和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

門松とツリー。

2023-12-14 | 前書・後書。
ネット「日本の古本屋」で名前検索をしていると、
解説だけの本までも、検索にひっかかってくれて、
はじめて知る人の本の検索に私にはとても有難い。

たとえば、『 吉田光邦 』の名で検索すると、
中央公論刊「日本絵巻大成」の第8巻「年中行事絵巻」がひっかかる。
その最後の解説を吉田光邦氏が書いているとわかる。とっても有難い。

日本絵巻大成全20巻には、巻末解説をいろいろな方が書かれているけど、
吉田光邦氏が書いているのは、この第8巻のみ。この機会にさっそく読む
(のちに絵巻大成は、続編も追加されているようです)。

それはそうと、「日本絵巻大成」には、毎回の月報を宮本常一が書いており、
月報をまとめ、「絵巻物に見る日本庶民生活誌」(中公新書)として出てる。
中公新書のは、以前にたのしく拝見したことがありました。

はい。日本絵巻大成第8巻の月報から、今回は引用してみることに。

「・・・町家の前に門松が立てられている。・・・
 興を覚えるのは、宮廷や貴族の門の前には立てられていない。

 これは、民衆の間にのみ見られる習俗だったのだろうか。

 門松は正月の神を迎えるための木ということになっており、
 この絵巻では松が立てられているが、土地によっては
 ツバキ・サカキ・シイなども用いられている。
 東京都府中市では笹竹のみを立て、松は用いていない。

 門松を立てるのは、日本のみではなく、中国の北部などにも見られ、
 そこではモミを立てているようであり、中尾佐助氏の『秘境ブータン』
 によると、ブータンでも門松を立てている。
 ただし、これは二本ではなく数が多いようである。

 日本では、門松のほかに、家の中に拝み松というのを立てるところが多い。
 東北などでは広く、これを見ることができるが、もとは奈良・京都付近の
 農家でもみなこれを立て、その松を拝み、その前で正月の酒を汲み交わした。

 そうすると、キリスト教におけるクリスマスツリーとたいへん近いものになる。
 これはモミ・ツガを主とするが、北欧の古い農耕儀式がキリスト教に結びついた
 ものと故渋沢敬三先生は言っている。

 これは優れた指摘であり、正月に松を立てることは、
 どうやら広く世界各地に見られた習俗のようである。 」

 ( 「日本絵巻大成」第11回配本・第8巻 月報11の、p1 )
 ( 「絵巻物に見る日本庶民生活誌」中公新書では、p214∼217 )

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