【 保護犬:ハッチ日記 】

成犬の保護犬、里親日記

『アンネ・フランクの記憶』

2019-12-02 | 本・映画
小川洋子先生の本
『アンネ・フランクの記憶』(角川文庫)

手に取ってから、一気に読んだ。

この本は、著者である小川洋子先生が
かねてから行ってみたい、と希望していた
【アンネ・フランクの隠れ家】そして、
【アウシュヴィッツ】へ…と、
アンネの足跡を辿った旅の記録である。

アンネを旧知の親友のごとく
大切に、大事に想っていたことが
文章の端々から伝わってくる。

女性編集者と、通訳の女性の方との女3人旅。

【隠れ家】だけでなく、時間が許す限り
アンネと関わりのあった場所、人物に会いたいという
熱い気持ちも、痛いほど伝わってくる。

アンネが友達と行っていたアイスクリーム屋さん、
『アンネの日記』の原点ともいえる日記帳を買った店、
さらに、
アンネの生家、移住したアパートなど
丁寧に辿っている。

また、アンネに関わりのある人物として
親友のヨーピーこと、ジャクリーヌさんを訪ね、
そして、一番会いたかったという
隠れ家での生活を支えたミープ・ヒースさんにも
直接会って話しをされている。
この場面は、特に印象的だった。

この本を何度も読み返してから、
『アンネの日記 増補新訂版』を読んだ。

アンネ・フランクの人生の結末を知っているだけに
切ない気持ちにもなるのだけれど、
実際に読んでいる間は、アンネの感受性の豊かさ、
ユーモアのセンス、描写力、自己分析力のすごさ…といった
とにかく圧倒的な文章力に、ただただ驚かされた。

若干15歳で命を奪われた、アンネ・フランク。
書くことの喜びに燃えていた少女の死を、
他にも奪われた多くの命を
忘れないようにすることが、私にできることだ…、と。
本を読み終えた今、そう考えている。


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