和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

何かを与えようとする文章ではない。

2016-08-28 | 書評欄拝見
岩波現代文庫の宮本常一著「空からの民俗学」。
その解説は、香月洋一郎氏。
一読印象深かったのですが、
あらためて、この箇所を思い浮かべておりました。

「私達は各々身の丈に応じて、
宮本常一からなにかエネルギーのかけらのようなものを
もらった・・・その破片とのつきあい方は各々の自由でもある。
そこで自分以外の何かを背負う必要はない。
・・・宮本の文章は、たとえ一般向けに書かれたものでも、
その玄関口のみを啓蒙的な発想で紹介するのではなく、
きちんと、しかしさりげなく奥の間まで見通せる形で
玄関口を提示している。ここに集められた文章もそうである。
なにかを与えようとする文章ではない。
自分の現場に招きいれようとする文章である。
私や私の仲間にフィールド・ワークの手ほどきを
するときと同じように。・・・」(p242)


うん。この夏
宮本常一を読もうとしたのに、
この夏は、すっかりオリンピック観戦でした(笑)。

毎日新聞の今週の本棚に
橋本治著「国家を考えてみよう」(ちくまプリマー新書)
についての、著者インタビューが写真入りで載っておりました。
その最後にこんな箇所。

「参院選では若者に自民党支持が多いことに驚いた。
選びたい人がいないという声も多いが、
『それなら選びたい人が生まれてくる
世の中にすることです』。
誰かに投票すればなんとかなるという
考え方自体が怪しい時代。
『だったら自分がやれるように
なんなさいよってだけです』。
橋本流『学問のすすめ』である。
(文と写真・青野由利) 」


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