第2日目、朝起きてみれば外は雨が降っていた。
展望と花がメインテーマの計画だけにがっくりだ。
別に低気圧が来ているわけではない。夏の山らしい局地的な悪天候なのだ。
朝の5時になっても、テント場には人影もない。
みんなテントの中で待機しているのだろうか。
天気を呪っていても始まらないので、私たちは雨衣を着込んで予定通り出発した。
道はゆるやかな登りが続き、道も悪くない。
でも雨に加えて風も結構吹いてきた。
カメラはしまい込んで写真も撮らず、無口にひたすら歩いて小蓮華山2763mの山頂に到着。
朝の7時だ。大池から2時間だ。
計画をまとめているとき小蓮華山があるのになんで大蓮華山がないのだろうと不思議に思った。
なんのことはない、白馬岳が別称大蓮華山と呼ばれていたのだ。
後日、テレビの山番組でこのコースが紹介されていたが、このあたりからの白馬岳の東壁がすばらしかった。生で見たかった。
雨は降りやまないので、そのまま先へすすみ、7時44分、三国境に到着。小休止する。
三国境は、長野、新潟、富山の三県の境界となっているところ。北にすすめば雪倉岳にいたる。
写真を見て花の名前を書こうとしても思い出せない。
あわてて山の花の図鑑を探した。イブキジャコウソウ、そうそう、そうだった。
タカネツメクサとともに大群落をつくっていた。
このあたり、ガスってはいても、雨が少し小やみになってくれていたのだ。
8時35分、白馬岳山頂に到着。山頂が近づくにつれてふたたび雨脚が強くなってきた。
カメラのレンズにも水滴がついて写真は御覧の通り。おれの顔はどこにいってしまったのだぁ=。
記念写真だけ撮って、白馬山荘に逃げ込んだ。
別棟になっているレストラン棟だが、広くて立派だ。
コーヒーを頼んで、持参の軽食をおなかに収めながら雨宿り休憩をした。
小1時間すると外の雨がやんだ。
まだガスにおおわれたままだが、降っているのとやんでいるのでは大違い。
カメラも出して、さあ下山開始。
このあたりは、日本有数の高山植物の宝庫だ。
ウルップソウだ。数十年ぶりにおめにかかる。
白馬岳から八方尾根へ(1975年7月19日~20日) - 毎日が山のこと (goo.ne.jp)
このブログにも投稿してある上記の山行以来だから、45年ぶりだ。
図鑑には、大雪山と礼文島、本州では白馬岳と八ヶ岳で見られると書いてあるが、残念ながら八ヶ岳では目にしたことがない。
濃いガスの中を大雪渓めざして下って行った。
頂上山荘をすぎると、花々が咲き乱れるカール地形を下っていく。
これは名前を知らなかったが、改めて調べてみたら、ミヤマアケボノソウ。
花の色合いが地味なので見落とされやすいがなかなかユニークな形をしていると思った。
天気がよかったらなあ。日差しがあれば、花の色ももっと鮮やかだろうに。
でも雨にぬれた葉の緑も悪くはない。
10時10分、岩室の避難小屋に到着。
いよいよ大雪渓にさしかかった。
この年は雪が少なかったのか、雪渓の雪解けが早く、露岩を歩く部分が多かったし、写真のように雪渓が崩落しているところもたくさんあった。
大雪渓の中央部でちょうど12時になったので露岩の上で小休止。
行動食を口にほうりこんだが、また小雨が落ち始めたのでコーヒーなどを入れる雰囲気ではなかった。
さすがに大雪渓の中央部は雪渓歩きが楽しめたが、下部になると脇の露岩に逃げなくてはならない。
雪渓わきの道を下っていたら、突然落雷のような大きな音が谷間に響き渡った。雪渓の崩落だった。
そのまま雪渓を歩いていたら、こういう崩落に巻き込まれかねないのだ。
白馬尻の小屋をすぎて、砂防工事用の林道に入った。大雪渓の世界から、しっとりと雨に濡れた森の世界にはいる。
道沿いにアジサイが点々と咲いていた。
雨の日にはお似合いの静かなたたずまいだ。
午後2時10分、猿倉の小屋が見えてきた。
大展望と花を楽しもうと計画した山行だったが、2日目は雨にたたられ、期待外れとなってしまった。
45年ぶりのウルップソウにめぐりあえたけど、やっぱり小蓮華山からの大展望を見られなかったのは心残りだった。
秋の紅葉のころにでももう一度歩いてみたいものだが、チャンスはあるだろうか。
まあ、いくつまで元気でいられるかにかかっているけど。
このあとは、バスを使い、駐車場のマイカーを拾ってから風呂に入り、埼玉へと戻った。
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