埼玉県の市立小学校に勤務する女性教諭が、再三クレームを受けて不眠症に陥ったとして、担任する学級の女子児童の両親を提訴していたことがわかった。慰謝料500万円を求め、さいたま地裁熊谷支部で係争中。文部科学省によると、「保護者が学校を訴える例はあるが、逆のケースは聞いたことがない」という。
【学校側の言い分】
提訴したのは昨年9月。訴状などによると、教諭は1991年に教員になり、昨年4月からこの女児の学級を担任。同年6月、女児と他の女子児童とのいさかいを仲裁した際、母親から電話で「相手が悪いのに娘に謝らせようとした」と非難された。 これを皮切りに、同月末から7月中旬にかけて、児童の近況を伝える連絡帳に母親から「先生が自分の感情で不公平なことをして子どもを傷つけています」などと8度書き込まれた。 さらに、父親や母親から文科省や市教育委員会に対し、口頭や文書で批判されたほか、女児の背中に触れただけで警察に暴行容疑で被害を訴えられたという。こうした一連の行為により教諭は不眠症に陥り、「教員生活の継続に重大な支障を生じさせられた」と主張している。教諭ら学校側と両親が話し合う場も設定されたが、両親が拒否したという。小学校側は提訴の翌月、市教委に対し、「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないようにし、教諭が教員を代表して訴訟を行っていると受け止めている」という校長名の文書を提出している。
【両親側の言い分】
両親は訴訟の中で、連絡帳への書き込みについて「娘は繰り返し嫌がらせや差別をされ、ストレスで体調が悪くなっている。このままでは学校に行けなくなってしまうので、抗議した」と説明。市教委に文書を提出した点については「教諭が話し合いを拒否している。娘が安心して学校に通うための正当な行為」と主張し、訴えを退けるように求めている。「娘は担任教諭から、ほかの児童の前で数十分間しかられたり、授業中に手を挙げても無視されたりするなど差別的な扱いを受けた。訴えられるのは心外で、学校側も実態を調べないで自分たちをモンスターペアレンツに仕立て上げた」と話している。
両者の言い分は全く異なっている。まあだから裁判になるのだろうけど・・・ニュースを伝えるキャスターの口調や新聞記者の書き方や世論の流れにより、どちらか寄りの報道になってしまう傾向にある怖い事件である。当人でない限り、憶測だけが先行してしまう。
ただモンスターペアレンツもクレーマーもまず相手側からの反撃が無い前提で攻撃してくるものである。でもあまり理不尽な事を繰り返していると仕舞いには黙っちゃいないぜと言う態度を示したと言う意味では、画期的な出来事なのかも知れない。
ただ誰にだって眠れない夜もあるだろうし、仕事で悩むこともあるだろう。それらを「ある程度」自分で解決せずにすべて相手の責任にしてしまう傾向が巷では横行しているが、それはいかがなものなのだろうか?と思う。違う意味で「他力本願」になってしまう気がしてならない。