goo blog サービス終了のお知らせ 

和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

デモを取材し、参加者に話を聞いた。

2018-02-20 | 短文紹介
注文してあった、リチャード・ロイド・パリー著
「津波の霊たち 3・11 死と生の物語」(早川書房)が届く。

著者は
「英≪ザ・タイムズ≫紙アジア編集長および東京支局長。
20年以上、東京に暮らす。1969年生まれ・・・」
とあります。

とりあえず、新聞をパラパラとひらくように
ページをめくっていると、こんな箇所がありました。
それはデモ取材の様子を書いている箇所です。
以下に引用。

「・・・安倍首相はたびたび抗議運動に直面することになる。
原子炉の再稼働問題、自衛隊の海外派遣を可能にする新安保法案、
物議を醸した新たな特定秘密保護法案・・・・。
私はこれらのデモを取材し、参加者に話を聞いた。
そのたび、安倍首相に対する反感の強さに驚かされた。
問題は彼の国家主義的な考え方だけではなかった。
彼の人間性の何かが、デモ参加者のなかに
生理的な強い嫌悪感を生み出していた。
安倍晋三は影響力の強い大企業と原子力産業の下僕だ、
と誰もが同意した。日本を再び戦争へと導く
可能性のある軍国主義者だ、と。
政治家に対してさえ、
日本人は口汚い罵り言葉をそう簡単に使うことはない。
しかし、デモ参加者が掲げるスローガンの多くは、
安倍首相をファシストだとこき下ろしていた。
なかには、安倍首相の顔にアドルフ・ヒトラーの
口ひげを書き加えたポスターもあった。

デモ参加者のひとりに、
第二次世界大戦後の混乱を生き延びた戦前生まれの
年配の男性がいた。彼自身も1945年の東京大空襲を経験し、
若くして徴兵されたいとこは広島の原子爆弾の犠牲になったという。
・・・デモ会場の片隅で私たちが話をしていると、
まわりに人が集まってきた。男性の話に耳を傾ける老若男女が、
うんうんと同意してうなずいた。そのうしろから、
拡声器越しに響くスローガンが聞こえてきたーー
『安倍政権反対! 戦争反対!』

私は男性に尋ねた。
安倍首相の政策に反対だとすれば、
誰が総理大臣として適任ですか?
責任感のある賢いリーダーはほかにどこにいますか?
誰が日本を率いるべきだと思いますか?

高齢の男性は戸惑い、それから驚き、
最後に恥ずかしそうにした。
私たちを取り囲む抗議者たちは、黙ったまま
互いにちらりと視線を交わし、何人かが気弱に微笑んだ。
私は菅直人の後継者の名前を挙げてみた。
いまや野党へと失脚した中道政党である民主党を率いる、
カリスマ性のない弱々しいリーダーだった。
人々はうんざりとした表情で首を振った。
誰かいるはずだと私は訴えた。
ところが、候補者の名前はひとりも出てこない。
そのときの私は、
日本でもっとも政治意識の高い人々に囲まれていた。
彼らにとって安倍晋三は憎悪の対象であり、
ほとんど怪物のようなものだった。
にもかかわらず、その代わりとなる
人間の名前はいっさい出てこなかった。」
(p221~222)


はい。私はきちんと読まず、
パラパラ読みの段階です(笑)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする