Natural Mystic ~ナチュラルミスティック~

There's a natural mystic blowing through the air

与論島 銭金おじさん

2007-05-15 22:05:32 | 
とりあえず夕食をどうにかしなければならない。しかし、ホテルの食事は高い上にたいした物は期待出来ないため散歩がてら街まで歩くことにした。

「門を出て左に進むと点滅信号がありますからそこを左です。」
フロントの案内通りに進むがいくら歩いても、交差点はおろか信号など見つからない。ときより地元ナンバーの車は通るがタクシーさえも見かけない田舎道である。笑ってしまったのが我々を追い抜いていったワンボックスの扉にはでかでかと『青い珊瑚礁』という文字が描かれていた。大昔のアイドル歌手のヒット曲と同じ名前であるがこれを店の名前に用いるとは何とも大胆である。後で知ったが地元の名物『もずくそば』で有名な店らしい。点滅信号さえ見あたらないので確認のため島の地図を広げる。道は間違っていないようだが街である茶花までは1.5km程。行きは良くても帰りは疲れ切ったちび共には気の毒である。そんなことを考えながら歩を進めると右手におどろおどろしいピンクの半壊したような建物が目に入る。ふと見たことがあるような気がしたがこの島に上陸するのは初めてのことである。勘違いとだろうとその前を通り過ぎるときのこと。庭にいた2人の男性のうちの一人が塀越しに話しかけてきた。彼は頭にコカの葉の模様をあしらったキャップを被っていた。確かに私はこの人物を知っている。しかし、何処であったから皆目見当が付かなかった。


【自称:竜宮城とその建築主】

「どこから来なさった。」
この人物の声を聞いてはっきり分かった。このおじさん、貧乏生活を紹介するテレビ番組『銭形金太郎』に2ヶ月ほど前に出ていた人だった。
「東京から来たんですよ。これから夕飯のおかずを買いに行くんですが...。」
と伝えるとこのおじさんは、
「いや~...。遠いところから遥々いらっしゃい~。」
といってにこやかに近寄ってきた。するともう一人の人物が、
「このおじさんはこないだテレビに出たんだよ...。」
と語った。私が、
「『銭金』に出てましたよね...。」
と言うとそのこの銭金おじさんは、
「あの人達(銭金撮影スタッフ)も東京から来たんだよ...。あんた方も今度良かったら寄って酒でも飲んで行きな...。」
といってくれた。
お礼を言って立ち去ろうとすると銭金おじさんは
「ほらよ!」
とって突然、私の胸元に何かを投げつけた。訳も分からずキャッチし掌を見ると500円硬貨が一枚。更にもう一枚間髪入れずに投げられた。
「ボウズに何か買ってやれ!」
銭金おじさんの気遣いであった。すると、
「これから犬の餌を買いに行くから車に乗っていくと良いよ。」
そういい、我々の前に軽のワンボックスをまわしてくれた。