断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

今年も結局、風月堂だった。

2012-10-05 20:06:34 | 日銀ウオッチ
と、いうわけで。。。。。

まあ、どうでもいいといえばどうでもいいことだが。。。

日銀短観概要(2012.9 第154回)が届いた。いや、届いたのは
もうしばらく前のことだが、つい先ほど開封して中を見た。

まあ、業況判断は、だいたい報道にあるとおりで、
別に目新しいものもない。
でも、どうして、報道では業況判断しか取り扱わないんだろ。
この業況判断というやつ、
これを見て、日本経済の先行きがどうなるか、予想の足しになるんだろうか。
シャックルのケインジアン・カレイディクスではないが、
企業の業況判断や先行きの見込みなど、
にゃんこの目のように変わる。あるいは、冬の谷川岳の天候のように。
資料としてみた場合、それぞれの時点で企業の経営者が
どのように状況を考えているのか、
楽観的なのか悲観的なのか、を数量的に把握するものとしては
役に立つだろう。実際、業況判断の推移のグラフを見ると、
(当たり前のことだが)景気循環とは連動している。けど、
それだけのことでは?

そんなことより、やっぱり気になるのは、
資金繰り判断だよなあ。。。。
相変わらず、9月調査も、大企業は資金繰り「楽である」が「苦しい」を
大きく上回り、
プラスの15ポイント。シャープのような例があるにもかかわらず、かなり楽そう。
さらに、中堅も11パーセントと、どんどん改善している。。。。。

リーマンショックの前、いざなみ景気の、一番いいときで、
中堅企業は+9%ぐらいじゃないかと思う。(グラフでみているので、
正確な数字は分からないが、あしからず。)
いざなみ景気よりいいわけだ。
大企業だって、いざなみ景気の一番いいときで、
いいとこ20%という感じだから、
それに比べれば劣るとはいえ、15パーセントといったら、
かなりいいんじゃないだろうか。。。。

ちなみに、いざなみ景気の時は、
中小企業は、とうとう最後まで、水面に顔を出すことはなかった。。。
で、その中小企業は、9月調査では、相変わらず水面下で、-4。。。。。
それでも、一応は右上がりではある。。。
まあ、おいらの勤め先なんかは、資金繰り苦しくて、どうにもならない状況だが、
世の中は、少しずつでも改善しているのだろうか。。。

ただし、「金融機関の貸し出し態度」は、
中小企業でも「緩い」が「厳しい」を上回っている。
そうすると、なんだかなあ、という感じになる。
おいら自身そうなんだけど、
うちの会社の状況を考える限り、
もはや銀行からの追加融資は受けられない。
そのこと自体は、もう納得してしまっている。
だから、資金繰りが苦しいのに、
追加融資が受けられない現状を前にしても、
金融機関の貸し出し態度を「厳しい」と思うことができなくなってしまっているのだ。。。

まあ、金融機関の皆さんが、我々のようなどうしようもないお客さんを
熱心に説得して、資金繰りが行き詰って倒産しても
「銀行のせいではないよ」と、思い込むように、
うまいこと丸め込んだ、
と、いうことになるのだろうか。

まあ、もっとも、昔から、「資金繰り判断」と
「金融機関の貸出態度判断」が、完全に連動していたわけではない。
だから、そんな気にすることでもないかもしれないが、
しかし、それぞれの時期に、この二つの判断に乖離が生じる理由があったはずであるわけで、
まあ、今回の場合は、そんなんかなあ。。と。

それはそれとして、

たまたま、今日、某メガバンクの人と話をしたのだけれど、
この3月で金融円滑化法が時間切れになるが、
それによって、資金繰りの厳しい(実質的に債務超過の)中小企業に対する
対応が、急に変わるものではない、ということを強調していた。
というのは、金融円滑化法のエッセンスは、すでにまとめて、
「金融監査マニュアル」の中に織り込まれている。
こちらが変更にならない限り、
法律が変わったからといって、顧客に対する対応を
急変させるわけにはいかないのだそうだ。

