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八尾北医療センター労働組合

藤木 好枝 執行委員長

8・1地域医療交流会のアンケートより

2020年09月16日 | ともに生きる医療・介護をともにつくろう
  8・1地域医療交流会アンケートの集計 

「参加しての感想、質問、意見」として書かれた部分です。
 今回は「その1」です。

・すごくいい交流会になりました。普段の生活では学べないことや知り合えない人達と出会えていい経験になりました。政府のコロナ対策の甘さへの怒りを改めて感じました。

・地域医療の歴史は差別との闘いから始まっているんだと感動しました。全世界で医療労働者がストライキを起こしている姿を見て、資本や国家権力に対する怒りが沸き起こっていることを感じました。

・西沢いづみさんの「地域医療」と「医の心」の話は大変良かった。住民運動と医療人が「患者本位」の医療をめざして富田町病院ができました。しかし、「昔の様な患者さんを思う職員さんの雰囲気が失われたのは悲しい」と言われてました。地域の患者さんともう一度活動報告がほしかった。(医療労働者と地域・患者の闘い)

・医療と地域の一体性(1つのもの)と教育と地域の一体性、同じだなと感じました。医療労働者と患者をサービス提供者とカスタマーにしてしまったのと同じことが教師(学校)と子ども(保護者)の関係性にも起こっているのが新自由主義だと思います。だから堀川や八尾北、高槻の闘いは新自由主義が壊した団結を再生することで、コロナ下で生きて社会を変える展望を示していると思います。

・医療についてなんにも-あまり知らなかったことに気づいた。介護制度廃止、介護制度は第Ⅱの税金 年間10万円とられている 許せない。自民・維新が医療を破壊してきた。3者 西沢、末光、村山 各人の分野が違っていてトータルに理解できた。

・すでに医療は破壊させられていたところへコロナ禍だったということだと確信できた。

・京都西陣での地域医療・堀川病院の闘いはNHKで何度か特集番組で早川医師と西陣の労働者が作り出していく様を見させて頂いてきました。高槻の富田町病院も八尾西郡の幸生診療所もここに合流し、コロナも新自由主義の医療崩壊と闘う拠点が生まれたと思います。共に闘います!

・人と人とのつながり団結が大切だとあらためて思いました。

・堀川病院のお話とても感動的でした。

・西沢さんのお話とても参考になりました。地域住民が作った病院はこれまで八尾北しか知りませんでしたが、京都の西陣にもあったと言うことを知ることができました。又、医療懇談会が毎晩のように開かれたと聞きました。お寺もよく使われたとありました。西陣にあるお寺によく行くのでこのお寺も関係があるのかあらためて知りたいと思いました。

・西沢さんの話がとても身近に感じられました。

・本当に感動的な交流会でした。医療の話だけど、やっぱり生きるために団結して闘って、コロナ禍を生き抜こう!!っていうのを感じました。又、高槻医療福祉労組の話は、長い間一緒に闘ってきたけどあらためて歴史、3回のストライキの意味を聞けてよかったです。

・八尾北医療センターは地域医療に頑張っておられます。保健所を減らしたつけが回っていることは実感しています。又、他にも労働組合で現状の医療不備を改善しようと頑張っている組織があることもを知りました。

・地域住民と医療労働者こそが医療活動の主体である、それを実践してきた3団体の報告とお話は、「医療」というものの原点を考える上でとても重要なお話でした。ありがとうございます。
(続きを次回 掲載します)


写真: 西陣 白峯診療所ー堀川病院 「住民の中へ、住民とともに」を掲げ早川一光さんが目ざした地域医療について西沢いづみさんが報告 

8・1地域医療交流会の総括

2020年09月14日 | ともに生きる医療・介護をともにつくろう
8・1地域医療交流会の総括です。

労組を軸に医療破壊と闘う 地域医療交流会の地平と総括

 「新自由主義の医療破壊と闘い、コロナの感染拡大に立ち向かおう」と呼びかけて大阪市で開催した8・1地域医療交流会は、苦闘する医療・福祉労働者が新たに結集し、「新自由主義の中でも労働組合を軸に闘えば地域医療を奪い返せる」という勝利の展望をがっちりとつかめる画期的な集会となりました。



