東京都・池袋の西武百貨店池袋本店8階の南A10で明日28日(火)まで開催の「夏山フェスティバル」、毎週土曜日のミニトークショーの先週分も先々週分も触れたので、せっかくだから今月覗いたほかの場の催しも絡めながら25日(土)のことも。
13日の投稿でも触れたようにかねてから、僕的には今月の一大事に据えていたこの日2回目のトーク、『岳人』の廣川建司氏、『山と溪谷』の神谷有二氏、『PEAKS』の朝比奈耕太氏、の山雑誌3誌の編集長による「山対談」を楽しみにしていた。
が、蓋を開けてみると聴衆は15人ほどと思ったよりも空いていたなあ。なんでだろう。夢? の組み合わせだったのに。関係者らしき人々も少なかったような。
それでその内容は、トークのなかでも触れていたが三氏それぞれの登山論やこの催しにちなんで八ヶ岳への想いについての議論的なものになるかと思いきや、実際には震災後の3誌それぞれ、そして3誌が「野外雑誌協同体」として組んでの取り組みに関する途中経過報告が大半だった。催しの趣旨を考えるとやや肩透かし? な内容かとも思ったが、このご時世ではそうなるのも無理はないか、と僕としても一応は想定内の話だった。
『山と溪谷』というか山と溪谷社の今月の動きのひとつにあった(現在発売中の『山と溪谷』11年7月号でも少し触れている、日本山岳遺産基金の活動の一環としての)石巻高校ワンダーフォーゲル部への装備提供について。
そこは今春、例年以上の12人の新入部員が入ったそうで、神谷氏が事前に学校へ行って生徒たちに直接訊いたところ、ほとんどの部員が程度の差はあるが家が被災した影響で登山装備を揃えるのが大変だ(毎年、新入部員の仙台市街に赴いての装備の新調に1人あたり5万円かけるのが慣例だが、今年はそのお金も用意できない状況の子ばかり)、ということでヤマケイが今月上旬にウェブサイトで読者向けに(未使用品の)装備提供を呼びかけ、結果、読者と15社ほどのメーカーの協力もあって夏山の最盛期前になんとか提供できるようになったそうでなにより。そこからさらに8月に、ヤマケイ主導で八ヶ岳の登山を(お金絡みではないカタチで)彼らの合宿をお膳立てする計画もあるとか。
例年以上の部員増の理由はやはり今回の震災で登山のような野外を歩いたりテント生活したりする、非常時を生き抜くための技術を会得したい子が増えたことだそうで、そうなるのもわかる。
今後は宮城県のほかに岩手県や福島県の学校にもこの活動は拡げるそうだが、ほかの地域はどのくらい変化があったのかね。例えば、僕の大学時代のワンゲルの後輩に岩手県・遠野の出身者がいるが、あそこは北方の早池峰山など山々に囲まれて登山が歴史的にも盛んなほうだと聞いたことはあるし、同様に若年層に登山が改めて注目される傾向はさらに調べてゆくともっとあるのかも。
『PEAKS』というか(エイ)出版社としては、まずは朝比奈氏が前々から付き合いのあった、(僕はシェルパ斉藤さんなどの雑誌記事で約10年前から存じ上げている)四万十川での独創的カヤックツアーの主催で知られ、阪神淡路大震災でもボランティア活動を経験している「四万十塾」の木村とーる氏が石巻市で震災直後から炊き出し支援で3か月ほとんど休みなく活動し続けていることに触れ(これは4日(土)に覗きに行った「ランドネピクニック2011」の若者ばかりの夜ライヴの合間に軽く報告していた内容とかぶる。とーる氏は間近で見ると記事の印象よりも背が高かった)、それを知ってのちに日本赤十字社の義援金の配分遅れの問題によってそれが頼りにならないことから、被災地のアウトフィッター(ガイド、ツアーリーダーのような野遊びに誘うことを生業とする人)を支援したいと独自の資金作りの方法として「青空ユニオン」をホーボージュンさんとともに立ち上げ、野外業界全体をオークション活動で巻き込んで長期的に支援している最中。
今後は専用サイトを設けて、さらに業界著名人からのモノの出品によるオークションのほかに、(先の投稿で高橋庄太郎さんの件を挙げたが)著名人と一緒に何かをできる権利をもっと取り入れるかも、という話もあった。ちなみにほかの人名の事例は山野井泰史・平山ユージあたり。このへんの名前まで挙がるとかなり強力なオークションになりそう(あとはもっと一般的に知られている? セブンサミッツ関係の有名人たちの名前も少々触れていたけど)。
また、何かを共有することのほかにも、雑誌の表紙に登場できたり、その著名人と何か楽しんだことを記事にして誌面に反映させるところまでの権利も付ける、みたいな構想? もあり、それは面白いのでどんどんやってほしいっす。場合によっては僕も資金作りを頑張ってその権利獲得に参戦したい気分。
それで、『岳人』は何もやっていないというわけでもなくて、ここ3か月の誌面でクライマーからの視点の震災関連の話は出しているし(馬目弘仁、澤田実、谷口けい、など)、トークでは触れなかったが4日前の21日(火)午後に両国の江戸東京博物館ホールで版元の東京新聞主催で「夏山の魅力と安心登山」というフォーラムがあり、その登壇者のひとりの田部井淳子氏が地元の福島県の山をもっと歩こう! とPR大使みたいな役回りを自ら買って出たり、ほかにも震災関連の話もありつつ今夏の登山に向けての注意を促していたが、こういった誌面以外の催しも増えるのかも。
個人的にはトークの端々にあった廣川氏の、「震災後に(ボランティア活動などで身体を動かして)汗をかきたがる人が増えてきた」、「(特に『岳人』は)結構危ないことを紹介している(でも遊びのことで、そこから得ることもある?)」、「海へ行くよりも山へ行くほうが賢そう(「修行」とかの意味合いで)」、みたいな言い回しが面白かった。失礼ながら年の功?
