「彼」のお母さんが亡くなったと西の友達からメールが届いた。
享年12歳・・・家族一同、言葉を失う・・・
翌日強風で散ってしまった金木犀の上を、悲劇を知らない「彼」と散歩する。
歩きながらふと思う。生後わずか三ヶ月、まだまだ母親に甘えたい時期にひとり飛行機に乗って東京へやって来た「彼」は、母親のことを覚えているのだろうか?と・・・。母親の愛情もあまり知らずに飛行機に乗せられてしまった「彼
」の胸中は知る由も無いが、つい申し訳ない気持ちになる。
「彼」がやって来てから今月で五年が経過した。帰宅するのがいつも楽しみで、自分でも驚くほどの「裏声」で「彼
」の名前を呼んでしまう。休日に出掛ける回数が減り、飼う前に家族で「ペットホテルに預けてまで出掛けるのは止めよう」と決めたので家族旅行にはほとんど行かなくなったが、誰一人不平不満を言わない。我が家では旅行と比べるまでも無く「彼
」の優先順位が上である。ひとりでいる自宅でもついつい話し掛けてしまうし、足音ひとつにしても笑みがこぼれる。「みんながみんな動物を飼えば、変な事件も起こらないのに」と思うほど、穏やかな日々が続いている。小さな存在だけれども大きくて温かい存在である。それが日に日に大きくなっている。
友人からのメールの最後には「たくさん可愛がって下さいね」と書いてあった。もちろんです。そして返信には「産んでくれて有難う」と書いた。
心から合掌・・・有難うね・・・・