「地域と共に生きる」ことにかけた

 昨年7月7日の八尾北医療シンポジウムを契機に、高槻医療福祉労組、八尾北医療センター労組など地域の仲間と共に8・1地域医療交流会がかちとられました。戦後革命の息吹の中、住民が自力でつくり出した診療所(1950〜52年に建設)を共通の土台とする仲間が、6回に及ぶ議論と交流を重ねて8・1を準備してきました。それぞれの診療所は出発は同じですが、現在は「普通の病院」「新自由主義経営への転換と労組の闘い」「労働組合による自主管理」と全く違います。
 1回目の議論で「労働組合が全てに責任を取るとはどういうことか」「理事会と住民組織の関係は」「民医連(共産党系)を脱退したのはいつか」という核心を突く質問について、八尾北医療センターの末光道正院長と八尾北労組はあらためて総括を深め、議論に付しました。
 解放運動の路線=労働組合の闘う路線をめぐる、八尾市、共産党、解放同盟、職場内利権勢力を含めた数十年にわたる激しく生々しい攻防の歴史であると、共につかむ決定的なものとなりました。解放運動の解体の核心として、地域の団結の中心である八尾北医療センターをつぶす、これが国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃です。労組の絶対反対の路線と団結に対する破壊策動に立ち向かい、「八尾北明け渡し」裁判でも八尾北医療センターを守り抜き、「倒産攻撃」にも「経営を守る」ではなく「地域と共に生きる」ことにかけることができたことを提起しました。参加者の一人は「先駆的な地域医療を貫けなかった。乗り越える道がここにある」と述べられました。

労組でコロナ対策議論し診療続ける

 もう一つ重要だったのは、コロナ問題に対する八尾北労組の見解と末光院長のアピールを読み合わせして議論したことです。30年(40年)に及ぶ新自由主義によって、医療をはじめ人類が生きるために必要とするものがことごとく破壊され、命さえ金もうけの対象にされてしゃぶりつくされていることを暴き出しました。さらに回を重ねる中で、八尾北医療センターがコロナ対策として労組の議論を経て、熱のある患者にはテントを建てて医療を続けたこと、大変なことも労組が議論をして決定し実践することで労働者の主体的な取り組みが始まっていることを議論していきました。「主体的な労働者の決起」が労働組合の団結と議論の中で生み出されることを共につかみました。

 戦後革命で解き放たれた住民のエネルギーと生きるための闘いが各地で診療所を生み出しました。今コロナ情勢は、資本主義(新自由主義)への労働者階級の怒りと生きるための闘いをつくり出しています。アメリカのBLM運動がシアトルで自治区を闘いとり、マスクと食料を無料で配り、診療所を開設しました。私たちはこの時代に間に合って、闘い勝利できる路線と実践を共につかみ取って8・1に登場しました。
 地域医療を奪い返す闘いは新たな革命情勢の中でこそ可能です。勝利の如意棒は労働組合にあります。結集を開始している全ての労働者に、この確信を真正面から提起し議論していきましょう。維新・橋下徹に労働組合を対置して打倒した闘いは、大阪都構想をめぐる攻防として始まっています。
 「地域医療のネットワークは最初はこの集まりだったと言いたい」。8・1で新たな一歩を踏み出した私たちは路線的一致と豊かな団結で新たな闘いに挑戦していきます。
(八尾北医療センター労働組合書記長 灰垣美佐子)

8・1地域医療交流会が成功-新たな地域医療のネットワークを拡げていこう

2020年09月13日 | ともに生きる医療・介護をともにつくろう
遅くなりましたが、8・1地域医療交流会の報告を掲載します。月刊労働運動(全国労組交流センター)9月号からの転載です。

新自由主義の医療破壊と闘い、コロナの感染拡大に立ち向かおう
 8・1地域医療交流会が成功
 - 新たな地域医療のネットワークを拡げていこう!
     八尾北医療センター労働組合

 

 八尾北医療センターと地域医療交流会が呼びかける「新自由主義の医療破壊と闘い、コロナの感染拡大に立ち向かおう。8・1地域医療交流会」が、画期的な成功を切り開いた。 8月1日午後6時30分より、エルおおさか南ホールに120名が参加、受付で検温、手指消毒を行い開会した。

 八尾北労組の灰垣美佐子書記長の司会で、まず、主催者から3つの報告が行われた。これは、昨年の「7・7八尾北医療シンポジウム」の成功から1年、3団体が6回にわたる討議-実践-交流を積み重ね、「ここから始まった」と言える中身をと準備したものだ。
(紙面の都合上、発言の紹介はほんの一部分に限定されていることをご了解ください)
 



