2021年8月5日(木)晴れ。今日も暑かったものの、コストコで楽しく買い物をした。
勝鬨橋からの風景
イベルメクチンに興味があるので、少しまとめてみた。
もともとは、北里大学特別栄誉教授の大村智博士が静岡県伊東市のゴルフ場の土壌から放線菌という微生物を発見したことから始まる。
1973年から米国メルク社との共同研究で、この放線菌が産生する抗寄生虫薬「エバーメクチン(アベルメクチン)」(抗生物質)を見い出し、その化合物(誘導体)である「イベルメクチン」を開発、発売しました。これが1981年のことです。家畜の寄生虫や皮膚病、イヌのフィラリア症などの特効薬となるなど、動物抗生物質として世界中からの支持を得てきた。
その後、ヒト用の治療薬としても開発されることになる。
生態系の複雑なつながりとバランスを保っている地球環境を強く感じる出来事ですね。
2015年、大村博士はノーベル生理学・医学賞を受賞する。
アフリカ、南米などの熱帯地方に蔓延している河川盲目症(オンコセルカ症)の特効薬を発明した業績による。
博士は多くの微生物を研究して、その微生物が産生する優れた天然化学物質を発見して化学や医学の基礎研究に貢献している。これまで発見した有用な化学物質は約500種類。そのうち26種類が医薬、動物薬、研究用試薬などで実用化されているそうだ。
注目すべきは産学連携。
大村博士とメルク社との関係は大村方式と呼ばれ、次のようになっていた。
大村博士の研究室(北里研究所)で微生物由来の化学物質を発見して特許を取得し、メルク社がそれを製剤などにして実用化をはかり、特許ロイヤリティを大村博士に支払う。
博士は早くから現在の産学連携を個人(北里研究所として)として確立して研究から開発への道筋を実現していたことです。
といっても、人間に対する治療薬の開発は巨額の資金を必要としたはずです。動物を対象とした治療薬の開発は、個人ができる精一杯のもので、資金を得るのに効率的なやり方だったと言えます。
オンコセルカ症「河川盲目症」とはどんな病気?
オンコセルカ症は、河川に生息するブユ(ブヨ、ブト)がヒトを刺した際、皮下を自在に動き回る「ミニ糸ミミズ」と称される回旋糸状虫という寄生虫が引き起こす病気。全身の皮膚にかゆみを起こし、失明に至る感染症。
WHOが指定した「顧みられない熱帯病」の1つで、世界の感染者数は約1800万人、100万人が視力障害に苦しみ、30万人が完全に視力を失うという恐ろしい病気でした。
特に熱帯アフリカの河川の周辺に集中して発生し、最終的に失明してしまうことから、別名「河川盲目症」と言われた。
なぜ、人間の病気である河川盲目症にイベルメクチンが使われたのか?
それはまた、次で。