美大の予備校に通う浪の、屈折した情熱と葛藤、焦りを読んで、この漫画を最後まで買い続けようと決めました。(未完だけど)。
「若さ」という物を時に否定的に、時に肯定的に描く世界に引き込まれました。鬼が笑いそうですが、今年は中原アヤ作品を全作買い揃えたので、今年から来年にかけては冬目景の漫画を全部買う予定です。
ハルに誘われるがままに二人で怪獣映画を観に行く約束をするリクオ。しかししな子が熱を出し、病人をほっておけないリクオはしな子を夜通し看て、寝過ごしてしまう。
ハルが「母さん」とは呼ばず「ハハ」と呼ぶ母は、今度は大学時代の先輩と再婚する。ハハを裏切るような気がして会えずにいた父さんが「呼んだだけで穏やかな気持ちになりそう」と言った今の自分の名前を気に入っている野中晴に、ハハの再婚相手が同じ言葉を言う。十年以上会っていない父さんの、変わっていなかった住所を訪れて、ゲンソーを持っていたのだと喪失感に落ち込むハル。
映画の待ち合わせ時刻を過ぎてもリクオは現れず、雨に濡れてコンビニを訪れたハルは、今まで訊こうとしなかったリクオの電話番号と住所を教えてもらい、アパートの前で彼を待つ。帰ってきたリクオに誰かを失うことを怖れているハルは安堵するが、約束を破った理由を正直に話す彼の言葉を聞き、何も要求しないと言った自分に優先権はないのだと一瞬涙ぐみ、彼を傘で殴って走り去る。
ハルのことを嫌いではないが、女性として見ることも出来ないリクオは、卑怯だと思いつつも彼女の家を教えてもらい、安否を確認するつもりだけだったが、しな子にした事とおなじ物を要求される。
浪は美大の予備校に通い始め、同い年の滝下(たきした)との仲が少し深まる。コーヒーの出前に来た少女は浪と同じ高校を中退しており、芸大を退学して予備校に戻ってきた桐島さんは浪の絵を「おもしろい」と評する。
しかしこれから多くを学ばされそうな桐島さんは未練は無いと言って予備校を去り、芸術はわからないが絵は好きだという滝下と会話を交わした浪は、自らも逃げ道を塞ぐ。
予備校でバイトを始めたハルは、動かなくていいからラクだと聞いたのにと、困った顔をする。
お薦め度:★★★★☆
『ACONY』を読んで、冬目景のファンになりました。
絵で食べていける保証もないのに絵を学ぶ者たちの焦燥と、社会のはみ出し者たちとの通有(つうゆう)と対比に引き込まれる。おそらく冬目景自身も、今の自分の才能に満足しておらず、永遠に満足することはない人なのだろう。純粋ではないから描き続けるしかないという滝下の言葉は、錯覚であってもレンアイをやめられない者たちの思いを代弁している。
今更ながら、セリフの中でのカタカナの使い方が巧み。
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【検索用】イエスタデイをうたって 冬目景 2
黒冬目もかなりくるものがありますが、白冬目のやわらかくあったかい雰囲気もいいんですよね。
図書カード欲しさにエコ家電を買って逆に地球の資源を浪費しているオレはそれも買う予定ですよ。