 最初に、西沢いづみさん(立命館大学生存学研究所客員研究員)が、「地域とともに歩む医療」というテーマで報告した。「地域医療は地域の活動の一部である」という視点から、父である早川一光医師の白峯診療所(1950年)~堀川病院(1958年)における実践が示唆しているものが語られた。
 何より「生活と一緒に診る」「生活の中から病気は出てくる」ことだ。その特徴が「医療と保健」一体の活動によく示されている。保健師は「どんな生活をし、どこで寝てるか」までつかんでいる。堀川病院になってからも「疾患だけでなく家族・地域のかかわりで継続的に診てほしい」と保健師を直接 雇用した。そして、「住民とともに住民の中へ」「自主・自立・自衛・共生」を掲げ、「西陣の路地は病院の廊下だ」「ここはわてらの病院や」という関係を育くんでいった。
 そしてコロナについて。西沢さんは看護学校の教壇で、「あなたの命は誰からもらいましたか」と問い、命はどこかでつながっていると伝えている。だが、ひとり一人をバラバラにするのが新自由主義だ。「父が生きていたら一番にこの集会に参加しただろう。『全部いのちの問題だ。命を守れ、戦時体制に巻き込まれるな』と言うと思う」と締めくくった。


 

 次に、末光道正さん(八尾北医療センター院長)が「新自由主義の医療破壊と闘い、コロナ感染拡大に立ち向かおう」をテーマに報告した。

末光院長は、コロナ感染拡大の中で医療を続けるために労組と一緒に格闘してきた。ウィルスや免疫を対象化し、新型コロナウィルスを階級的・歴史的にとらえていった。そして、人間関係を断ち切る(分断)新自由主義攻撃に対し、団結して勝利できる力が労働組合にあるとつかんだ。この1年、議論に議論を重ねた全地平がこの報告にこめられていた。

 まずコロナ感染拡大の最大の要因は民営化だ。公衆衛生や保健所、公的病院の予算をとことん削減し、破壊した。すでに崩壊していた医療の現実をコロナは一気に誰の目にも見えるようにした。世界の60%40億人が手を洗う水すらない、深夜労働や休みが取れないなど、「コロナは無理をしているあり方の行きづまりを警告している。この資本主義、新自由主義の社会を根底から変えないといけない」。

そして、「本当に地域医療をやってきてよかった」と続けた。聴診器ひとつから始まり、命を支え合うのが西郡の医療の原点だ。それが今、生きている。この間、熱があり保健所に連絡した患者さんが「かかりつけ医に行くよう」指示され受診されたことをきっかけに労組で討論し、動線を分けるために一気にテントを立てた。大変なことも労組で議論して決定、実践することで、労働者の主体的決起が目に見えて高まった。八尾北では、だれ一人診察せずに帰らせてはいない。聴診器をあて、血液や尿を採って診察すれば大まかな判断ができる。保健所につなぐ人、自宅で連絡を取り経過を診る人。ずっと継続的に診ているから変化にも気づける。絶対に地域医療をつぶしてはいけない!

 続けて、「命を守れるのは労働組合と住民の団結した力だ」と鮮明にした。八尾北医療センターは、激しい民営化、倒産攻撃をうち破り、労組がすべてに責任をとりきって生き生きと自主管理している。この間、6波の八尾市抗議行動とデモをやった。7・15には、全ての医療機関の声として、「地域の病院・診療所をつぶしてはなりません! 八尾市は市民の命を守るために最大限のやれることをただちに実施して下さい」と申し入れた。
 末光院長は、「今こそ地域医療のネットワークを作ろう。行動の時だ。ともに生きる新しい社会を作り出そう」と呼びかけ報告を終えた。


 3本目は、高槻医療福祉労働組合の村山裕子委員長の「『命を守るストライキ』で新自由主義と闘う労働組合を」の報告だ。
 
 ストライキを決断する2つの出来事があった。一つは2012年に栄養課の外注化提案の団交に組合員50名が結集しこれを止めたことだ。もう一つは、2013年に「日本経営」をコンサルタントに導入、「もうかる医療」に転換したことだ。だが、初めはスト権を確立しても、患者さんに迷惑がかかると突入できなかった。その悔しさから執行委員長選挙で勝利、闘う労組権力を打ち立て、2016年に最初のストライキを行った。職場の雰囲気が一変した。2018年、一時金をめぐり時限スト。2019年には、長年病院を支えてきた患者さんが介護度が低く儲からないと通所を外され、「病院から追い出すのか」と訴え、その怒りを「いのちを守るストライキ」として職場委員が指名スト、職場全体が闘いぬいた。
 村山委員長は最後に、今こそ労働組合をよみがえらせよう。ストライキは労働者の無限の可能性を引き出すと訴えた。


