タケ・タケ・エヴリバディ!

当ブログは「竹と生きる・竹を生かす」をメインテーマに、管理人の田舎暮らしの様子をお届けします。

母という呪縛・娘という牢獄

2023年06月10日 | 読みました!見ました!

ノンフィクションライター・齊藤彩(さいとうあや)さんのデビュー作である、「母という呪縛・娘という牢獄(講談社)」を読了しました。なんともやりきれない複雑な思いを胸に抱えながらも一気に2日間で読み終えたということは、それだけボクの心に突き刺さるものが多いノンフィクションだったのだと思います。

医学部を9浪した娘が母親を殺害した事件のノンフィクション。教育虐待と話題になったこの事件のニュースは、ずっとボクの記憶の中にありました。母親は毒親どころか本当にモンスターだったと思います。娘は母親を殺さなければいけないと思うほどに、極限まで追い詰められていたのだということもよく分かります。

しかし、ボクはおそらくこの問題は、殺人事件の被害者である母親の生育歴にまで溯らなければ、真実に行きつくとはできないのだろうなと思いました。わが子を妹夫婦に預けてアメリカで生活し、その後この母娘への経済的支援を行う「アメリカのお婆ちゃん」である祖母。その祖母と母親の親子関係の歪み。その歪みが形成した母親の人格。その母親に育てられた娘に形成された人格。母親のいいなりの父親の存在。それらがいろいろ絡み合ってこの悲劇を引き起こしたんだろうな…と。

殺人事件の被害者である母親の歪んだ価値観には反吐が出るほどの嫌悪感を抱きましたが、「心の奥底にこういう価値観をもっている人はボクらの周りにもいるんだろうな」とも思いました。

裁判を通じて娘の気持ちが前向きになったことで、少し心が安らぎました。彼女が無事に刑期を終え、自分自身の人生を前向きにやり直していくことを心から願っています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする