目指せ!ゼロウエイストな暮らし

モノを減らして、ゼロウエイスト。田舎でイラスト描いて暮らしています。

しまや新作お菓子の製作秘話

2010年07月31日 | イラストのお仕事
再び、しまやさんの新作お菓子のパッケージとしおりを作らせていただきました。
もうすぐ、そのお菓子がデビューします。
長く険しい道のりでしたが、出口はもうすぐです。

そんなわけで、ひと足お先にお話しちゃおうと思います。

しまやお菓子第2弾!

それは、前作の「大吟醸ケーキ」のテーマとは大きく異なるもので、
最初、そのテーマを告げられた時、私はものすごくうろたえてしまいました。

「次の菓子はな…。金北山でいきたいんだっちゃ」とタバコの煙をくゆらせながら言う社長。

き、金北山・・・!

この驚きをどなたか理解していただけるでしょうか。


佐渡豆知識
金北山<きんぽくさん>。

1173メートルの標高を持つ佐渡最高峰の山。
古くは修験者の霊場で、薬師、役行者が祀られ、神聖な山と
して島人の振興を集めた山。

かつて島には全ての男の子は7歳になると初山かけといって
父兄に伴われて登山する風習がありました。





その山をお菓子の題材にしたいと言うのです。


金北山が、立派な山なのだということはわかるのです。
私も幼い頃から何度も登ったこともありますし(車でね)
親しんでいた山です。

だけど、それはレジャーのひとつとしての「山」であり、
社長が伝えたいと考える、
島民全ての信仰を集めていた山岳信仰の頂点にある「山」ではありませんでした。

登ってお弁当のおにぎりを食べた思い出こそあれ、
守ってもらっている、というような感覚は、残念ながら皆無。

半ば途方に暮れてしまいました。

なんとか、社長と私の間にあるこの感覚のズレをうめるべく、
資料をあさるも、もともと山岳信仰自体が、すでにマイナーな思想
ともいうべきもので資料はほとんどありません。

しかし、そんなマイナーな存在を「おみやげ菓子」にしようというその心意気。

すごすぎる、と思いませんか?


「おみやげ」とはそもそも有名な名所にあやかって作られるもの。


同じ「山」ならば、今佐渡で有名になっている山は、金北山ではなく、
屋久杉並みの巨木があり、某写真家さんの写真で有名になった
新潟大学演習林の原生林のほうでしょう。

しかし、社長の感覚は違うのです。
佐渡にある「素晴らしい場所」を紹介するための足がかりにするべくお菓子の題材に選んでいるのです。

「佐渡にはもっと素晴らしい場所が沢山ある。それを知ってもらいたい」
だから、それを題材にしたお菓子を開発しているのです。
金山も大事だし、鬼太鼓もたらい舟も残すべき素晴らしい文化、
だけど、それだけじゃない!と社長は言い続けています。


それは、おみやげを作る立場から考えれば、とてもリスキーな考え方かもしれません。
何故なら、そうしたものを題材にして、売れるかどうか見通しが立ちにくいからです。

そう問う私に、社長は言います。
「だから、ひとつの商品には3年我慢させる」と。
「ひとつの商品は、売れるまで3年はかかる」と言うのです。

「その3年は、じっと我慢だ」と。

かっこいいじゃありませんか!


しかししかし、この題材。
私には本当に、ほんとう~に!難しいものでした。
「山」なるもの、あまりにもイメージが壮大で、パッケージのイラストとして捉えきれないのです。

私の焦りと戸惑いは、完全に見透かされてしまったのでしょう。
何枚も描いたラフスケッチは全てボツになりました。



イメージの泉が完全にかわききってしまった私に、
或る日社長が小さな新聞記事を渡してくれました。


<続く> ・・・長くてすみません。

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