 プログラムの最後に質疑応答、初参加の人など様々な顔ぶれが発言した。

  司会が「職場に労働組合を作って立ち向かえば地域の人々の命を守れる。地域医療を全国に広げ、ともに生きていける社会に変えていこう」とまとめ、次回、地域医療交流会を8/23に八尾北で行うと確認して散会した。

 闘う場を求めていた人々が8・1に結集したことがひしひしと伝わる交流会になった。真に全体に責任をとる飛躍が求められている。その土台はできた。
 八尾北労組は8・1をやりぬき達成感がみなぎっている。そこに申し入れに対する八尾市長名の回答が来た。たった7行「(なにも)考えておりません」、ゼロ回答だ。「私たちは命に責任を負っている。それは社会全体に責任を負うことだ」と自覚し闘ってきた労組員は、一切 命に責任をとらない八尾市に腹のそこから怒っている。8・26八尾市抗議行動を8家族とともにで闘い、すべてを10月第20回八尾北労組大会、11月労働者集会に結実させよう。


 

八尾北労組の実践と末光院長のアピール

2020年08月06日 | ともに生きる医療・介護をともにつくろう

  8・1地域医療交流会で資料として配付しました。

 ▼八尾北医療センター労働組合の実践

 八尾北医療センター労働組合では、「コロナ問題についての見解」(4月9日)を出すのと前後して、具体的な対応が問われました。
新型コロナの感染が拡大する中で、熱がある患者さんが保健所に電話したところ「かかりつけ医に行くよう」指示を受け、実際に電話の上受診されました。「保健所の窮状の中で、今後もこうしたことがあるかもしれない」。労組執行委員会で議論を開始し、熱のある患者の一時待機場所としてテントを設置することを決定し(4月16日)、直接現場で対応する看護部・医事課の会議(4月20日)を経て、4月22日にテントの設置や掲示を一気にやりました。

 
  発熱外来のテントを立てました

 看護部での討議は緊張しました。不安から後ろ向きな意見が出ても仕方ないと覚悟していましたが、そうではなく「どうしたらやれるか」という立場から主体的な意見が出てきました。決起がはじまったのです。動線を分けることで他の患者や労働者の安全を確保するということで介護現場での会議も積極的な同意を得ました。
 元工務店の労働者は、見事なフェイスシールドや各現場にシールドを作り、現場からカッパや、ゴーグル、マスクの提供、役立ちそうなものを見つけて買ってくるなどの主体的取り組みが続いています。資本の強制ではなく、討論して団結することで、労働者の主体的な力が発揮されます。労働組合の意義が示されています。

 実際に熱外来が始まり、重要なことがわかってきました。近隣の病院で「聴診器を当てない」「のどを見ない」「熱で追い返される」ことが起こっているのです。
「初診時に診察でのどを見ない、聴診器を当てないというのは何もしないのと同じ。西郡の地域医療は聴診器一つから始まった(末光院長)」という経験から、熱のある人への対応を考えました。
八尾北では診察をしっかりやります。採血をする、のどを見る、おしっこを採る、血中酸素濃度を測るなどで、その熱がウイルス性か細菌性か、脱水によるものかおおまかな判断ができます。また、熱のある場合は特にですが、急変の可能性もあるので、早期発見・早期治療のために必ずフォロー体制をとります。電話で熱や体調の追跡調査をして状態を確認し、紹介状を渡した人にも「受けてくれなかったら八尾北に電話を」と最後まで付き合っています。これが極めて重要です。
こうした取り組みによって、今まで以上に家族構成などを深く知ることができています。コロナが不安で来ている人も、しっかり診察することを通して多くは不安が解消します。


保健所前を通るデモ ともに闘おう!とエールを送る(4/15)
 
 労組では地域医療を続けるためにどうすればいいかと何度も繰り返し討論し実践しています。天然痘で多くの西郡住民が医療から排除された歴史を私たちは今、労働組合の主体的な決起で塗り替えていける!と感じています。秋冬にはインフルエンザとコロナ感染の同時の流行が予想されますが、しっかり身構えていきます。
医療・介護の現場で奮闘され苦闘されている労働者のみなさん。現場に労働組合が必要です。労働組合の団結で自分たちの安全を闘いとり、誇りをもって働く職場を作り出しましょう。



▼末光先生からのアピール
 八尾北医療センターは八尾市の西郡(にしごおり)の村の中にあります。前身は、1951年に村の人たちが資材を出し合って自力でつくった西郡平和診療所です。66年に名前が変わり、幸生(こうせい)診療所になりました。70年代の後半に市営診療所建設運動が高揚しました。八尾市に八尾北医療センターを開設させたのは82年のことです。

●自力で診療所建設
 46年から47年にかけて大阪で天然痘(てんねんとう)が流行しました。そのとき、ここが被差別だからと一般地区に感染が拡大しないよう八尾市と保健所が住民を村の外へ出さずに隔離しました。住民は、ほとんど治療も受けられずに200人が亡くなりました。大半は子どもたちでした。
 西郡の人びとは本当に悔しい思いをしました。こんなことは二度と繰り返したくないと診療所をつくり、医者も捜してきました。60年代初めの頃は、西郡の乳幼児の死亡率は全国平均の2・5倍で、平均寿命は32、33歳でした。
 私は70年安保闘争の時、京大医学部でバリケードストライキを闘っていました。そこに西郡の人びとが来て、「一緒に差別と闘ってくれる医者はいないか」と呼びかけられたのがきっかけで、西郡に来ました。そして、「ここにはロシア革命の炎が燃え続けている」と感じ、たった1年で私の人生は変わりました。74年から常勤医になりました。

 
  診察室で 

 八尾市は1990年代から民営化、明け渡し裁判、倒産攻撃など、あれこれ画策して診療所をつぶそうとしてきました。しかし労働組合と地域住民が力を合わせてはね返しています。八尾北医療センターは、労働組合が医療介護の現場の全てに責任をとって、生き生きと運営しています。

●資本主義社会がすべての問題
 「風邪は万病の元」と言われています。十分に睡眠がとれないとか、栄養がとれないとか、今の社会の中で体力が弱ったときに風邪を引きます。それがきっかけで、元々ある病気が重症化するとか、時には命を落とすとかいうこともよくあることです。
 ほとんどの風邪はウイルスが原因です。ウイルスが原因で、風邪引いたら簡単にお母さんたちはすぐに「抗生物質ください」といいますが、実は風邪の初期には抗生物質は効きません。3・4日は寝て休んで自分の免疫力でウイルスをやっつけてまた元気になります。
 思い返したら私たちが子どもの頃は、ワクチンもなかったし、薬もアスピリンくらいしかありませんでした。氷嚢でお母さんに頭冷やしてもらって、ものすごくしんどい最初の2・3日が過ぎたら急に幸せな気分になる。あんなこと何回も繰り返してここまで元気にきました。ある意味では、ウイルスのおかげでふだん無理していたことをちょっと休憩して、学校も休んで、次に同じウイルスが来てもそんなに高い熱が出ないように免疫をつけるということを、いままで繰り返してきたということです。
 ウイルスと人類は共存してきました。ウイルスによって進化も遂げてきました。だからウイルスを悪者とだけ見るのではなくて、普段無理しているから症状が悪化し、ウイルスが暴走する、無理を続けているあり方こそ、ストップしないといけないと見るべきです。
 今回の世界的流行(パンデミック)も、私たちの普段の生活(新自由主義的な生活そのものなんですが)が行きづまっていることを警告しています。今までのやり方ではもうダメですよと。だから 普段から免疫力を高める生活様式、食事・運動・睡眠とか、お互いに助けあって、休んだ時には代わりをしてあげる余裕とかを、もっと重視しないといけません。変えるべきは今の社会のあり方であり、資本主義を変えるというところに転換しないといけません。

●命を支えあうのが地域医療の原点
 地域医療というのは、本当は聴診器一つです。ノドをちょっと見る、お腹が痛いときは実際お腹をさわるとか、ほとんど検査なしでやってきたと言う歴史があります。
 大きな病院では「変化」については継続してみないから見逃すことが多い。だけど地域医療の場合には、患者さんが来られた時に、顔見ただけで前と違うな、どっかかわったな、体重1㎏増えたな、減ったなと、ずっと診ているのでよく分かります。ましてや地域では、その人を色んな職種の人が診ています。自分も患者さんから診られているんです。「先生やせたん違う」とか。お互いに知っていることを話すことで、その人をつかむことができます。
病気に対しても健康に対しても本で見た知識通りにはいきません。ひとり一人違うわけですから。その人その人の変化を普段からつかんでいくのが地域医療だと思います。今回あらためて「ああ、地域医療やってきて良かったな」と、新型コロナウイルス感染症の中でも、ここの原点は生きているんだと思いました。