全体の印象としてはそんな感じで、ホントにマニアックな登山論や八ヶ岳の話はほとんどなかった。まあいいか。
事前予想よりも三氏と3誌が火花をバチバチ散らす敵対的な雰囲気ではなく、雑誌作りの歴史の多少を越えてホントにガッチリ組んで協働している友好的な感じは三氏のやりとりから窺い知ることができて、良かった。山に親しむ者同士だったら事故処理など不測の事態でも助け合える精神が根付いているし、やればできるわね。
そのほかに3誌の毎月の出版に関する細かいことで僕的にツボだったのは、6月号から掲載されている3誌共通の「野外雑誌協同体」のページは『PEAKS』のデザイナー諸氏が見本を十数点作ったなかから選んでいる、3誌ともに大日本印刷で刷っている(おそらく市ヶ谷の本社工場とその近辺)、3誌ともに毎月15日の発売日は同じだが『岳人』は他2誌よりも毎月少し早めに発行できる理由は編集部員がほかよりも高齢化? のせいで印刷前ギリギリまであまり残業しなくて済むように進行しているから、みたいな話。こういう突っ込んだことを聴きたかったのよ、と多少は満足できた。
まあとにかく、意気込んで行った甲斐のあった濃い1時間だった。これで三氏揃ってのお目通し? が済んだこともあって今後は幾分やりやすくなると思うので、またの機会にもっと“山ヤ”らしい突っ込んだ話を期待したい。

そういえば、ミニトークショーは11日(土)と18日(土)のも合わせて全6回中4回聴いた。オマエはどんだけ暇なんだよ、と言われそうだが、一応は仕事も少々あったけどそれをさぼってでも行きたかったのだから、仕方ないじゃあないか。
来年以降も同じくらいのレベルの催しを継続してほしいなあ。
※28日(火)の追記
誤字を訂正し、少々追記しました。
13日の投稿でも触れたようにかねてから、僕的には今月の一大事に据えていたこの日2回目のトーク、『岳人』の廣川建司氏、『山と溪谷』の神谷有二氏、『PEAKS』の朝比奈耕太氏、の山雑誌3誌の編集長による「山対談」を楽しみにしていた。
が、蓋を開けてみると聴衆は15人ほどと思ったよりも空いていたなあ。なんでだろう。夢? の組み合わせだったのに。関係者らしき人々も少なかったような。
それでその内容は、トークのなかでも触れていたが三氏それぞれの登山論やこの催しにちなんで八ヶ岳への想いについての議論的なものになるかと思いきや、実際には震災後の3誌それぞれ、そして3誌が「野外雑誌協同体」として組んでの取り組みに関する途中経過報告が大半だった。催しの趣旨を考えるとやや肩透かし? な内容かとも思ったが、このご時世ではそうなるのも無理はないか、と僕としても一応は想定内の話だった。
『山と溪谷』というか山と溪谷社の今月の動きのひとつにあった(現在発売中の『山と溪谷』11年7月号でも少し触れている、日本山岳遺産基金の活動の一環としての)石巻高校ワンダーフォーゲル部への装備提供について。
そこは今春、例年以上の12人の新入部員が入ったそうで、神谷氏が事前に学校へ行って生徒たちに直接訊いたところ、ほとんどの部員が程度の差はあるが家が被災した影響で登山装備を揃えるのが大変だ(毎年、新入部員の仙台市街に赴いての装備の新調に1人あたり5万円かけるのが慣例だが、今年はそのお金も用意できない状況の子ばかり)、ということでヤマケイが今月上旬にウェブサイトで読者向けに(未使用品の)装備提供を呼びかけ、結果、読者と15社ほどのメーカーの協力もあって夏山の最盛期前になんとか提供できるようになったそうでなにより。そこからさらに8月に、ヤマケイ主導で八ヶ岳の登山を(お金絡みではないカタチで)彼らの合宿をお膳立てする計画もあるとか。
例年以上の部員増の理由はやはり今回の震災で登山のような野外を歩いたりテント生活したりする、非常時を生き抜くための技術を会得したい子が増えたことだそうで、そうなるのもわかる。
今後は宮城県のほかに岩手県や福島県の学校にもこの活動は拡げるそうだが、ほかの地域はどのくらい変化があったのかね。例えば、僕の大学時代のワンゲルの後輩に岩手県・遠野の出身者がいるが、あそこは北方の早池峰山など山々に囲まれて登山が歴史的にも盛んなほうだと聞いたことはあるし、同様に若年層に登山が改めて注目される傾向はさらに調べてゆくともっとあるのかも。
