すると、エルダーの雇用期間5年間では最大600名を超える労働者をエルダーで再雇用することになる。現在の倍近い人数だ。

「雇用枠の確保」と称してひたすら外注化に突き進むJR

 こうした現実に対してJR千葉支社は、「会社として、雇用の場の確保が義務づけられている」「今後、大量退職のピークを迎えることは認識しており、打開するための検討を始めているが、現段階では明確にできない」として、具体的な回答を拒否してきた。
 しかし、現在でもエルダーの雇用先については、職種や地域などで本人希望とかけ離れた場所が指定され、通勤できないため泣く泣く退職に追い込まれている者もいるのが現実だ。
 さらに深刻なのが、外周区における職場の確保の問題だ。この点について千葉支社は、「外周地域で、雇用の問題を解決できるだけの会社がない」「JRとしても開拓できる状況にない」「駅舎清掃を考えているが、駅の規模も含めて多くはないと考えている」との回答を行ってきた。この回答から明らかなとおり、会社として、大量退職に関して何ら、まともに考えていないということだ。結局、「エルダーの雇用の場の確保」という理由を付けて業務の外注化に拡大することだけを考えているのだ。
 冗談じゃない。会社が解決できないのであれば、外注化をやめて業務と出向者をJRに戻し、定年を延長する以外にないということだ。
 業務外注化粉砕!65歳まで働くことができる労働条件確立へ闘いぬこう!


  「日刊動労千葉」7768号より 

ふくしま共同診療所報告会(健康を守る砦)

2014年09月15日 | ニュース報道
週刊『前進』06頁(2648号04面01)(2014/09/15)

福島の人々の健康守る砦
 診療所報告会に130人
 布施医師 〝非がん性疾患も治療する〟



(写真 質疑応答では内部被曝についての質問や除染労働の実態が報告され、参加者と崎山さん、医師らが活発な論議を交わした【9月7日 福島市】)

 9月7日午後1時から福島市のコラッセふくしまで第5回ふくしま共同診療所報告会が開催され、130人が参加した。診療所からの充実した報告やパワーポイントを使ったわかりやすい講演、活発な質疑応答が行われ、診療所のさらなる発展を確信する集まりとなった。

多くの協力に感謝の意を表明

 2週間前の8月24日、福島県「県民健康調査」検討委員会が福島の子どもたちの甲状腺がんが「疑い」を含めて104人と発表した。緊迫した状況の中、福島市を始め福島県内外の母親や除染労働者などの労働者住民で会場は満杯となった。
 開会あいさつに続いて診療所の医師が診療報告を行った。
 最初に院長の松江寛人さんが「甲状腺エコー検査から見えてきたもの」と題して報告を行った。「福島の人たちの健康を守るため、ふくしま共同診療所は頑張っています」と切り出し、「全国の多くの人の寄付や協力で2年近くやってこれています」と心から感謝の意を表した。続けて本題に移り、「放射線はゼロ以外は危険である。診療所には子どもの来院が多い。お母さんたちが子どもの甲状腺がんを心配している。子どもに蜂の巣状ののう胞ができており、放射線の影響があると思われる」として、「甲状腺のみならず全身の健康障害のチェックと長期的な健康管理をしていく」などの、診療所の役割と今後の課題を提示した。
 続いて内科を担当する医師が「血中甲状腺ホルモン値について」と題して報告し、「甲状腺の疾患には超音波検査の画像に表れてこないものがある。それに対する検査のひとつに血液検査がある」として、診療所で検査した358人のうち異常所見・異常所見の疑いが78人(21・8%)となることを説明した。
 次に布施幸彦医師が「県民健康調査を批判する」と題して報告した。

小児甲状腺がん発症率に差ある

 布施さんはまず、8月24日の県検討委員会の発表を説明。県のエコー検査の問題点を批判した後、「福島県内でも、放射線量が高い地域と低い地域では小児甲状腺がんの発症率には明らかに地域差がある」として、県検討委員会の「地域差がないから原発事故との因果関係は考えにくい」との主張を全面的に批判した。そして「高汚染地域は福島だけでなく宮城、群馬、栃木、茨城、千葉にも及んでおり、今後この地域での小児甲状腺がんの増加が懸念される。さらにチェルノブイリ事故後4〜5年後から甲状腺がんが増加している。福島を含めた多くの県で早急な対策が必要」と声を高めた。
 布施さんは仮設住宅での原発事故の避難者に対する健康相談についても報告。そして「当診療所の考えとするべきこと」として、「甲状腺検査を、子どもだけでなく大人に対しても長期にわたって半年に1回行っていく」「内部被曝や低線量外部被曝による障害は甲状腺がんだけではない。白血病などのがんや非がん性疾患も増加する。それらのさまざまな障害を早期発見し治療していく」など八つの目標を示し、「第二のフクシマをつくらないために、日本(世界)から原発をなくすために活動する」と宣言して、報告を終えた。

崎山比早子さん被曝問題で講演



(写真 崎山比早子さんは、放射線が非がん性の疾患も引き起こすことを豊富な資料で解説した)

 診療報告の後、元国会事故調査委員会委員の崎山比早子さんが「非がん性放射能障害について/老化促進に関して」という演題で講演を行った。
 崎山さんは、汚染水問題の「解決」が行き詰まっているなど福島第一原発の収束作業の危機的な状況から語り出し、「福島原発事故現場に残された放射能量は事故時放出された量の約800倍にのぼる」「原子炉は動いていなくても危険」と警鐘を鳴らした。
 転じて「被ばくによるがん以外の疾患」の説明に移った。まずウクライナ政府の報告書を取り上げて、ウクライナにおいて循環器系、消化器系などの病気も多発していることを報告し、「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」がそれを否定していると断罪した。崎山さんはウクライナに加えて広島・長崎での原爆被爆者の調査などにも触れ、被爆した人に心臓疾患など非がん性疾患も多いと述べ、しきい値はないことも強調した。
 続けて、老化によって動脈硬化が起き、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などが発症するメカニズムを明らかにした後、「老化の原因は加齢とは限らない。放射線によっても老化が促進される」として、その解説に移った。
 まず、老化とは細胞の分裂能力がなくなることと指摘し、正常細胞には寿命があり、一定回数分裂すると細胞は分裂能力を失うと語った。次に、分裂できなくなる原因として「テロメアの短縮」「修復不能なDNA損傷の蓄積」「ミトコンドリアDNA変異の蓄積」を挙げ、それぞれについて詳しく解き明かした。
 結論として崎山さんは「放射線が非がん性疾患を引き起こす科学的根拠はある。それがないことにされるのは、科学ではなく、政治的経済的評価がなされているからだ。科学的根拠に基づいて、人権の視点から放射線の影響を考えることが必要。それが原発のない社会につながる」と強調した。そして2012年7月16日、代々木公園に17万人が集まった反原発集会の写真を映し出して、「一人ひとりは小さな力でも、連帯して、つながって、政権に対抗していけるのではないかと思います」と力強く結んだ。
 質疑応答に移り、若い母親、孫の被曝を心配する男性、福島第一原発で働き、現在除染労働に従事している労働者などから質問が寄せられ、除染労働者からは「診療所には、ぜひ除染労働者の現状もアピールして欲しい」という要請も述べられた。
 報告会終了後、会場では個別健康相談が行われ、母親らが真剣な表情で医師と向かい合った。また、会場後方には開会前から、この夏の各地の保養の様子を紹介する写真などの展示が行われ、多くの人が見入った。
(本紙・北沢隆広)

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