●労組の仲間と共に闘いたい
 
 
  八尾市抗議行動(4/15市役所前)

  新型コロナウイルス感染症は、医療、経済を含む社会の全てが崩壊していることを突き出しました。一切の原因は、世界をのみ込んで、民営化と非正規職化を進めてきた新自由主義です。新自由主義は完全に崩壊しています。その責任を、「緊急事態宣言」で労働者階級に押しつける安倍首相や小池都知事は許せません。
 コロナショックで、世界経済は2008年のリーマンショックを超える大恐慌へと進んでいます。世界戦争の危機が迫っています。労働組合の団結で止めましょう。
 西郡では一番切実だった医療から闘いが始まりました。そこから仕事や住宅、保育や教育と、あらゆるもの、奪われたものを取り返してきました。
 新自由主義によって崩壊した医療を取り戻しましょう。保健所、国立感染症研究所、公立病院なども。何もかも奪われ、崩壊したところから、新しい社会をつくる闘いを始めましょう。
 その闘いが世界中で始まっています。国境を越えて世界の労働者と団結しましょう。私も八尾北労組の仲間と共にその先頭に立ちたいと思います。


いよいよ本日 8/1地域医療交流会 18:30~ エルおおさか南ホール どなたでも参加できます

2020年08月01日 | ともに生きる医療・介護をともにつくろう
 新自由主義の医療破壊と闘い
コロナの感染拡大に立ち向かおう 
 

  8・1地域医療交流会
□ 本日!! 8月1日(土) 18:00開場 18:30開始
□ エルおおさか南ホール(大阪市・地下鉄/京阪天満橋駅下車) 








新自由主義の医療破壊と闘い、コロナの感染拡大に立ち向かおう
8.1地域医療交流会へのご案内        

8・1地域医療交流会で医療・介護のネットワークを広げましょう

 新型コロナウイルスの世界的拡大で地域医療の重要性をあらためてとらえ返しました。医療崩壊を防ぐためには、「症状を訴える患者さんをまずかかりつけの診療所で診察し、主治医が必要と判断したら病院や保健所に連絡して検査を行う」というネットワークがどうしても必要です。
 今回の8・1地域医療交流会をその出発点とし、地域と共に生きる医療を広めていきたいと思います。
 戦後革命の高揚の中、1950年京都西陣、51年八尾西郡、52年高槻富田町で、自分たちの命と健康は自分たちで守ろうと、それぞれ地域の人々がお金を出し合って診療所を建てました。いずれも貧しいがゆえに伝染病が蔓延した地域です。
 昨年の7・7八尾北医療シンポジウムでの出会いをきっかけに、この3つの地域医療の交流を続けてきましたが、今回コロナ情勢で更にその輪を広げようということになりました。
 民営化で病院を減らされ検査もできない中で、新型コロナ感染の初期には、のども診ない、聴診器もあてない、「発熱難民」「肺炎難民」が増えてしまう状態がありました。八尾北医療センターは、労組と地域住民が協力して民営化を阻止し、自主管理している診療所です。地域の診療所として必要な医療を続けていきたいと、テントを張って動線を分け、感染予防の手作り対策を行い、発熱している人も診察することにしました。
 今後、新型コロナの第二波や、秋冬のインフルエンザの流行に備えて、診療所、病院、保健所の連携を強め、感染予防の講習会や発熱外来の準備が必要です。
 新型コロナウイルスの流行は、差別と貧困と格差を浮き彫りにしました。アメリカの黒人の死亡率は白人の二倍です。南半球の後進国をはじめ、手洗いをする水がない人は全世界の60%、40億人です。弱い立場に置かれた地域に広がっていくのはまだまだこれからです。
 人間が人間らしく生きていく社会をとりもどしましょう。崩壊した医療を取り戻しましょう。そこから奪われたものをすべて取り返していきましょう。世界でその闘いが始まっています。私たちもどうしたらいいか悩み、格闘してきた数か月でした。医療・介護現場で働く仲間の失敗や成功の経験を持ち寄って交流していきましょう。ぜひ職場の仲間、友人、知人に呼びかけて参加してくだい。
           
八尾北医療センター・地域医療交流会
連絡先 八尾北医療センタ-労働組合 
 八尾市桂町6-18-1 
072-999-3555