『PEAKS』というか(エイ)出版社としては、まずは朝比奈氏が前々から付き合いのあった、(僕はシェルパ斉藤さんなどの雑誌記事で約10年前から存じ上げている)四万十川での独創的カヤックツアーの主催で知られ、阪神淡路大震災でもボランティア活動を経験している「四万十塾」の木村とーる氏が石巻市で震災直後から炊き出し支援で3か月ほとんど休みなく活動し続けていることに触れ(これは4日(土)に覗きに行った「ランドネピクニック2011」の若者ばかりの夜ライヴの合間に軽く報告していた内容とかぶる。とーる氏は間近で見ると記事の印象よりも背が高かった)、それを知ってのちに日本赤十字社の義援金の配分遅れの問題によってそれが頼りにならないことから、被災地のアウトフィッター(ガイド、ツアーリーダーのような野遊びに誘うことを生業とする人)を支援したいと独自の資金作りの方法として「青空ユニオン」をホーボージュンさんとともに立ち上げ、野外業界全体をオークション活動で巻き込んで長期的に支援している最中。
今後は専用サイトを設けて、さらに業界著名人からのモノの出品によるオークションのほかに、(先の投稿で高橋庄太郎さんの件を挙げたが)著名人と一緒に何かをできる権利をもっと取り入れるかも、という話もあった。ちなみにほかの人名の事例は山野井泰史・平山ユージあたり。このへんの名前まで挙がるとかなり強力なオークションになりそう(あとはもっと一般的に知られている? セブンサミッツ関係の有名人たちの名前も少々触れていたけど)。
また、何かを共有することのほかにも、雑誌の表紙に登場できたり、その著名人と何か楽しんだことを記事にして誌面に反映させるところまでの権利も付ける、みたいな構想? もあり、それは面白いのでどんどんやってほしいっす。場合によっては僕も資金作りを頑張ってその権利獲得に参戦したい気分。
それで、『岳人』は何もやっていないというわけでもなくて、ここ3か月の誌面でクライマーからの視点の震災関連の話は出しているし(馬目弘仁、澤田実、谷口けい、など)、トークでは触れなかったが4日前の21日(火)午後に両国の江戸東京博物館ホールで版元の東京新聞主催で「夏山の魅力と安心登山」というフォーラムがあり、その登壇者のひとりの田部井淳子氏が地元の福島県の山をもっと歩こう! とPR大使みたいな役回りを自ら買って出たり、ほかにも震災関連の話もありつつ今夏の登山に向けての注意を促していたが、こういった誌面以外の催しも増えるのかも。
個人的にはトークの端々にあった廣川氏の、「震災後に(ボランティア活動などで身体を動かして)汗をかきたがる人が増えてきた」、「(特に『岳人』は)結構危ないことを紹介している(でも遊びのことで、そこから得ることもある?)」、「海へ行くよりも山へ行くほうが賢そう(「修行」とかの意味合いで)」、みたいな言い回しが面白かった。失礼ながら年の功?
全体の印象としてはそんな感じで、ホントにマニアックな登山論や八ヶ岳の話はほとんどなかった。まあいいか。
事前予想よりも三氏と3誌が火花をバチバチ散らす敵対的な雰囲気ではなく、雑誌作りの歴史の多少を越えてホントにガッチリ組んで協働している友好的な感じは三氏のやりとりから窺い知ることができて、良かった。山に親しむ者同士だったら事故処理など不測の事態でも助け合える精神が根付いているし、やればできるわね。
そのほかに3誌の毎月の出版に関する細かいことで僕的にツボだったのは、6月号から掲載されている3誌共通の「野外雑誌協同体」のページは『PEAKS』のデザイナー諸氏が見本を十数点作ったなかから選んでいる、3誌ともに大日本印刷で刷っている(おそらく市ヶ谷の本社工場とその近辺)、3誌ともに毎月15日の発売日は同じだが『岳人』は他2誌よりも毎月少し早めに発行できる理由は編集部員がほかよりも高齢化? のせいで印刷前ギリギリまであまり残業しなくて済むように進行しているから、みたいな話。こういう突っ込んだことを聴きたかったのよ、と多少は満足できた。
まあとにかく、意気込んで行った甲斐のあった濃い1時間だった。これで三氏揃ってのお目通し? が済んだこともあって今後は幾分やりやすくなると思うので、またの機会にもっと“山ヤ”らしい突っ込んだ話を期待したい。

そういえば、ミニトークショーは11日(土)と18日(土)のも合わせて全6回中4回聴いた。オマエはどんだけ暇なんだよ、と言われそうだが、一応は仕事も少々あったけどそれをさぼってでも行きたかったのだから、仕方ないじゃあないか。
来年以降も同じくらいのレベルの催しを継続してほしいなあ。
※28日(火)の追記
誤字を訂正し、少々追記しました。