思い出してみれば、リーマンショックの直後、
いち早く動いたのは、金融庁であり、
「金融監査マニュアル」の「中小企業編」が、まず、修正された。
これによって、助かった中小企業は
(うちも含めて)少なくなかったことと思う。
この時は、まだ、政権交代前で、
確か麻生内閣だったと思ったが、
こんなのって、内閣の指示があったのか、
役人が勝手に自分たちの判断で動いたのか、
その辺はよくわからないが、
いずれにせよ、この件は
あんまり報道されていなかったと思う。
あれに最初に目を通した時は、実際驚いた。
小泉政権下では、
従来のメインバンク制やリレーショナルバンキング制を取っ払って、
欧米流の、競争的資本主義金融制度の中に、中小企業金融も
放り込もう、というのが、金融監査マニュアルの方向性だった。
だから、明快と公平が重視され、
従来の、リレーショナルバンキング制のような
密室での、人間関係に依存するような、金融のあり方は
取りやめるような方向性で、話が進んでいた。
他方で、それを補う形で、
中小企業でも、シンジケートローンや私募債の発行や
CLOなどなどの金融商品に取り組むことができるようになっていった。
そうしたものは、中小企業の資金繰りも
楽にするはずだったし、それにより金融市場も活発化し、
中小企業も競争力をつけ、日本全体が
健全化する、
それがまあ、いわゆる上げ潮派の方向性でもあったわけだが、、、、
先にも述べたとおりで、
この期間中、中小企業の「資金繰り判断」は
とうとう一回も、プラスにならなかった。05年から07年にかけては
「売上高経常利益率」も3%を超え、相当高かったにもかかわらず、
である。

そして、この「金融監査マニュアル(中小企業編)」の内容は、
リーマンショックを機に、すっかり旧に復したわけである。
それどころか、あるメガバンクの法人営業担当が言っていたが、
これは、借り手と貸し手(融資のための査定する側)が
共同で融資に必要な資料(査定の材料)を
作成する、という、
「究極のモラルハザード」だったわけだ。

その後、亀ちゃんが、法律という形で、
まあ、当時は金融モラトリアム法とか言われたけれど、
形式を整えてたのが、金融円滑化法。
そして、金融円滑化法を受けて
金融監査マニュアルが、また微調整されて、
結局、それがそのまま今日まで受け継がれている。
だから、金融円滑化法が廃止になっても、
金融監査マニュアルが、そのままの状態で維持されるなら、
中小企業に対する対応も、今とあまり変化がないままになる。
逆にいえば、こちらが改定されれば、これは本当に
「出口戦略」ということになってくるわけだ。。。

それにしても、である。
話はまた変わってしまうが、

9月調査の
「売上高経常利益率の推移」を見ていると、
なんだか、暗澹たる気持ちになってくる。
非製造業では、大企業・中堅企業は
時期によって、でっこみ引っ込みはあるものの、
80年代から、トレンドとしては、一貫して上昇基調である。
中小企業は、89年にピークを迎えると、
それ以降は下降の一途である。(ここ10年ばっかり
安定している、といったところか。)
製造業には、そのような顕著な傾向はみられない。
問題は、いざなみ景気のころの大企業の売上高経常利益率で、
7%近くにまで上がっているが、いくらなんでも、
ちょっと異常ではないだろうか。

これはもちろん、一つには、投資を借入資金に頼らず、
内部留保なり、エクイティにより資金調達した結果でもあるのだろう。
それだけ支払利息が少なかったというわけだ。
そんなせいもあって、利益率が高いにもかかわらず、
資金繰りが楽だ、という大企業は、さほど多くなかったのかもしれない。

だが、もちろん、それだけではあるまい。
労務コスト、流通コスト、そうしたものが
圧縮され、合理化されたのであろう。
当然、そのしわ寄せは、来るべきところに来ることになる。
ただし、同時期、製造業に関しては
中小企業、中堅企業ともに
売上高経常利益率は顕著な悪化を示しているわけではない。
(もちろん、売上そのものが減少しているかどうかは、
このグラフからではわからない。おそらく、売上も
伸びているはずである。)
こうした中で、法人税減税と一体化された(というわけではない、
というかもしれないが)消費税率引き上げである。。。
(と、突然関係ない話に結びつけてしまったが。。。)
おいらのような、失業予備軍の中小企業サラリーマンにしてみれば、
大企業の利益が増え、資金繰りが楽になっても、
とても明るい話題ではない。
小泉さんのころ、しばしばいわれたことに
「トリクルダウン」テーゼがある。70年代の
開発経済学で、開発独裁を正当化するために提起されたような理論であるが、
それがなぜか、21世紀の日本で復活した。
そして、そのトリクルダウンテーゼによれば、
大企業の売上高経常利益率が上がっていけば、
そのうち、おいらにも恩恵が回ってくるはずである。
だが、今の日本の現状を見て、
そのようなことを本気で信じることができるオプティミストが、
いったいどれだけいるのだろう。。。

まあ、どうでもいいや。
暗い気持ちでみれば、すべての資料は
暗い未来を暗示しているように思える。。。
それはともかくとして、、

せっかく300ページ以上もある日銀短観である。
マスコミの人も、日銀が発表する
概要のメディア向け説明だけではなく、
自分たちで、日銀短観本文にも、たまには目を通して、
自分の言葉で説明してもらいたいものである。


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