4月16日のNAZEN関西集会で「八尾北医療センターがめざす医療とはなにか」というテーマで 八尾北労組書記長 灰垣美佐子さんが行った報告を掲載します。
1、熊本地震と川内原発 ただちに停止を 爆発すれば避難などできない
熊本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。ただちに川内原発をとめよ! 屋内避難などありえないことがいっそうはっきりしました。
福島の子どもたち167人が甲状腺ガンになっているのに原発事故とは関係ないといいはる福島医大、国と東電、絶対許せません。
安倍内閣は4/1閣議決定で「自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法でも禁止されていない」「核兵器は種類によって、必要最小限度に入るものもある」と。戦争法の強行採決と核武装、福島切り捨てと原発再稼働、まさに戦争と原発は一体です。この現実に怒りは収まることはない。この怒りの最先端で京大反戦スト弾圧との闘い、高浜原発再稼働を止めた闘いがあります。
八尾北医療センター労働組合は福島から避難している人
たちの甲状腺エコー検査を関西の地で開始し、戦争と原発を絶対止めるとNAZEN八尾を結成し闘ってきました。
写真は、2月28日 高浜原発再稼動絶対反対集会で報告をする灰垣書記長
2、戦争と一体で安倍政権による「命より金」、医療の大再編と産業化
消費税増税が医療機関を直撃し、経営悪化と倒産が進行しています。これをさらに促進して中小病院や介護施設を淘汰し、病院の持ち株会社化と巨大病院による再編を激しく押し進めるものが2016年の診療報酬の改定です。戦後の医療は、「医療で金もうけをしてはならない」ことをまがりなりにも原則としてきましたが、これを最後的に突き崩す医療の大転換です。
「健康・医療で儲ける」ということです。すでにここ数年間、病院のベッド数の削減で「医療から介護へ」「施設から在宅へ」と高齢者の行き場をなくし、サービス付き高齢者住宅がものすごい勢いで建設されました。株式会社や建設会社の投資先を国がかりで作り出した結果です。
2014年に安倍は国際会議で「非営利ホールディングカンパニー(持株会社)型法人制度について、投資家たちに日本に新たに生まれる新市場をアピールしました。要は医療に株式会社が出資できる。一つの地域内の救急病院や慢性期病院、老人ホーム、介護・福祉施設などをまとめて傘下に置く巨大法人は、医師ではなく経営のプロが運営することで効率化と医療費削減、つまり労働者の総非正規化と儲からない医療の切り捨てが行われる。岡山大学病院や淀川キリスト教病院ですでに始まっています。JRをはじめすべての産業で労働者に襲いかかっている民営化・外注化ー総非正規化の攻撃が、命をあずかる医療介護の現場で全面的にはじまるということです。
アメリカの3645病院で調査したデータでは病院が非営利から株式会社経営に変わると平均死亡率が50%増加したと発表されました。労働者は非正規に突き落とされ誇りを奪われている。こんなものがつづくわけがない。
3、八尾北がめざす医療とは
職場と患者、地域住民、広く全体に対して、八尾北がめざす医療とは何かを前面に打ち出して闘いを開始しました それが、<患者を金儲けの対象としかみない医療>ではなく、<生きるための医療>です。
金儲けのための高度医療は病気が重くなってからの医療であることに対し、生きるための医療は予防医療が核心です。病気になる前、悪くなる前に見つけて予防する、早期発見・早期治療、予防医療・予防介護が基本です。悪くなる前に見つけて予防する、早く治す、寝たきりを予防する医療と介護。
(無料の特定健診、ガン検診を受けてもらう。大腸ガンは女性のガン死亡率で一位、男性で3位。簡単な無料検診で良性のポリープの時期に発見すれば助かります。発見できなければポリープは1年で1センチから3センチになる。)
具体的には糖尿病教室をはじめます。
写真は、4・23八尾北春の患者交流会 「野菜を1日350g-1/3は緑黄色野菜でとるようにしましょう」(末光道正八尾北医療センター院長)
食事療法、運動療法、睡眠が大事で薬に勝ります。これはすべての疾病の予防と治療に共通するものです。
八尾北医療センターがある西郡地域は糖尿病の罹患率が際立って高く、この地域で生きる人々にとって命と健康をとりもどす不可欠なものです。それだけではなく、今年4/7に朝日新聞に世界で糖尿病患者数が4億2200万人、成人の8.5%と報じられました。1980年から倍増、所得が低い国々のほうが速いペースで増えていると。
低賃金と強労働、長時間労働による不規則な生活と偏った食事、非人間的な扱いによるストレスと睡眠不足、貧困と劣悪な住環境。まさに新自由主義によって労働者・住民の健康と命が奪われているのです。
写真は、春の患者交流会で、デイのスタッフが前に出て、みんなで健康体操を行いました
医療や介護は本来協働によって成り立つものです。医者に特別な力があるのではない。医師・看護師・介護労働者、患者みんなが主人公になって命と健康を取り戻す。健康と無限の力を取り戻す運動、生きるための共同体(団結)作りの運動です。奪われた医療・介護を取り戻し、みんなで生きていく社会をつくりだしていく取り組みです。病気の原因と闘う、生活と労働の中で分断をうち破り、団結を取り戻して命と健康と安全を守る。「命より金もうけ」の社会をくつがえす共同の取り組みです。
(職員研修から開始して、4/20に第1回目の教室を始めます。4/23の春の患者交流会では集団的な糖尿病教室もおこないます。)
4、八尾北医療センターは、国と八尾市、巨大病院と解放同盟本部派、大学資本などが一体となった八尾北つぶし・のっとり攻撃との新たな死闘に入っています。
幾たびもの八尾北つぶし・団結破壊・廃院=全員解雇攻撃との決戦に、たとえ追い出されてもテントで医療を続けると腹をくくって闘い勝利してきました。
大恐慌と戦争の時代の攻防は労働者がすべてを取り戻していく時代の本格的始まりです。八尾北のめざす医療で地域丸ごとの団結にかけきって闘いぬいていきます。原発も戦争も止める団結もこの中からつくり出せます。
民主労総のゼネスト・パククネ打倒の闘いに学び共に闘いましょう。